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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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ルーン

「先ずは一撃受ける、と言う事か」


 俺は笑顔で頷く。

余裕だからではなく、この力が

どれ程のものなのか確かめたかった。

それを見てオーディンはグングニルを

横へ薙ぐ。衝撃波が飛んできたが、

俺は何一つ影響を受けていない。


「まさか太陽の力を使うとはな」

「フレイが創造主側だってのは気付いてたんだろ?」

「無論だ。妻も言っていたが、私達の息子はバルドルのみ。それ以外の動きはいつも見張っていたよ」

「だからソールやマーニとか何人か居なかったのか」

「ああ。ソールを抑えたから良いかと思ったが、まさかフレイの剣とは……」


 黒隕剣といい太陽剣と良い、

オーディンは剣に嫌われているのか嫌っているのか、

どうも相性が悪いらしい。

個人的には腰の物が気になったが、注意しつつ

先ずはあのグングニルをどうにかしないと。

会話しつつ間合いを探る。力があるとは思うが、

技術の方はどうか……。

 俺はジリジリと間合いを詰めてみる。


「一合試してみるか?」

「無論」


 だが直ぐには仕掛けない。

隙など無いように見えるが、何かあるはずだ。

そしてあわよくば一撃必殺を狙う。

隠し玉を持っているであろう事は明白だ。

それをノコノコ待つつもりは無い。


「私は侍と相対するのは初めてだ。ドキドキする」

「俺は侍ではないが」

「その様は侍そのものだと思うがな。時代劇は好きか?」

「ああ」

「誰の影響だ?」

「誰……?」


 時代劇を好んでみた記憶は無いと思うが。

そんな人が家に居たっけな……。

そういや俺の爺さんは居たっけ?


「隙有だ」


 一瞬思考がずれた。

グングニルのルーン文字が

左側に見える。


「こちらも逃がさない。何をされるか仕掛けられているか分らない。本能の(ソーン・ウル)


 グングニルの長い穂先に文字が浮かぶ。

ルーン文字か!?

即座にその場を離脱したが、メキメキと音を立てて

グングニルの穂先から生まれている無数の棘が

俺を追尾してくる。


「逃げ切れるかな。雄牛の恐怖(ウル・ソーン)


 棘が俺を追う途中でグングニルから離れ

地面に落ちる寸前で足が生え立派な角の生えた

雄牛に変化した。これはずるい!


「出でよ我が愛馬!」


 オーディンはグングニルを掲げると、

地面から無数の雷がオーディンの足元に現れ、

暫く稲光を上げた後盛り上がりオーディンを持ち上げた。

そして現れたのは八本の足を持つ馬。


「疾走せよスレイプニル!」


 言うなればオーディンの完成体の

姿となった。グングニルを地上で振るうより、

馬上から振るう方が有利だ。

 雄牛の集団から俺は距離を取りながらも、

時たま距離を詰めさせ捌く。

オーディンは遥か後方から飛ぶように

追撃してきた。更に牛の集団を掻き分けて

突進してくる。このままでは牛の集団と

オーディンに囲まれる。

どうしたらいい?


「おわっ」


 黒刻剣(ダークルーンソード)が鞘から飛び出した。

慌てて左手で相棒の柄を取る。

すると剣腹にrの文字が浮かび上がった。


「おのれ……余計なものを」


 オーディンが一気に間合いを詰めてきたが、

次の瞬間俺の足元が盛り上がり、

目線が同じになる。太陽剣と黒刻剣(ダークルーンソード)で斬り払う。


「グアアアア!」


 その声に任せて移動した。


「久し振りだな!」


 俺は跨っているのが何なのか

鳴き声で分かった。


「ぐあ」


 首をのばし俺の方に倒して来たので、

俺も顔を寄せる。生憎手が塞がっているので、

顔をすり合わせ互いの無事と再会の喜びを分かち合う。


「ふ……まさに勇者」


 雄牛の群れを連れ、オーディンが突っ込んでくる。

多勢に無勢。逃げ回っていては何れリウも疲れてしまう。

どうする?


「ぐああ」


 リウは構うなと言わんばかりに走り出す。

剣では間合いが。そう考えていた時に、地面から

何かが飛んできた。それを目で追うが、

どうも俺に向かって落ちて来ているようだ。


「リウ!」

「グアァ!」


 その下へと突っ込んでいき、

太陽剣の柄を口で噛んであいた右手で掴み取る。


「はれは……」


 それは雷神戦で使用できなくなったスットゥングの泡槍

だった。確かにスットゥングならオーディンに会いたくて

飛んで来ても悪くないだろう。


「ただの槍で何が出来る?」


 確かに技を封じられてしまった。

グングニルと相対する事が出来るのか……。

俺が見つめていると、泡槍の螺旋状になった

先端が大きく開く。


「はぇ?」


 柄を噛んだままで間抜けな声が出た。

すると黒刻剣(ダークルーンソード)が、

その穂先に飛んでいき柄の部分を泡槍の

螺旋が包み込んだ。


「おぉ~」

「ご都合主義だな」

「まぁ勇者ならこれくらいのサービスは貰ってもいいだろう?」

「ぬかせ」


 数が減ったとはいえ依然数的有利はオーディンにある。

牧場に迷い込んだ狼の様な状態で追いまわされていた。

タイミングを見計らって打ち合いつつ

雄牛の眉間を突き消滅させている。


「本当に私は剣に嫌われているな」

「なんだか付いてないな」

「付いてないなんてもんじゃない。黒隕剣だけかと思ったのがそもそもの間違い。私は神ではあるが、皆に好かれている訳ではないと言うのを忘れていたよ」

「まぁそう気に病む事もない。嫌われていると毎時間考えていたら可笑しくなる」

「それはそうだがな。もう少し君に注視するべきだったよ」


 普通に会話しているが、厳しい攻めをしてくる

オーディン。俺は実戦経験が多いから技術ならと

思っていたがそんな事は全くなかった。

それどころか槍なら向こうの方が上だ。

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