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3つの鍵と1つの門

コウとアーサーが消えた王座の間では、

突然の来訪者に揺れる。

「コウ、何処へ行った!?」

「コウ殿!」


 残された王座の間で仲間達は

コウの姿を探すが何処にもない。

突如消えて混乱に陥る中


「お前達……無事か?」


 傷だらけのビッドとビルゴ、そしてリムンが

王座の間へと辿り着いた。


「ビッドの旦那達!?無事だったのか!」

「ああ、何とかな。この人のお陰で」


 ビッドは横に居るショートカットに

金髪の中性的な人物を親指で指す。

裾の長い緑色のワンピースに白のサーコートを着ていた。


「……どちら様ですか?」


 姫は奇妙な感覚に捉われ、そう尋ねる。


「アンタ何者?」


 アリスも同じ感覚に捉われ、後ずさる。

不気味な雰囲気を纏っている

中性的な人物は口を開く。


「なんだ冷たいな。血を分けた者同士なのに」

「誰とですか?」

「そうよ……誰とよ」

「今怯えてる人と」


 姫とアリスは顔を見合わせる。

それを見て中性的な人物はくすくすと笑う。


「無理もない。お母様が危険を感じて逃がしてくれなければ、僕は生贄になっていた」

「…え!?」

「イーリス、いやイーディス、貴女何も話して無いの?」

「……私も死んだと思っていたわ」

「ふーん、凄いね、お母様は。魔族の目も欺くなんて」

「イーリス姉さま!?」

「……あれは、貴方の姉であり、姫の双子の姉でもある」

「どう言う事ですか!?」

「改めて自己紹介するよ。村娘Aことロリーナです。宜しくね」

「ロリーナ!?」


 一同はその怪しさから警戒を解かない。

あのアーサーの仲間かもしれないという

疑念をぬぐえない。


「確かに警戒されるのも無理無いね。まぁでも今はそれどころじゃないでしょ?リムンちゃん力を貸してね」

「うん、良いだのよお姉ちゃん」


 リムンは笑顔でロリーナと名乗る

村娘にしか見えない人物に頷いた。


「さぁ皆、コウの居る所へ行こうか」

「何故貴女がコウ殿を知っている!?」

「だから言ったじゃない村娘Aだって。コウに会えば分かるよ」

「で、どうやって何処に行こうと言うの?」

「あの転生者が隔離した空間へ。リムンちゃんの結界の技術と、私の力、そしてアリスが居れば、あの転生者の物語は完全になる」

「それはアイツが強くなるってことじゃないの!?」

「いいや違う。あの転生者は忘れてしまっている。自分が焦がれた物語を。そして自分が描いた結末を」

「意味が解らん」


 リードルシュが一同の代弁する一言を放つ。


「あの男が焦がれた物語は異世界へ紛れ込むアリスという主人公の話。ならアリスがそこへ行けるのは道理でしょう?」

「それで」

「あの男が参考にして作った物語は、王が治める国に竜が来て、それを自分を映した主人公がその世界に入り倒して平和を取り戻し、元の世界へ帰るっていうもの。あの男は自分が転生した事で浮かれ、物語の結末を変えてしまった。でもそういう事をすれば、世界は修正する為の存在をこの世に送り込む。それがコウなんだ。」

「お前達が居る事で何故完成する」

「アリス、イーディス、そして僕ロリーナの三姉妹が居ないとその空間へ渡る穴を作れないんだよ。コウは意図してアリスとイーディスを温存してたわけじゃ無い様だけど」


 一同は静まり返る。

突然現れた人物が語る話に困惑しているのだ。


「俺が聞きかじった限りは、男と女の双子だったはずだが?」


 リードルシュが疑問をぶつける。


「それはお母様が危険を感じて偽装した人形だよ。お母様は出産前に堕天使から元の力を少し取り戻した。何せ生命を誕生させる母という存在は、昔から神秘的な存在とされてきたからね。それで宰相の存在が変だと気付いた。そして男の子の人形に魂を分けてそれらしく仕立て上げ、僕は乳母に託され村へ逃れていたんだ」

「流石元天使と言ったところか」

「そういう事。さぁアリス、イーディス、中央へ三角形になるように並んで」

「……しょうがないわね」

「釈然としないけど仕方ないわね」


 アリスとイーリスは王座の前に向かい合うように、

離れて立つ。

ロリーナは王座の正面に立ち手を突き出した。


「リムンちゃん、私達の丁度真ん中に結界を王座を頂点にして三角形に立ててくれる?」

「あい!」


 リムンはたたっと素早く移動すると、

結界を素早く三枚三角形になるように展開する。

連戦で結界を張るのに慣れたのかスムーズだった。


「オッケー。アリス、イーディス、手を前へ突き出して」

「了解」

「フン」


 アリスとイーリスは言われた通りにする。

今他の取るべき手段が無いので従う他無いので

素直だった。


「念じて魔力を放出して。他の人たちは穴が開いたら直ぐ飛び込んで」

「良かろう」

「それしか方法はなさそうだしな」

「うっし行くぜ!」

「リムン、俺につかまっていろ」

「お父お願い」

「鬼が出るか蛇が出るか……」


 姫達は様子をジッと窺う。

ロリーナとアリス、イーリスの魔力が

リムンの結界に当たるとそれを包みこみ、

空間を歪ませる。

そしてガラスが壊れるような音と共に、

黒い渦が現れる。


「さ、行くわよ!お先に!」


 ロリーナは一番にその渦の中へと飛び込んだ。

自分が飛びこまなければ誰もこないだろうと

考えてそうしたのだ。


「気に食わないわ」


 アリスは文句を言いつつも、勢い良く飛びこむ。


「全くだわ。さっさと片付けてアイツも片付けないと」


 イーリスは物騒な事を言いつつ飛び込んだ。


「私達も参りましょう」

「当然!」

「だな」

「あい!」

「ならば行くぞ!」

「おう!」


 全員が渦の中へと飛び込んだ。

その先にどんな空間が広がるのか。

コウは無事なのか。

それぞれが思いを抱き決戦の場へと赴くのだった。

ロリーナの手引きで渦をくぐり、

決戦の場へと乗り込む仲間たち。

ついに物語の終幕に近づく!

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