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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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スカジ戦開幕

「さてと……。では早速仕掛けていきますか」

「そうしよう。手筈通りに」

「……口惜しいですが我々はここでお二人の御武運をお祈りしております」


 俺とアーサーは自軍に加え、新スカジ兵も組み込んで

軍を再編して出陣する。これも新スカジ兵が

コウヨウ兵とカイヨウ兵、両方と練兵をしていた事で

可能となった。そう言う意味では一番器用かもしれない。

 正直フレイの能力的に接敵から混戦真っ只中になるであろう

時間帯に、陽が真上にある状況は避けたい。

だが向こうはそれを目指して進軍してくる。

それを受けてしまっては真上に来た時に押し込まれるのは

目に見えている。正直別の世界のエルフだからと

処理する気にもなれなかったので、罠に掛った

オベロンのエルフたちはトウチ方面に閉じ込めてある。

正直最悪の状態になったら手はある。

だがなるべく後に取っておきたい。

何より巨人族たちが立ち入れるのはスカジ本国手前まで。

流石にフリッグさんのところまでは連れていけない。


「ではアーサーまたあとで」

「心得た。武運を祈る」


 アーサーは半分に分けた軍を引き連れて、

フレイヤと会ったアイロンフォレストから見て

右の山の方向へと進軍した。

俺は左の山へと進軍する。


「陛下!」


 シンラの声かと思えば違う。


「ルーテルさん」

「上から来ます!」


 その声に視線を向けると、

空には鳥の群れの影が見える。


「皆隊列を細くして進軍せよ! 前方と両脇に注意してくれ!」


 俺は速度を上げて山道を駆けあがる。

空は囮。本命は


「前方に岩が!」


 アニメの様に御丁寧なつるっとした丸い岩ではない、

不格好な丸の岩が山道を転げ落ちてくる。

不規則に右に左に動くので避けるのは難しい。

俺は相棒二振りを引き抜く。


「待て。ここは我が」


 ファニーは自分が乗っていた馬の手綱を俺に預けると、

羽根を広げて羽ばたき岩へ飛んだ。

そしてタイミング良く下へ潜り込み

ある程度持ち上げた後左方向へ放り投げた。


「三時方向に敵影発見」

「ここはお任せを。弓兵隊!」


 エメさんの報告にロンゴニスが素早く反応し、

俺たちの先へ馬を進め、馬上から敵影に向けて

矢を放つ。


「陛下! 岩が」


 岩は次々と転がってくる。

どうやら関所は近いようだ。


「よっしゃぶっ飛ばしていくぜ!」

「おー!」

「まかせなさい!」


 俺とリムンに恵理は馬を並べて前へ躍り出る。

ファニーと合わせて四人で岩を粉砕していく。


「前方に砦が!」

「よし! アゼルス!」

「お任せを!」


 アゼルス率いる工兵隊は引っ張ってきた

移動式矢倉を二機展開し始める。


「コウ、我は崖上をやる!」

「分かった! ロンゴニス、移動式矢倉と馬上の部隊に分けて援護を。他の者たちは矢倉が出来次第工兵隊を援護して関所に取り付くんだ!」


 皆迅速に行動に移る。相手もそうはさせまいと

兵士たちが出てくる。


「で、こっちも来るな」


 そうさっきの鳥の群れの影は

鳥の群れの影ではない。

高度を高くして飛んでいた


「今度こそ!」


 ヴァルキリーたちだった。


「来たな! ノウセス隊、対ヴァルキリー陣形を!」

「はっ!」

「逃げる気か!」

「忙しいんでな。後で相手はしてやる」

「陛下、準備完了です!」

「よし、皆押しまくれ! 全軍関所へ迫れ!」


 声を張り上げ関所へ突き進む。

アシンバ隊がリムンを警護しながら

先行して関所に取り付く。

閉ざされた門の前に着くと

リムンは馬から降りて大きな槌を振りあげて、

門へ叩きつける。三度四度と叩きつけると

門はギギギと音を立て始めた。

続けて暫く叩きつけると


「門が突破されたぞ!」


 敵兵の声が響き渡る。

門に掛けていたであろう木が

リムンの槌によって破壊され、

門がアシンバ隊によって手で開けられた。

門の前は混戦状態になる。

リムンの槌で吹き飛ばしながら押しこんでいく。


「くっ……」

「どうした!? お前たちの戦力はこんなもんじゃないだろう?」


 アイロンフォレスト以降俺を付け回している

ヴァルキリーを相手にしつつ、

俺は状況を見ていた。

こっちはフレイの山。

オベロンがいつ出て来ても可笑しくは無い。

さっきの崖の上からの攻撃がそうかと思ったが、

どうやら違うようだ。


「随分と余裕だな。このままだと無駄死にだが」


 俺の言葉にヴァルキリーはニヤリと笑う。

はっきり言って俺たちが絶対的に有利ではない。

勿論押しているが。

ただ引っかかるのは山中がかなりすんなり

登れた事だ。


「コウ、何か変ですわ」

「そうだな……。先ずは関所を完全にこっちの物にしよう。話はそれからだ」


 俺はヴァルキリーと交戦していたが、

どうも手が軽い気がする。

……時間稼ぎか?


「そろそろ良いだろう。ヴァルキリー隊、一旦引け!」

「全軍撤退!」


 俺もヴァルキリー隊の撤退に合わせて

撤退の指示を出す。これは罠だ。

この狭い道では身動きが取り辛い。

無理に突き進めば恐らく関所を出た辺りで、

上から矢の雨が降ってくるだろう。


「何!?」

「さっさと行けよ。見逃してやる」

「全軍撤退ですわよ! 聞こえませんの!?」


 俺の指示が出たので皆何も思わず撤退を開始している。

リアンはそれを急かして危険を知らせてくれていた。


「己小賢しい……」

「狙いは分かってるつもりだ」


 俺はしまったという顔をした後引き上げる。

勿論わざとだけど。


「陛下!」


 俺は急いで関所まで突っ込み

リムンを拾って前に乗せ、

殿を務めつつ撤退。


「よしロンゴニス隊ノウセス隊アシンバ隊! 矢倉に上って進め!」


 相手が戸惑い動きに迷った隙を突いて指示を出す。

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