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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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急報

 

 俺達は一旦ジェルジオ侯とルーテルの

ところまで戻り、更に領民たちにも話す事にした。

今のはこの大地を壊滅まで追い込んだ、

神の使いである事を。ナルヴィやロキ、

ファニーや恵理もフォローしてくれて

上手くいったと思う。危険が及ぶと思えば

急いでホクリョウ近くまで下がる事、

また他の領地の人間と名乗る者に注意する事も

付け加えた。

 元々フリッグ教団に対して懐疑的だったものが、

ついに神の使いまで呼びだして襲いかかった事に

怒りを覚え抵抗を誓うものと、

フリッグ教団へ戻る意思を固めた者とに分かれた。

ジェルジオ侯とルーテルに判断は任せるが、

俺としては行きたい者は行かせる以外無い

禍根を残すと伝えた。二人も応じてそうするよう

声明を出した。

 心配だった為一晩泊まり様子を見る。

特に襲撃も無く朝を迎え、後ろ髪引かれる思いで

アイロンフォレストを後にする。

すぐさまコウヨウに戻り、ロキにはラハム様に

連絡を取って貰う事にした。

が、結果は芳しくない。


「どうだった?」

「……強気に出る訳だ。まんまと嵌められた」


 くそっ! と叫びながら王の間にある

椅子を蹴り飛ばすロキ。


「例の人から連絡が来ないってことは

推移を見守るって事かな」

「でありましょうな。大きすぎる力を行使すれば

修正されます。ですが何もないという事は」

「遮断されただけと見て良いかもしれない。

だが狙いは分かり切っている」

「まだそう決まった訳じゃない……なんて言えないか」

「そう言う事だ。この大地を封鎖しているのは

オーディンだ。何故封鎖を許されたのかと言えば、

彼が彼として星に住む者達の運営の実績による信頼で

許可された」

「父上、それ以上は」

「大丈夫だ。ここからは僕だって知らない。

何をしようとしているのかは、な。

不味い事に向こうにはティアマトが居る。

その他のメデューサと異世界人の混合体もだ」

「こっちも俺と恵理、ひょっとするとエムリスもそうだ」

「……アーサーとの会議を再度行うと言うのは」

「確かめる意味もある。アーサーについても謎が多い」

「何にしてもこれまで以上に攻めていかないと

フリッグ相手に更に後手に回る事になる」

「考えてみればこっちが絶好調過ぎたんだ。

前戦全勝躓きなしではないにしても」

「今更そんな事を言っても始まらない。

前向きに考えてくれ。ナルヴィ、アーサー王との

会談をコウの代わりに事情を話して

取り付けてきてくれ。ただし不味いと思えば

急いで引き上げろ」

「心得ました。父上、コウ王陛下を頼みます」

「お前こそ今ここで倒れるなよ……ここからが本番だ」


 俺たちは頷きあって王の間から出ていく。

なるほど道理で強敵が現れず順調に足場を

固められた訳だ。何せ向こうは王手を掛ける

キーとなるカードを持っていて、

更にそれまでの工程を行うカードも

手元に来ているんだからな。

後はただこっちに合わせて出していけば良いだけだ。


「どうやったら止められる?」


 ラグナロクを恐らくオーディンが行使できるのは

一度だけ。となれば死因に直結するロキを

先ずは排除したいはず。巨人族はギリギリ生存させる

事によって”ラグナロクを起こしていない”状態を

維持していた。この大地の封鎖を解く一瞬で

オーディンは来訪し俺たちもろとも滅ぼすんだろう。


「こっちにあるカードは何だ」


 俺は星力を借りて星と繋がった。

それにより壊滅的な一撃を防げると考えている。

だが何度も出来るとは思えない。

向こうのキーカードを潰せる手立てが

こっちに幾つあるか……。


「やってくれるじゃないか……」


 元から消費するものなら運営する必要は無い。

必要な事を最低限行うだけで良い。

掌で面白い事遊ばれていただけだ。


「陛下!」


 バルコニーで無い頭をフル回転させていたところに、

イシズエの声が飛んできた。


「良くない知らせだな」

「はい。カイヨウが襲撃されました」


 だろうな……。俺なら


「トウシンも出てきたな」

「はい……」


 そうするだろうと思っていた。

事実上二対一対一。しかも召喚で

使い潰しの出来る強力な安い手があるなら、

二対一にするだろうし、服従させられれば

三対一の構図にする事も出来る。


「まぁ元々弱小個人勢一冒険者」

「陛下……」

「常勝軍団というのが座りが悪かったんだ。

イシズエ、早速反撃と行こう」

「陛下!」

「急ぎ重臣を集めてくれ。反撃の狼煙を上げるぞ」

「心得ました!」


 俺はトウチに対して増援を指示。

数は千。カイヨウへの援軍は俺が率いる千。

俺の軍にはロキとファニー、恵理の三人を加え、

首都の守りはナルヴィとガンレッド、

リムンにエメさん。残りの将を全てトウチへ。


「皆、この大地のみならず、巨人族の未来を決める

戦いが始まる。スカジのフリッグ教団がその口火を

切った。皆も薄々勘付いていたと思うが、

フリッグ教団は神の使いを呼び出し

その真の姿を露わにした。皆の中には荒廃する大地を

想像し逃げたい気持ちになる者もいると思う。

だが考えてほしい。ここまで復興だけでなく更に

進めたのは、巨人族の皆の力だ。

そして何より今は俺が居る。俺はあの荒れ果てた

大地をもう一度させるつもりは毛頭ない。

皆で丹精込めてならした大地、育てた畑、

育んだ日々を流した汗と血を、

神の名のもとに滅ぼさせはしない。

その為に皆にも無理を強いてしまうかもしれないが、

力を貸してほしい。どうかこの大地を共に護って欲しい」


 全国民に対して思いつく限りの言葉を

思いを込めて伝える。自らを奮い立たせるように

皆が声を張り上げてくれる。


「行くぞ皆! 全軍全国民出陣だ!」


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