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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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リアンとユグさん

「じゃあ後は頼む」


 俺は翌日カトルに後を任せ、

ジェルジオ侯とルーテルと共にコウヨウへ向かう。

 コウヨウは大分成長してきてシステマチックな

部分も固まってきた。そうなると自動的になりすぎて

型にはめる事を優先する部分が芽を出してくる。

特に司法など法を適用する場合、よく精査するよう

各部門に通達している。法や方法が完璧と言う事は

有り得ない。勿論それに近付く為の積み重ねを

していく。だが人は偶にそれを忘れる。

俺は王という立場から大きくなる前にお知らせを

流していく。王としての仕事は最近はそういう事が多い。

特に法という部分は国民全てに公平なルールでなければならない。

何かで見逃される、誰かの親戚だから見逃される

功績があるから見逃されるなどがあれば、

国家として信頼を失う事になる。

 俺は帰国してすぐ裁判の記録などを毎回精査し、

問題がある場合は指摘して修正させる。

成長している時期だからこそ、基盤となる部分をしっかり

固めておかないと、そのズレが永遠に続いてしまう。


「おやおや……」

「久しいわね」


 コウヨウについて直ぐに政務を始め、

夕方までには何とか終えた。

リアンとエメさんと共に

地下のユグさんのところへ移動する。

顔を合わせたリアンとユグさん。

二人は昔からの知り合いの様だ。


「てっきり貴方がたはもうこの世を切り離したと思っていたのですが」

「勝手にそう思うのは自由ですわ」

「全くもって貴方がたは気紛れが過ぎる」

「幾らでも非難してくださって構いませんわよ。それを受けるのも親の役目と言うもの」

「……見捨てたくせに親とは……」

「育てようが捨てようが親は親。その生まれの事実を変えられるものなら皆変えたいと思うでしょう」

「自らの苦しみを次代に伝えようとは悪魔のようですね」

「そう思いますわ。私達にはそれを絶ち切る事は出来ませんでしたので」

「何事においても他人事なのですね貴方がたは」

「俯瞰して見なければ生きられない人間も居たという事です」

「大き過ぎた力は自らを先ず初めに滅ぼしてしまったのですね」

「……何にしてもお元気そうで何より。ですがあまり根を張りすぎると動けなくなりますわよ?」

「でしょうね。それがオーディンの目的の一つ。この大地を先ず初めに壊したのは元々そういうつもりだったのでしょう」

「死にたがりの多い事」

「ええ。元々の理念と掛け離れた状況になっている。修正が必要なのに修正が掛けられない。彼は彼女とリンクしこの世界そのものにアクセスし、管理者が手を出せないようにシールドを張った」

「アクセスキーを彼女が見逃したのは貴女の仕業ですか?」

「勿論。オーディンは人の管理を司っていますが、私は世界の管理を司るもの。管理者が落としたものにシールドを張って解析出来ないようにしました。それを彼女が不審に思って加工させた。この流れに素直になったのには笑ってしまいましたが」


 二人が何を言っているのか詳しくは分からない。

が覚えておいた方が良さそうなのは分かる。


「彼は一体何者なのです? ただの移転者には見えませんし、紛れ込んだものでもない。あからさまな奇跡を起こした訳でもない。私にはそれが分からない。一方的ではなく勝つ見込みは確実ではない。そのような不確定要素を追加する必要性を感じません」


 ユグさんは俺を見てからそうリアンに言った。


「だからこそ、なのでしょうね。アンチテーゼとまでは言いませんが」

「……彼の事を思えば確かにその通りなのかもしれません。ですが残酷ですね。別に身内でもないのにそこまで苛酷にする必要があるとは思えませんが」

「答える必要はありません。気は済みましたか?」

「そうですね気は済みましたし、貴方がたとは分かりあう事は出来ないと理解しました」

「やっとですか……。なら結構。役目を存分に果たして下さいまし。今ここから切り離しますので」

「その必要はありません。これ以上貴方がたの思惑に従うのはうんざりです。好きにさせてもらいます」

「好きにするとは?」


 何やら険悪な雰囲気だ……。


「過度に干渉はしません。ですが私にもこの世界を司るものとして意地があります。それだけは告げておきます」

「それは楽しみですわね」

「忘れて頂いて宜しいですよ。では用が無いなら貴女は帰りなさい」

「私達は引き上げます」


 空気が震えるような気が二人の間を

漂った。これは何か災害が起こるんじゃないだろうか……。


「……良いでしょう、お二人とも御武運を」

「あら案外あっさり引きますのね」

「リャナンシーほど執拗ではありませんのでね」

「あー、えーとそろそろ帰ろう。ユグさんまたね」

「ええ。必ずまたお会いしますよ」


 俺はリアンを肩から右手で掴みその場を後にした。

リアンはその後は大人しくしている。

リムンお手製の服を黙って着させられても反応すらしないが、

俺がからかうと最速で鼻を蹴ってくるのは納得がいかない。

こうして帰国しての一日目が終了。

あくる日には伝令が来てアーサーがこちらに来ると伝えられた。

その準備をしつつ、最終決戦に向け作戦を詰める作業をする。

リアンは相変わらずぼーっとしていて、皆に可愛がられても

なすがまま状態である。俺がやろうとすると瞬時に反撃するが。

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