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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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暗雲

俺は皆と共に死者を弔うと、仮眠をとる。

そして休んでもらっていたカトルに起こしてもらった。

俺はともかくカトルはこのままここを

防衛してもらわなければならない。

その為にはきちんと睡眠をとってもらう事が

重要だ。俺のやってる事は偽善かもしれないが、

決意を改めてすると共に自らの一部として

彼らに託された未来を掴み取るべく戦う誓いの為

必要な事だ。


「陛下、まことに申し上げにくいことながら……」


 カトルは申し訳なさそうに俺に言う。

俺は構わないから報告を、と告げると

トウシン方面がおもわしくない事を告げてきた。

俺は他の者たちにはテュールの第二波に備えて

ホクリョウに留まり体調を整え防御を固め、

英気を養うよう指示。当然拒否されるが

王様の命令として無理やりそうさせた。

そして隙を突いてホクリョウから出陣。

出陣と言っても俺一人でツキゲも置いてきた。

俺も神様ではないので物凄く眠い。

今乗っている馬はホクリョウの畜産局の人間に聞いたところ、

若く良い馬で体力もあるらしいので借りてきた。

シライシと命名しトウチへと急ぐ。

道路整備をしていたので、まっすぐ走るだけだった事から

馬上で少し眠る。この馬もツキゲに負けないくらい良い馬だ。

素直で行儀良く丁寧に走る。今は急いでいないので

これ位の方が丁度良かった。


「へ、陛下!?」


 トウチを通り過ぎてそのまま”暴竜の丘”に建てられた

最前線の関所であり砦に夜中に到着する。

門兵たちは驚いて中々開けてくれなかったが、

星力を纏う事で証明できたようだ。

ノウセスやシンラ、それに各将軍も其々の顔で出迎えてくれた。

俺はシライシのお陰で十分とは言えないまでも

休む事が出来たので、報告前に各将を労い握手と言葉を交わした。

 トウシンからの攻撃は凄まじく、

死を賭した攻撃のようだ。何とか防いではいるものの、

このままでは何れ共倒れになる危険があるとのこと。

そうまで兵力があったとは思えない。

スカジからの兵が混じっているのかもしれない。


「打って出る。このままトウシンに構っていられない。

計画通りこのままトウシンを潰す」


 俺の言葉に皆息を呑む。シンラに各隊の状況と

負傷兵を除いた全兵士の数と再編、

そしてトウシン攻略の計画の立案を指示。

俺はそのまま前線に出てトウシン軍を蹴散らし

押し返すと伝えると、皆引き締まった表情を見せる。


「トウシン兵よ喜べ! お前たちの目指す王の首はここだぞ!」


 日が昇りかけたころ、事務や手続き関係を処理して

俺は暴竜砦の東門から出て声を上げる。

交代で出撃する兵士は元より、今まで前線に立っていた

兵士たちも歓声を上げた。

そのままシライシと共に最前線まで出ると、

敵をスットゥングの泡槍で突き放り投げ薙ぎ

前を開けた。敵兵も最初は俺を倒せば、と思っていたようだが、

俺が来て敵を投げ倒して進むのを見て、

うちの兵士たちの士気も上がりそれが波となり

トウシン兵達を敗走へと追い込んだ。

ただ朝昼夜も休みなく攻めてくるトウシン兵の

拠り所である砦をそのまま攻めるべく

突撃しようとした。が、どうも気合いが入りすぎて

交代の兵士まで付いてきてしまっている。

ロンゴニスに一緒に引くよう言っても

是非と言われるし、アゼルスも笑うだけで

取り合わない。皆大分フラストレーションが

溜まっていたようで、それが俺の登場で爆発したようだ。

恐慌状態なのではないかと心配したが、

先ずはここを押し返さないと仕切りなおす暇がないので、

状況を見極めることにした。

 結局そのまま敗走する兵士を追撃しつつ、

トウシンの砦ではなく街まで来てしまった。

攻城兵器がある訳ではなかったが、

アゼルスの兵器と俺の力で門を粉砕。

そのまま傾れ込み、夜更けには街を制圧。

苦しまぬよう領主を一突きにし、

遺骸を辱めぬよう丁寧に埋葬した。

ノウセスとアシンバによって三交代していた

残りの兵によって道路整備を急ピッチで進める。

俺はロシュ達に休むよう指示し、そのまま

兵士たちにも休憩を交代で取るよう指示。

すぐさまこの街の帳簿などをチェックし、

更に備蓄もチェック。そして俺の統治に

反対する者は今すぐ退避するよう宣告した。

恐らくここからトウシン軍も最前線の街を

取り返すために攻勢を強めてくるだろう。

俺としても補給線の伸びが気になる。

時間を掛けていてはトウシンに有利になる

ばかりでなく、テュールにもまくられてしまう。

カイヨウが自立歩行出来るまで、

出来ればコウヨウが押している位でないと。

その為には五月蝿いトウシンを抑える必要がある。

 この街はログというらし。

人々は商売が売りのトウシンとは思えないほど

穏やかで人を騙そうなど微塵も考えていなさそうだった。

だがそれだけに気になる。敵国に侵略されて尚、

その表情に揺るぎがない。一体何があるのか。

この街の有力者と話をしてみたが、

上辺だけの美辞麗句で全く話にならなかった。

そのまま朝昼と調査などで過ぎ夜に差し掛かる。

起きてきた重臣たちに十分注意するように伝え、

更にノウセスアシンバ隊に、本国との連絡を

密にするよう指示を出した。

何か嫌な予感がする。俺が前線に立っていたから

なのか、本国からの連絡が途絶えがちの様な気がして

ならないからだ。


「陛下!」


 ログ制圧から三日後。俺もトウシン迎撃隊の

再編に追われていた中で急報が入る。


「首、首都で反乱です!」

「そうか」

「しゅ首謀者は」

「ウルシカとヨウトであろう」

「……え」


 俺は報告に来たロシュ達にそう答える。

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