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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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トウシン攻略開始

「今日この快晴にして、前の月が明けた日に出陣となった事は、この大地の未来を占う大きな戦にとって大いなる幸運をもたらしてくれる事だろう。正直な話、兵士たち全員を生きて家に無事帰してやれる保証は出来無しい、また私自身も生きて帰ってこれる保証はない。だがしかし、それでもこの大地を守り未来へ紡ぐ為に私は先陣を切って道を切り開く。最後まで戦い抜く為に、どうか皆の力を私に貸してほしい」


 二日間最終チェックに当て、今日快晴と共に出陣式を行った。

皆入念に準備してくれたようで、殆ど修正は必要なし。

城壁の上から国民皆に語りかけ、その熱気と気合は

十分に伝わった。俺もそれに押されるように出陣する。

トウシン討伐隊約千人は忍びの里を経由し、

トウチを通り過ぎ暴竜砦へ一気に駆け抜ける。

翌日に暴竜砦に到着すると、兵士皆に休息を直ぐに取らせる。

俺はそのまま暴竜砦の兵士百を連れて、

ログへ向かった。


「……なんだこの感じ……」


 俺はログの手前に来た時、全軍の進軍を一旦止める。

そしてここからは慎重に進むよう告げて再度進む。


「コウ」


 ファニーが前に出ようとしたが、

腕を伸ばして制止した。人の気配がしない。


「どう思う?」

「特に罠は無いようだ。感覚がしない」

「違和感みたいなものは人の気配がしない以外は無いな。だが迂闊にログを占拠しようとは思えない。危険を感じる」

「確かにな。出来れば更地にしたいくらいだが時間が無い。様子を見て即撤退しよう」


 ファニーがそう言った後、急に辺りを見回す。


「何かあったか?」

「……何か気味の悪い歌が聞こえたような」

「どんな?」

「アリスが聞いたら叫んで逃げそうな感じのやつだ」

「……用心して行こう。何か嫌な予感がする」


ファニーが頷いたのを見て、皆に俺から指示を出す。

ログの街を取り囲むように広がり、中には入らず様子を窺う。

風がただ通り抜ける音以外に街からはしない。

兵士の一人に伝令を頼み砦に連絡。

暫くして櫓車を持ってきてもらい、また木槌も持ってきてもらった。

ファニーに上から見てもらいつつ、俺は一角だけ新しい感じのする

塀を崩しに掛る。

叩いて砕いて取り除き、人一人分の幅を縦に壊して

皆で更にその下の石も取り除く。


「なんだこれは」


 俺は呟いた後、


「ファニー降りていい」


 その石の下の惨状を皆にも見てもらう。

割とえげつない方法を使ってくる。

その後砦に報告し、トウシンの民も交えて確認してもらう。

やはりこの街の住人だったようだ。

トウシンの亡命希望民の代表に一応なんのあれもないが

断りを入れ、街を焼き払った。

 翌日休養していた俺が連れてきた部隊と、

暴竜砦の部隊とを合わせたローテーションの

作成に入る。その間にトウシンの簡易的な地図を見たが、

流石商売でこの大地を牛耳ってきた事のある国だけあって

釣り橋などが多く、またトウシンの首都には

堀が深めに作られていた。

これはヴァーリ加入の際に作られたので、

それに対する対策は勿論してある。


「が、気になるのはやはり昨日の有様だよな……」


 俺は地図を見ながら頬杖を着きながら溜息を吐いた。

ログの街には多くはないものの住人は居た。

それが丸ごと居なくなって塀を掘ったらえらいこっちゃになってた。


「何というか嫌な言い方をするけど、あれを見たら要らないから捨てたって感じしかしないよな」

「全くです。トウシンの王だけでなく捨てられた本人すら不要と思っていたような節もある気がしてなりません」

「不気味そのものだ。人があんな風にどうやったら死ねるのか知りたいものだよ」


 ヴァーリですら辟易としていた。

何を信じたらああなれるのか。ああはなりたくないものだ。


「まぁ数字として考えるなら、イコールで何があるのか」

「当然のようにヴァルキリーが出てくるでしょう」

「兄者も往生際が悪いし駄々っ子だしな。長男の悪いところが前面に出てる」

「あれで人望さえなければ完全な悪ですよ。なんていうんでしょうか、憎まれっ子世に憚るです」


 ヘズは笑顔で吐き捨てるように言う。

皆から話は聞いているが、ヘズの腕はやはり凄いらしく

強い力で離れた物を射ぬき、果物レベルなら砕くようだ。

見た目によらず力が強いようだ。馬上での動きも凄く、

流石神様である。

個人的に神様が俺の味方をしても良いのか尋ねると、

”古い新しいで言うなら僕たち兄弟は新しい神なので、

父上といっても希薄ですし関係ないかと”

と言う言葉が返ってきた。まぁ俺は世界を破壊するどころか

めちゃくちゃにならないようにする為に

オーディンと戦うんだから、味方に付いても問題ないんだろう。

ただ警戒は怠らない。オーディンの実子という位置付けは変わらない。

事実バルドルはそれもあり母の為に俺と戦おうとしている。

あのヘタレっぽいのが根性を出しているのだ。

それも形振り構わずあくどい手まで使って。


「で、相手は誰かな」

「そうですね……下種な真似は愚かな兄者でもやりましょうが、発案者が誰なのかは見当が付きません」

「周りにいたのは巨人族の商人連中しか居ませんでした知る限りでは。諫言以外に取り柄があるようには思えません」


 バッサリ斬られるバルドルとその周辺。


「そうなるとスカジ側から来るんだろうなぁ」

「恐らく。召喚以外に魔力を行使出来るのかどうかも気になるところ。それもあるからこそ我らは一気に首都まで攻め込む事は出来ないのです」

「トウチに掛けられてたという魔術は見た目で分かりやすいですが、それこそ罠タイプが無いようには思えません」

「だよな。かといって手をこまねいても居られないから、慎重に進軍しよう。相手の挑発には乗らず、粛々と首都へ向けて進軍する。先ず明日からは周辺を何度も何度も行き来し、安全を確保しつつ我が軍の活動可能安全領域を広げていこう。この砦と距離が離れてきたら食料を持参していく」

「先ずはログ以降の北北東側へ向け進めていきましょう。橋の安全を確保できない場合は、仕方が無いので埋め立て作業をしましょう。安全第一」


 ヴァーリは慎重だが、それでも本番はトウシンの占領。

ここでこけては占領どころか敗走することになるので

その方針で行くことにした。

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