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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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電光石火

 皆は目を丸くして顔を見合わせた。


「俺が先に城まで行くから、皆で競争してくれ。

一番に辿り着いたものにはなるべく希望に近い

褒美を出そうと思うぞ」


 俺の言葉に皆気合いが入る。

その後指示をだした。

先ず正面に全兵力を集中。

場内の兵士の目を正面に釘付けにする。

その間に俺たちは場内に潜入する。

指揮はロンゴニスとアゼルスに任せ、

中から出てきたら引いてを繰り返し、

出来れば場内の兵士を空にする方向で

動いてほしいと指示を出す。

あくまで以前は味方同士。

守備に当たっている兵士の中には

今も上の指示で仕方なく従っている者もいるだろうから、

説得をする事も付け加えた。


「では出陣と行こう」


 俺は皆に激を飛ばした後、軽くそう告げて

本国へ潜入する。通常であれば難攻不落の城で

しかも中にも壁がある事もあって侵入が難しい。

敵として攻めるなら嫌な城だ。軍として動くなら

俺も中々厳しいものがある。

が、生憎単騎でしかも俺はここの主だ。

城に戻り高らかに宣言すればそれでお終い。

ただし出来れば無力化し無抵抗のまま降参してほしい。

この後トウシンの兵士と一戦交える都合もある。


「備えあれば憂いなし……っと」


 コウヨウは籠城する場合、半永久的に出来る

よう小麦畑や水路、植林地帯や畜産牧場なども

兼ね備えている。それ故に塀を超えるとその後の

侵入も容易くなってしまうので、警備はしっかり

してもらっていた。が、この都市の拡大を考案したのは

俺だし、こういった事も当然予期していた。


「陛下、やはりこちらにおいでになりましたか」


 ふくよかな体系にやわらかい顔の男が一人、

柵の中で家畜の世話をしていた。

俺を見かけると帽子を取り頭を下げる。


「待たせたかなブロウ」

「いいえ。寧ろ早い方かと」

「どうだ守備は」

「問題無く。しかし何故反乱など起こしたのでしょう。私のような学の浅いものが言うのもなんですが、今はコウ王陛下の御世。繁栄に沸き敵国を退け更にはこの大地を滅ぼした者たちとも前線に立って戦い続ける。そんな王を見た事がありませんし、誰もが手放す事を恐れております。故に場内では不満が募り続けており、はたして後何日持つのか」

「そうだな。起こすなら戦いが終わった後でも良かろうに」

「最もそう考えても隙が無いと思っての反乱かもしれません。……余計な事を申しました。さ、どうぞ陛下、お住まいへお戻りください」


 ブロウは家畜たちを優しく押して道をあける。

その先の地面を蹴ると穴が開いた。


「陛下、お供いたしますか?」

「いいや大丈夫だ。ブロウは自分の仕事を全うしてくれ。ブロウの仕事はこの先の未来を創る大事な仕事だ。ブロウたちの頑張りなくして人の未来も望めまい」

「陛下……」

「ではな」


 俺はそう告げてその穴の中へ飛び降りる。暫くしてから

左右に足で蹴って速度を落として進むと、

地面に降りる。ちなみに水路と同じところに作ったりはしない。

それこそ都市を押さえていれば容易に見張れるからだ。

ここは水路の更に下に作ってある。ここから少し進むと

西側の城門横二百メーター位の場所の城壁の真下に付く。

あまりこんな事をいうのもなんだが、

ストレスが溜まった時にストレス解消で目を盗んで

掘り続けた穴なので、ブロウも正確な位置は知らない。


「ストレスって大変だなぁ……」


 実際使ってみると割と長くてストレスの凄さに驚く。

頭髪に影響が出ないのが異世界の良いところだと

変に感心した。


「さてと」


 忘れっぽいと自分では思っているが、

自分の家の位置くらいは把握している。

暫く進むと自分の通っている穴とは違う

空気が通っている感覚がした。

そして暫く穴を掘ると、以前俺が

この国を攻めた時に掘った穴へと通じた。

ちなみにロシュたちにはこれ以外の道のヒントを

与えている。塀を超える前に五つ、

超えた後隠し小屋が五つ。見つけられればスムーズに

越えられえる。俺がそれを使わないのは、

今後何があるかわからない。

俺が通った道はしられたくないし

それ以外は変えられるのでヒントを与えた。


「俺の勝ちだな」


 俺は城の一階広間下を掘ってゆっくりと

外に出てそうつぶやく。周りの兵士たちは

目を丸くしていた。


「どっちで驚いた? 早い事か? それとも

ここから出てきた事か?」


 俺の問いに誰も答えない。まぁそうだろうな。

王様が単騎で城の床から出てきたら

下手なホラーより怖い。

相棒二振りを引き抜くと、周りにいた兵士たちを

一刀両断する。


「来るなら来ても構わんぞ?」


 俺の城を占拠し警備している兵士たちに対しては

言葉は不要。俺は問う事はそれ以上せず切り捨てる。

苦しめぬよう急所を確実に狙う。

何も考えず見ずただただ斬る。

そして研ぎ澄まされていき、

速度は上がっていく。


「おっと」


 俺の背中に何かが当たった。

それほど隙があるとは思えない。

そしてこの感覚。


「随分と一人で盛り上がっているな」

「待たせたか?」

「いいや。退屈ではあったが良い休暇が取れた」

「なら結構。後は城門の拡声器のところまで

エスコートしてくれるかな?」

「普通は逆だろう。我は女性だ」

「それは失礼。ならエスコートさせていただこう」


 ファニーに背中を預ける事で、

更に速度は増していく。

逃げ出すものも出てきたが、生憎逃がして

これ以上増やされても困る。

黒刻剣(ダークルーンソード)を投擲し潰していく。


「よう。待たせたな」


 俺が見上げる先、拡声器までの階段には

兵士が詰まっている。彼らの顔は恐怖と覚悟の

色が混ざった顔をしていたが、

その先にいる男の顔は穏やかな顔をしていた。

元々鬼気迫るというような顔をする男ではなく、

寧ろ慈愛に溢れる顔をしていたし、

祖国を出たのは憂いての事だ。

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