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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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撤退と反乱の首都へ

ヨウトは例の件があって複雑な思いがあるだろうし、

ウルシカもトウシンの件でどうにも動きが鈍かった。

経済の発展に寄与してくれたが、

今その安定期に差し掛かり迷路に居たのかもしれない。

俺はそれに構ってやる事が出来なかった。


「ロシュ、全軍に退却命令を」

「陛下」

「惜しい気もするだろうが、また取り戻せばいい。ここの住民は絶対的に信用ならない。それについてトウシンの王を調べる必要があるし、出来れば引きずり出したい。だからこそ今ここに拘るのはやめて、トウチをアシンバとシンラに守備を任せ全速力で本国に戻る」


 集まっている皆は口惜しい顔を其々している。


「勿論俺だって皆の犠牲の上にここを取ったんだ。気安い気持ちで撤退するわけじゃない。ただ未練を引きずれば魂も引きずられる。今は五体満足のまま本国へ帰り家族を助けよう」

「はっ!」


 ノウセスが先陣を切って声をあげると、

皆覚悟を決め声を上げた。


「軍神テュールにならって迷いなく迅速に、な」


 そう指示して皆を下がらせる。

一人領主の間に残った俺は相棒二振りを引き抜く。

正直目を掛けてそして尽くしてくれた二人に対し

迷いが無いと言えばウソになる。

が、俺がやらなければならないだろう……。

それがオーディンと戦う為に王になる事を選んだ

俺の役目だ。


「陛下……」


 ロシュが再度入ってきた。


「何か問題かな」

「はい。コウヨウの南、海岸線沿いから進軍を

されているようです」

「関所が止まっているな」

「左様です」

「そうか。まぁそうなるだろうな」


 そう、求心力としてヨウトと

ウルシカのみでは足りないはずだ。

俺の慢心とも言えるのかもしれない。

丁度ナルヴィも離れている。


「陛下、私を罷免なさって頂いて構いません」

「何故?」

「彼に連なる者故」

「お前も俺を裏切ると?」

「御冗談を。仮にそうであるならば、私がいの一番に声を上げなければ出遅れすぎです」

「すまない意地悪をしたな。そう思うよ。何しろ今王になったところで何の得もない。勝っても負けても恨みを買うだけだ。俺が書き記した条文を変えれば更に恨みを買う」

「選挙による国王の選出ですか」

「民主主義が良いかどうかはまた別問題だ。それ以前に生まれによって全てが確実になってしまうよりは、そうではない可能性が一パーセントでもあった方が夢がある。せめてこの戦いが終わった後に残るのは恨みや憎しみだけではなく夢や希望も多く残したい」

「陛下……」


 領主の間に重臣たちも集まっていた。

どうやら撤退の準備は出来たようだ。


「さ、帰ろう。本国こそが我々の源でありこの大地の希望であり未来であり夢である。それを護ってこその統一であり最終決戦に臨む資格が出来る」


 皆迷い無く頷く。

こうして俺たちは報告を受けてその日のうちに

ログを放棄し撤退。暴竜砦にアシンバと多く兵を三分の二、

更にトウチにシンラと残りを配置。大本営を忍びの里に

俺やノウセスにロシュで作り、セイヨウとホクリョウに伝令を送った。

半日掛らずしてナルヴィにハンゾウが里に来た。

状況としては本国は外からの侵入の一切を遮断しているとの事。

兵の数は千ではあるが、加担している者は三分の一程度のようだ。

それも各将の部隊に属しているからというのが大半らしい。

忍びの里のリクトが指揮し、密偵からの情報も得る。

コウヨウ南からトウシン軍が到着するまで後二日程度。

この間に反乱を押さえ更にカウンターを仕掛けなければ

ならない。


「で、ファニーと恵理は?」

「はっ。当然お二人は相手に拘束されておりません。市民を護りつつ陛下の御帰りをお待ちしていると」


 リクト、そしてグオンさんから反乱者の名簿を受け取る。

ウルシカにヨウト、そしてユズヲノさんの旦那、

それに


「そうか、良く決心したな」


 イシズエの名を見つけ俺は頷く。

更にはオンルリオの名とドノヴァンの名もあった。


「陛下は一切動揺が無いように見受けられますが」


 ナルヴィは若干青筋を立てていたが、

俺を見て安心したらしくいつもの雰囲気に戻った。


「無いな。元々そういう事もあろうかと思って

策を自らの足元にも張っているし、

こっちには強い味方もいる。

向こうだけが有利ではないさ。

正直国民さえ帰ってくればどこでもやり直せる」


 俺の言葉に皆力強く頷く。

国民が絶対付いてきてくれるという自信はないが、

圧倒的なアドバンテージと皆のお陰ではあるが

繁栄させた実績もあり尚且つテュール達にも

対抗できる。ユグさんに相談してトウチ方面に

移動してというのも考えなくはないが、

現状そうなるとカイヨウも壊滅し、スカジというか

フリッグさん達に圧倒的有利になってしまう。

生贄にされていく様を見れば眼も覚めるのかと

考えなくもないが、軍神相手にそんな無謀は出来ない。

生贄と召喚を繰り返していればデッキに残るのは

最強の一枚。コストも場も申し分なければそれで終わりだ。

逆転は不可能に近い。そんなにバランスの悪い事は

無いと思いたいが。


「向こうから要求は無いのか?」

「特にこちらとしては聞く必要性を感じませんでしたので」

「いえ、あの、要求はコウ王陛下の退位と前の体制に戻し、

他国と和平を結ぶ路線を承認する事だそうで」

「分かり易いな。要求は聞いたがそれは出来ない。

で、今兵力的にはどんな感じかな」

「ホクリョウから半分、セイヨウからは全軍で

七百五十人集まっております」

「将たちは来ていないな?」

「はい。ロウ含め各位はそれぞれの任地において守備を固めております」

「宜しい。ならばナルヴィ、ハンゾウ、ロシュ、リクト、グオンさん、

ノウセス、鬼ごっことしゃれこもうじゃないか」

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