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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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トウシンへ向けての大詰め

 ヘズが加わりヴァーリも国内の法の見直した

書面を携えて改めて暴竜砦に来た。

またトウチ全面を仕切っているシンラも

ロシュと交代させてこちらに呼んでいる。

と言ってもトウシン討伐戦を指揮させる訳ではなく、

防衛に限らずトウチ周辺の街の政策も担っていたので、

一息吐かせようという思いもあって呼んだ。


「久しぶりだなシンラ」

「久しぶりですか……。毎週陛下とはお会いしておりますが」


 出迎えたシンラは相変わらずシャツの上に着物を着て、

スラックスに草履と戦場に近い感じがしない。

それでも最近は帯刀と胸とわき腹に、採掘した鉄を

薄く叩いて伸ばし作った軽鎧を付けていた。

ボサボサした頭を掻きながら首を捻るシンラ。

物怖じせず国の安定の為に尽くしてくれている事は、

トウチの街の人の顔を見ればわかるし、

シンラの顔を見ればわかる。


「相変わらず頬がこけているな。体調に変わりは無いか? ご飯は食べているか?」

「……陛下、相変わらず忙しいのでそれに見合う体調ですし、ご飯は今のところ繰り返す日々の中で唯一の楽しみの一つです。そう毎週問われますと私は病気かと心配になります」

「シンラがそんな事を気にするようには思えないが」


 傅いていたシンラに右手を差し出し、

それを握ってシンラは立ち上がる。

共に暴竜砦を執務室へ向かって歩く。


「……不躾ながら、陛下とお会いしていると最近は親を思い出します」

「それは光栄だな。もっともそんなに凄くは無いだろう? 先ほどのような体調を気遣ったりするくらいで」

「冗談にしてはあまり面白くありませんな。私に鎧を付けさせたり秘書官に私に合いそうな者を寄越したり、果ては貴族の御令嬢を紹介されたり。……私は親になった事はありませんが、そういうものを親と言うのではないのかと」

「近所のおせっかいなおっさんだろう」

「同じように聞こえますな。……最近では家臣一同、陛下にそう言った心配はさせまいと奮闘しております」

「それは良い事だがあまり無理はするな。俺は皆のお陰である程度自由なのだから」

「自由を感じて下さっているなら嬉しいですが、その割にはご自身の為に時間をお使いにならない」

「使っているさ。俺のしたい事に」

「こういう時何と言いましたか……そうそう、馬の耳に念仏というやつですな」

「お前たちの言いたい事は分かっているつもりだが」

「我々も理解しておりますよ。なので我々は陛下が真に自由を謳歌し楽しそうに暮らして頂くためにも、一刻も早く統一を成し遂げる他無いという結論に至り全力で日々を過ごしているのです。ですので陛下も我々の体調などを気遣っていただけるのであれば、一日も早い平和の実現に尽力頂くの一番。なのですがそれを実現するには我々が」

「そう、堂々巡りになるわけだ」

「……やはり陛下は前世で我々の親だったのではないかと」

「気が済んだのなら暫くゆっくりしていると良い。俺より先に倒れでもしたら、その脳みそと口が回る方向を見失うだろう?」


 シンラとは殆ど会う度にこんな感じのやり取りをしている。

挨拶のようなものが終わるタイミングでシンラに割り当てた部屋に付き、

そのまま押し込んで俺は自分の仕事に戻る。

ヘズはコウヨウの兵士の前で腕前を披露すべく模擬戦を行っている。

ヴァーリはその様子を見つつ、ここの軍律などを見直していた。

俺はその間に見回りや見張りをしている。

トウシンからの亡命者を国内に入れはしないものの、

だからといって餓死させる訳にもいかず

また危害を加えてこない者たちを強引に追い払う事も

出来ないので、そのままにして様子を見つつ言葉を交わしている。

やはりとも言うべきか、四分の一程度どうも人形じみた感じの

者たちがいる。そしてその者たちが例の亡命者代表を

立てて推しているようだ。

そうする事でトウシンの民に逃げ場をなくしているし、

仮にコウヨウの中に侵入する事が出来れば別の手を打てる。

何とも歯痒い。ヴァーリに相談したが、現状入れない以外の

選択肢は無いようだ。ヴァーリもヘズもその辺りの事から

離されていて把握しているのはバルドルとスカジの関係者だけ

らしい。らしいというだけで確定ではないものの、

トウシンを攻略すればこの薄気味悪さが解るという兆しが

見えたのは良い事だ。



「ついに来たか……」


 シンラが来てヘズヴァーリの調整も済んだ一週間後。

本国より知らせが届く。カイヨウは一応国を立て直し、

戦線を開く事が可能になった事。

本国及びアイロンフォレスト側も用意が整った事。

俺は知らせに来た兵士と共にシンラを使いに出し、

最終会議を開く手筈を整えるよう指示。

最後の最後、詰めの部分に入る。

連携を確かなものにしておかなければ、

ひと月以上耐えた意味が無い。

それから更に三日後。

カイヨウとアイロンフォレストから連絡があり、

アーサーとジェルジオ侯は既に本国へ向けて

移動したとの事。

俺も直ぐに暴竜砦を出て本国へ向かう。

その日のうちに本国に到着し、ナルヴィイシズエ両名と

打ち合わせに入る。シンラは本国ロシェはトウチ、

カムイをホクリョウに配置し会議の準備を進める。

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