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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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幻想郷の進軍

「恵理、ファニー。皆を連れて撤退を。ジェルジオ侯、ルーテルは街に戻ったら一応防衛の準備をしていてくれ」


――それが良いだろう。だが貴様が気にする必要もない――


「恐らく他が出てくる可能性がある。こちらは気にしなくて良い」

「そうですわ。ここはコウ様と私が持ちますので」

「な、なんだと!?」

「がならないで頂けます? 元々そういう役割なのですよ」


 涼しい顔で言い放つフレイヤ。

機械的な回答にファニーはそれ以上何も言えなかった。

が、抵抗すべく立ちすくんでいたが、

恵理が引っ張って皆降りていく。


「随分と悠長な大将だな」


 俺はフレイヤと並び立ちながら空を見上げる。


「それはもう。一応あれでも自分の力は理解しているのです。ですが相手を理解する必要は無いと思っているのが悲しいところで」


 フレイヤは手のひらを左ほほに当て首を傾けると、

深い溜息を吐いた。


「それほど圧倒的な力を有しているのか」

「はい。確かに並みいる敵は倒せるかと。ですが自らが最強たり得ない事に気付かないのです」

「なるほど。受肉して更に高コストで降臨したから今度こそ、とか思ってそうだな」

「その通りです。定石ならばここは出てくる場面ではありません。はっきり言ってしまえば無意味ですし悪手ですわ」


――黙れ裏切り者め。幾ら愛おしく見目麗しい妹と言えど、人に加担したとなれば許すわけにはいかない。私の力をもってして葬ってくれん――


「ウザ」


 先ほどまでの笑顔はどこへやら。

半眼で吐き捨てるように低い声で拒絶するフレイヤ。

怖っ。


――だが許してくれとは言わない。そんな人如きにお前を満足させられる訳が無い。この美丈夫にして卓越した知能と武力を持つ私しかお前を満足させられない――


「気持ち悪」


 辛辣ぅ……。

もう怖いので顔を見ていないが、

黒いオーラを纏ってるのは見なくても分かる。


――少女の体となって現界した事は吉報であったが仕方が無い。我が力で葬ってくれよう――


「なんていうかバルドルを悪化させた感じだな」

「そうですね。あっちは曲がった方、こっちは曲がらなかった方です」

「曲がった方が良かったなんて皮肉だな」

「日本人はロリコンだとかそういう気質が他よりあるように言われますが、昔の逸話などを読めばそんな事は無いのは誰でも分かります。それに近代の犯罪史を見ても同様です。よく本の所為だとか言われますが、読んでないのに襲いかかってる場合は何なんでしょうね」


 底冷えする様な声で

ゆっくりしっかり断罪するフレイヤさん。


「まぁ結局は自分より上か下かって事なんだろうね」

「人そのものが問題なのです。何人だから平気とかそんな事はあり得ません。例え容姿が良くても中身が腐ってるなんて事も有り得る訳ですし」


 どうやら大分鬱憤が溜まっているようだ。

それにしても空の人遅いなぁ……

何時まで待たないといけないんだろうか。


「あれってさぁ……攻撃しても良いのかな」

「……コウ様は律義なのですね」

「一応合体バンク中は攻撃しないっていう不文律が」

「なるほど日本人はヘンタイと言う名の紳士でしたねそう言えば」

「なるほどじゃないし、関係無くない?」


――待たせたな! これが私の百パーセント中の二百パーセント!――


「いや百パーセント飛び越えてるやんか」

「百パーセント中の五十パーセントの間違いかもしれません」


――完全を超越し完璧だということだ! 愚か者め!――


 太陽の周りを飛来していた黒い点は

太陽を覆い尽くす位まで増え、その後

雨の様にこちらに降り注いできた。


――食らえ! 幻想郷の進軍(アルフレイム・マーチング)――


「来た!」

「コウ様、動かないでください」


 フレイヤはにっこり微笑んでいる。

俺は敢えて相棒たちを抜かずに様子を見ている。


「あはははっはははははは!」


 その小さな点が段々と姿を現す。

羽根の生えた小さな人間たちだ。

目を見開いて笑いながら突っ込んでくる。

怖すぎる。ホラーだこれは。


「ホント趣味の悪い……」


 フレイヤはそう言って溜息を吐いた。

羽根の生えた小さな人間が俺に飛びかかってきた。

が、目の前で遮られる。


「おぉー……」

「御安心を。私のブリージンガメンは私の命と繋がっております。攻撃と言う具体的手段以外にも、こうした悪趣味な行為に対して拒絶する事も可能なのです」

「それは凄いし有難い。ホントこれ怖すぎる」

「常人なら可笑しくなるレベルですよね。何を考えてこんな事をしているのか……」


――こうする為だよ――


 声は空からしたが、気配は背後から。

俺はすかさず相棒を引き抜き打ち払う。

上段から橙色の剣を振り下ろして来たのは

紫の髪の目が若干つり上がり

鼻筋のはっきりしたイケメンだった。


「ほう……」

「そっちじゃ金色の鎧が流行りなのか?」

「流行りではない。目立つが故に神の召しものなのだ。目立ったところでどうという事も無いしな。味方には良い目印になる」

「だから負けるのですよお兄様」


 フレイヤの言葉に俺と鍔迫り合いをしていたが

距離を取る。


「冗談だろう我が愛しき妹よ。夢は天界で見るが良い」

「そのままそっくりお返しいたしますわ」

「この状況で太陽剣を握る私が負ける? なんという冗談だ」

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