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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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妖精の襲撃

天気は静かなまま日々は過ぎていくが、

作業を急ピッチで行っているので

夏日の様な気分になる日もある。

じっとしてろと言われたが

引き籠っててもクリアできる訳ではないので、

細かいところから色々処理していく事にする。

リアンがちょくちょく居なくなってはいたものの、

特に訊ねる事はしなかった。

俺に悪くなるような事はしないだろうと考えている。

 ホクリョウの街はカトルが良く統治してくれているので、

ある程度動き回ったもののあまりやる事は無かった。

なので俺はそれより北、スカジ近辺の調査を

メレムとコリン夫妻と一緒に始める。

大分生態系は戻って来ているように感じるが、

平地と比べると遅くはあった。

フレイとフレイヤによる永久機関はどうか

それも調べる為に山に登った。が


「陛下、それ以上はいけない」

「凄いですね……。変な感じはしてましたけど」


 二人の言葉に頷く。

前にフレイヤにあった山は、

緑のガラスに覆われているように

侵入不可能になっていた。

メレムは落ちていた岩を軽く放り投げる。

音も無く接触する前に消えていった。


「なんだこれは……」

「空間を切り取っている」

「恐らくこの場所を隔離しつつ、山のエネルギーをあの一番高い場所へ送っているのでしょう。陛下も御覧のように、この辺りは植物の成長が著しく遅いのはその影響かと」


 コリンは草を一つ俺に見せる。

その草に見えたものは花になりきれず、

花になろうとしていた部分は小さい蕾のまま。


「永久機関とはこういう事か」

「そうだ。枯れさせずにその生命力のみを吸い上げる悪魔のシステムといっても過言ではない」

「吹き飛ばすか」

「不可能でしょうね。ここは彼女の領域になっています。解放するには彼女を倒すより他ありません」


 二人の顔を見るが動じていない。

やる事は変わらないから当然だな。


「もどかしいはもどかしいが、待つより他無し、だな」

「そう言う事だ。自然に根を張り枝葉を伸ばすには、自然が一番重要」

「土壌が改善されて肥料を蓄えたのなら、それは強制されて伸びるよりも遥かに強く逞しい成長を見せましょう」

「随分詩的だな」

「良い文化ですよ。自然と詠みたくなります」

「確かに。だが最近は毎日聞かされて飽きる」


 メレムの言葉にコリンは微笑みながら

メレムの顔を見る。目を逸らすメレム。


「平和が訪れたらそういう文化も伸ばして大会を開くのも良い。なるべく文化も伸びるようにはしているが、生き残る事が第一だしな」

「心の余裕が生まれる為の土壌はまだ難しい」


 俺たちは山の中腹から下を見つつ一息吐いた後、

調査に戻る。今回はフレイが居たと思われる

山の方も言ってみる事にした。

メレムコリン夫妻は全く疲れを見せず、

行く先々で種のようなものや昆虫の形跡を

見つけては収集したり、何か植えたり巻いたりしていた。

フレイヤの居た山から見た先にある山に、

フレイは居たようだ。分かりやすく同じような

現象が現れている。


「この中に誰かいるのかね」

「恐らく居るだろう。起動にはキーが必要なはずだ」

「そうです。体さえあればキーになるかと」


 ……と言う事はその仕掛けを起動させる事は

いつでも可能と言う事だな。


「場に伏せたカードか……出来れば墓場に送りたいな」

「相手の陣営全てが墓地みたいなものだ」

「消滅させなければ繰り返すだけかと。最もそれにはこの場を開けなければなりませんが」


 俺は一つやってみようかと相棒を抜いて振りかぶったが、

メレムとコリンに腕を掴まれてしまう。

二人を見ると二人とも首を横に振る。

そのまま俺たちは山を降りる。

偵察部隊が大分道を通りやすくしていてくれた

御蔭もあってそれほど苦労はしなかった。

勿論登るのは大変だが。

 ホクリョウに帰るとメレムコリン夫妻は

工房で今日の成果を纏めるべく帰って行った。

俺も執務室に戻り溜まっていた書類の決裁をする。


「ホクリョウに戻って準備を」


 翌日。兵士たちの練兵を見ている時、

一本の矢が射られた。恐らく気安い挑発だろうが、

準備をしておくにこした事は無い。


「コウ」


 リアンの言葉に頷く。

オベロンからしたらこのくらいは気安いのかもしれない。

山の方から砂煙をあげて何かが来る。


「こりゃまた凄いな」


 何百人と言うエルフの武装した群れが

こっちに向かって来た。


「確かに。妖精というのは簡単にいえば人間という括り位大雑把な名称です」

「それは不味いな」

「だからこそのオベロンでありフレイなのです。そんなに簡単ではありません。彼らが軍として妖精王の力を発揮するとこんな感じになります」

「トールが退場してくれて助かるなぁ」

「助かったような顔をしてませんわね」


 俺は相棒二振りを引き抜き、

その砂煙の群れを迎え撃つべく突貫する。

リアンも特に止めないのでそのまま行くことにした。

以前エルフの里で見た事があるので初見ではない。

一合斬り結んでみて分かったのはその軽さと早さだ。

昔はやぶさのけんというものがゲームであったが、

あれを能力でパッシブスキルとしてもっているようなものだ。

気軽に斬り結んだので直ぐに認識を改め、

速度を重視し斬り伏せて行こうとしたが、

特徴道理非力ではあるものの身軽さも兼ね備えている。

俺は斬る時紙を切るように意識して、

なるべく風圧で避けられないよう小さく細かい動作で

斬っていく。

俺は周りのエルフを斬っていくが、

囲んでいるエルフ以外殆どはホクリョウへと突き進む。

俺はそれを急いで追わず、オベロンもしくは指揮官を

見る為に斬り伏せて待つ事にした。

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