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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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ジェルジオ侯との会談


「よっしゃ始めようか!」

「「おー!!」」


 一夜をホクリョウで過ごした後、

道路整備に着手する。

ロシュにロウたちを呼ぶよう指示し、

本国へ一旦帰国させた。

ホクリョウの内政はカトルが居るから

俺が何かする必要もない。

恵理はホクリョウの婦人部と

交流をしつつご飯を用意してくれていた。


「待たせたな!」


 それから三日後、ファニーが

ロウやメレムコリン夫婦と共に来た。

これにより作業は効率化が進み

速度は上がった。

元々自然が不足している地域だったので、

石を除きつつ道を整備し

更にホクリョウ周辺の土壌改善も

しながら道路を作っていく。

丁度アイロンフォレストまでは

川は無い。橋を作る必要が無いだけ

労力は少なく済んだ。


「これは……」


 一週間掛けてアイロンフォレストまでの

道路整備を一気に仕上げた。

それを見てジェルジオ侯とルーテルは

驚きの声を上げ、門前で出迎えてくれた。


「じゃ!」


 俺たちは手を上げそう言うと、

颯爽と引き揚げていく。

唖然とするジェルジオ侯とルーテルの

姿は遠くから見ても面白かった。

 カトルに完成を伝え、塀の建設再開を

指示し俺達約八百の兵は本国へ引き上げる。

日が暮れる前に本国に戻ると、

兵士たちに褒美と休暇を与えて家に帰し、

ロシュも疲れが見えたので帰した。

ロウ達も元の開墾地に帰りメレムとコリンも帰宅。

残る俺達は直ぐに王の間で会議に入った。

相変わらずトウシンはちょっかいを

出してきているようで、

兵士たちにも疲れが見えるとの事。

俺は入れ替えの期間を短くする事、

そして


「トウシンを攻めようと考えている」


 と告げた。これには皆納得の表情だった。

消耗戦になれば勝てるが、被害が馬鹿に出来ない。

国内でもトウチに対する不安の意見が出ていた。

時期についてはなるべく早めに、

攻める際の兵は三千。

トウチ守備隊はそのままで、

本国の三千のみで一気に首都まで駆け上がる予定だ。

その為に事前偵察を綿密に行う。

ウルシカはこの任務から外した。

今と昔とは違いがあり、先入観が邪魔をする可能性が

大きい為と告げる。ただし意見を求める為、

副官として据えた。更に戦後の経済構築も

ウルシカに指示する。

これにはトウシンという商売国を納めるにあたり、

トウシンにとって知己である方が

混乱が少なくなるだろうと考えての配置だ。


「早速リクトに連絡、グオンさんと

ロシュを招集し、カムイが陣頭に立って

トウシンを毛穴まで分かる位に調べ上げてくれ」


 会議はそれで解散となる。

慌ただしい日々が終わるのはきっとこの大地が

平和になった時だろう。


「コウ王陛下、御招き頂き恐悦至極に存じます」


 一週間後、ホクリョウでジェルジオ侯を招いて

会談が開かれた。


「こちらこそ招きに応じて頂き感謝いたします」


 恵理御手製のグレーの背広に身を包み、

メレムとコリン夫妻や

ロウにロシュと道路整備組と一緒に

会談に臨む。

俺の横に恵理とファニーが挟むように

座って貰っている。

恵理は赤のドレスを、ファニーは黒のドレスに

身を包んで、髪もアップにして装飾品を

身につけていて御姫様のようだった。

そう感想を告げると二人に腹を殴られた。辛い。


「いやぁ全くもって別日にして良かった。

本当に良かった」


 満面の笑みを浮かべ、俺とファニーと恵理とを

其々がっしり握手をした後舐めまわすように見ていた。

個人的にはもっとラフで良いと思ったんだが、

今後同盟などで盛大な催しがあるだろうから

その事前練習で恵理はどうしても一度

しっかりおめかしした感じで

やってみたいというのでこうなった。

が、相手を間違えた気がとてもする。

恵理を見ると同じくげんなりしていた。


「ジェルジオ侯、いい加減にしてください」


 ルーテルはうんざりした気持ちと、

やはり格の違いをまざまざと見せつけられたという

悔しい気持ちからか、ジェルジオ侯に

きつめに言った。


「すまないつい」


 悪びれる事もなく素直に謝り離れるジェルジオ侯。

ホント素直なんだなぁこの人は。


「ではジェルジオ侯、ルーテル嬢も席にどうぞ」


 ロシュは二人に着席を促した。

その後俺と恵理とファニーも座る。


「御もてなしに対して我々はコウ王陛下に

御進物も無く不敬に思われたと思いますが、

何分豊かではなく」

「気にしないで頂きたい。

何れ成果でお返し頂ければ済む事。

統治は難しい問題です。

我々としてはその地に住む人が

統治する事が望ましいですが、

諍いは望んでいません。

フリッグ教団ありきのスカジとは

結べませんが、それ以外なら可能性は

大いにあると考えています」


 少し固めに返答した俺に、

ジェルジオ侯は満足なのか

目を瞑り力強く頷いていた。


「侯! 失礼ですよ!」


 ルーテルはヒソヒソ声にしながら

ジェルジオ侯をしかった。


「何を失礼なものか。コウ王陛下の

このような御姿を間近で見れ、

また御言葉を拝聴出来て

私は満足だ。スカジ本国の連中の

下品な顔と礼儀作法にはうんざりする。

同じ男とは思えぬ」


 何やらスカジも存外生臭いらしい。


「今日はジェルジオ侯に折り入って

御願があるのです」

「これはこれは……。私は陛下の

臣下のようなもの。何なりと」

「有り難い御言葉ながら、

ジェルジオ侯とは同盟関係のようなもの。

上も下もありません」

「陛下、我々とて自らを顧みる事くらい

出来ます。スカジや他国からどうみても

コウヨウは黄金の国。この大地の眩いもの

全てを散りばめ千里を走っても望めるほど

貴国は輝いている。戦争といっては

聞こえが良いが、戦争にはなっていないでしょう」

「まさか」

「何より陛下は物流を御止にはなっていない。

カイヨウにもスカジにも、真っ当な取引ならば

今もまだ道が残っている。もし逆の立場なら

どの国も先ず道を閉ざし護りを固め、

持久戦に持ち込んで疲弊したところを潰すのが

上策。他国民がコウヨウに行きたいのも、

コウヨウが豊かである飲みにあらず、です。

人材も比較にならないかと」


 ジェルジオ侯は熱弁を振るった。

この人は目も良く頭もキレる。

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