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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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迎撃戦と元復讐者

 そう、このまま進んでいった後どうなるか。

星とのリンクをしている。それがどう影響するのか。

この戦いにおいてそれが無ければ対等に戦えない。

何しろ向こうは神だ。チート能力のみで太刀打ち出来る

筈が無い。


「星と一つになるとはなんだろうな」

「え?」

「いやこっちの話だ」


 そのままガンレッドと踊り続ける。

俺は踊りとか知らないから見よう見まねだが、

ガンレッドは流石お姫様だけあってそつなくこなし

更に俺をリードしてくれる。


「陛下」


 暫くして王の間の扉が開く。

それと同時に足を止め、ガンレッドと距離を取り

お辞儀をする。


「さてそれでは出陣しよう。姫、愚かな私めに祝福を」


 そう冗談めかしてガンレッドの左手を取り、

甲に口付をしてその場を去る。

恐らく出てくるのはただの兵士たちではない。

トウシンの動きは実に狡猾且つ迅速だ。

ただしテュールほど洗礼されたものではない。


「ツキゲ」


 俺が中庭に出ると、ツキゲが突撃してきた。

顔を俺の顔に寄せた後体を俺に擦り付けてくる。


「陛下」

「ブロウ、良いのか畜産局の方は」

「ええ。彼らは畜産には興味は無かったようで」

「ツキゲもそのままだったしな」

「ツキゲは無理でございましょう。陛下が愛馬であると

思ってらっしゃるのと同じく、ツキゲも主は陛下のみと

操を立てているようで他の者は殆ど乗れませんから」

「そうか。よしよし」


 俺はツキゲの鞍に跨り騎乗した後、

ツキゲの首に頬を寄せ両手で擦て

ブロウを再度見る。


「護りは任せたぞ」

「はい。私には私のやり方でしか護れませんが、

いざとなればこの若い森を護るため全力で戦います」

「頼りにしている」

「陛下」


 その声に視線を向けると、

そこにはメレムとコリン夫妻が居た。


「二人とも留守中にこの国の未来を護ってくれた事、

心より感謝する。また出かけるが今後ともよろしく頼む」


 俺は相棒を引き抜き柄を握る手を心臓の近くに寄せ

目を閉じる。


「任せてほしい。俺は敢えて戦をしたいとも他人の命を

奪いたいとも思わない。だが奪うというなら全力を持って

相手を排除する。俺たちはこの国が好きだ。

大地を育てるなら人も育てなければならない」

「人間も所詮自然の一部」

「どちらが無くなっても成らないものだと俺も思っている。

互いに尊重し支え合う事こそ大地のそして星の未来に繋がる」

「そうだな。よく子供たちを教育してくれ。

今は無理でもその考えが定着し脈々と受け継がれていけば、

この星を壊そうなどと思いもしないだろうから」


 メレムとコリンは頷く。元々メレムは無表情だし口数は少なく、

コリンは笑顔だが口数は少ない。巨人族ではあるが何か

不思議な感じがしている。


「陛下には恐らく幸運がある。陛下と俺たちの心は一つだ」

「期待しよう。では行ってくる」


 俺はその場を後にする。南門を出ると、俺が連れてきた

七百五十人が列を作り待機していた。


「さぁ行こうか皆の衆。恐らく引き込んだ方が楽ではあるが、悪いが俺にその気はない。トウシンの族共に我が愛しき者たちが住まう大地に足を踏み入れさせるなど、虫唾が走る。ここへ来る前に叩き潰す」


 俺はゆっくりと皆の前を言葉を紡ぎながら通る。

皆勇ましい顔をしていて、誰が将軍であってもいいような

気概を持っていた。


「ナルヴィ、イシズエ、ロキ、ドノヴァン、トロワ」


 俺が呼ぶと隊列から飛び出て俺の後に続く。


「ロシュ、アゼルス、ロンゴニス、恵理、ファニー。皆の者出陣だ!」


 鬨の声を上げ皆が国の南門へ向けて走り出す。

そのままの勢いで南湾岸線を突き進む。

俺の両脇を恵理とファニーが固め、

後ろにロキナルヴィイシズエと続く。


「陛下!」

「全軍蹴散らせ! 突貫せよ!」


 皆雄たけびを上げて得物を手に突撃する。


「いけっ! 甘き罪の暗礁(フィアラル・ガラール)!」


 俺はスットゥングの泡槍を敵の中腹に投擲し

奥義を展開。敵は騒然となり隊列を乱した。


「陛下!」

「ロンゴニスよくやってくれた」


 神業と言ってもいい。俺の米神に向けて

飛来した矢を後方から放たれた矢が粉砕した。


「鶴翼!」


 ロシュの掛け声で横へと広がり、

トウシンの兵士たちを包む込むべく

動き始める。


「さぁ来い。コウヨウの王はここである!」


 俺はツキゲの馬上で腕を広げ相棒たちを掲げる。

皆も声を上げた。恐らく俺が想像する奴なら

俺をこっそり討ちに来るはず。

なら身を隠すより晒した方が安全だ。

案の定というか当然のように乱れたトウシン兵は

ちりじりのまま突っ込んできた。

ただそれをロンゴニスを始めとする弓兵隊や

ファニーや恵理に迎撃され餌食になる。


「何故このような事をしたのか。単独で」


 俺は一人呟く。普通なら指揮するものを

別に立てて打って出る方がまだマシだろうと

思ったからだ。恐らく指揮を放棄して混戦を狙い、

その隙にと思ったんだろうが、こっちは数多くの

戦と鍛錬を重ねている。編隊も特にこの部隊において

隙は無い。


「ぶるるるる」


 ツキゲが首を振る。俺は黒隕剣を放り投げる。

ガツッという音共に黒いマントが上から来た。


「最初から反乱は成功しないと踏んでいたのか?」

「当然であろう。あのような者たちに出来るはずもない」

「バルドルは生きているはずだから、貴方は法の番人の方のはず」

「確かに。この戦いに意味を見いだせないのは互いに同じ。されど我らも子。逆らいようもない」

「そうか。なら捕えさせてもらうぞ」

「くっ!?」


 恐らく、元々の流れであったなら復讐者として

俺の命を取れたかもしれない。

が、俺はバルドルの命を救った言わば恩人。

確殺出来るどころか逆に出る。

あっさりと小剣を叩き落とし、その隙に

ドノヴァンが黒マントを羽交い絞めにして拘束した。


「悪いがうちも忙しい。法の番人として存分に働いてもらおうか」

「馬鹿な……」

「貴方は法には忠実なはず。それがどこであっても。俺に忠誠を誓う必要はない」

「法は絶対ではない」

「勿論。人が人を裁く事は難しい。だがルールは必要だ互いに共存していく為にはな。そうだろうヴァーリ殿」


 その黒い布から現れた銀髪の青年は苦々しい顔をして俺を見る。


「良いじゃないか仕事は仕事。バルドルへのお仕置きは俺がやるから」

「是非そうしてくれ。兄者は今なんというか、どうしようもなくなってるから」

「それもあって自ら来たのか?」

「そうだな。兄者には無駄だと進言したんだがな」

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