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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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怖いお姉さん現る

「そう言う事だ。ロシュを始め

俺の周りには優秀な人が多いから、

多少の無茶も何とかしてくれるだろう」

「……最近陛下は我らに意図的に

仕事を振っておられますね」

「さて。元がずぼらなもんでね。

とはいえロシュには分かってるんだろう?

俺の狙いは」


 俺は微笑みながらロシュを見ると、

ロシュはキザに笑う。


「陛下は軍師には向きませんな」

「なんでか聞いても良いかな」

「露骨過ぎます。もっと巧くおやりに

なる方が良いかと」

「そういうのは任せるよ。

見えない明日より見える今日。

今日が分かり易ければ明日も描きやすい」

「……陛下が陛下で無くなる日が来るか

来ないか賭けをしませんか?」

「賭け事は嫌いなんだよ。

兎角博打の類には縁が無くてね」

「盤石を配してこられたのですね」

「こられてないね。個人的な考えだけど、

おいそれと賭けをしない事が

生き残れた秘訣かもしれないな」


 俺は冗談めかして言ったが、

ロシュは微笑みながらその通りという

感じで頷いた。


「まぁ何にしても看板は遠くから見ても

分かりやすい方が安心安全だという

結論に達した訳だ。で、新任軍師殿の

御意見は如何かな?」

「……分かりました。早速出陣の準備を

致します。名に偽りなしは大きく

それを支えるのが我々であると

肝に銘じます」

「頼む」


 ロシュは傅き一礼した後、

優雅に部屋を出て行った。


「もっとも、見えにくければ見えにくいほど

その威力も馬鹿に出来ないんだけどなぁ」


 一人呟く。トウシンの王は恐らく、

という目星は付いている。

が、いまいちあの時との違いがありすぎて

ただ神輿に乗ってるだけには思えない。

何があったのか何が居るのか。

覚醒というのも変だが、

元々愛される素養はあった。

寧ろ祝福しか無かったはずだ。

ただ変わったとすれば俺との接触が

あった事だ。それによって恐らく変化した。


「会ってみたいなトウシンの王に」


 どのような形で出会うのか。

俺は考えを巡らせていると、

ロシュから再び声が掛り

素早く出陣となった。

それを聞いてイシズエや

ナルヴィ、ロキも驚いていたが、

目にも止まらぬ早さで

留守を頼むと言い残し

出陣する。

あまり国民にプレッシャーを

掛けないようゆっくりと

国を出た後は進んだ。

 その後追いついてきた

ナルヴィとロキ、それに恵理は

文句を言っていたものの、

今更引き揚げる訳にもいかないので

渋々付いてきた。


「陛下」


 カトルがホクリョウの門の前で

待っていた。あの美男子が

慌てている様子に俺は驚く。


「カトルがそれほど取り乱すとは。

相手は凄いようだな」

「全くもって僕には理解が……。

いえ、失礼いたしました私には

理解出来ません」

「どういう事だ?」


 カトルは簡潔に話してくれた。

俺への会談を要求していた

ジェルジオ侯は、その使者を

ホクリョウに送った後

数時間後ここに来た。

それも一人で何も身につけず。

俺はそれを聞いて笑いが漏れてしまった。

恵理に物凄い睨まれてしまう。


「いやいや違うんだよ。

あまりにも業腹な人物なんでね。

で、ジェルジオ侯はどこかな?」

「あ、はい。領主の間でお待ち頂いております」

「服は着てくれてるだろうね」

「も、勿論です!

我が国最高級のものをご用意いたしました!」

「慌てなくても良い。それで結構。

なんというか毒が毒らしくあると

調子が狂うなぁ」


 俺は皆に同意を求めたが、

一同渋い顔をしている。

そして恵理は相変わらず怖い顔をしている。


「コウ王陛下でおられますか」


 整った顔立ちに綺麗な金髪のボブカット。

高い花と切れ長の目。男なら浮世を流したに

違いない人物が領主の間に入ると

窓際に立っていた。

俺を見つけると綺麗な歩き方で

近寄って来て、両手で握手してきた。

何というか背景に薔薇でも咲きそうな感じだ。


「お待たせしたねジェルジオ侯。

早速で悪いけど御帰り願うよ」


 笑顔で言う俺にジェルジオ侯は

笑顔で俺の手を両手で包んだままだ。


「毒が毒らしくあるのは

貴女の高潔な生き方の現れなのだろうけど、

はいそうですかとこちらは受け入れられない」

「フリッグ教団の事ですか?」

「それ以外無いよ。悪いけど印象は最悪だ」


 何故か笑顔で頷くジェルジオ侯。

やり辛いなぁ。


「貴女のそれで押し通そうとしても

無駄だ。これはこの大地の未来を占うもの

でもある。古き神々が再び根付けば、

同じ事が繰り返されるとは思わないか?」


 俺は真面目な顔に戻して問いかける。

イシズエも言っていたように、

それこそ長生きしている方は

地獄を見てきたはずだ。

以前豊かだったこの大地が

荒廃していくのを。

死んでいった幼子達の事を。


「激しておられるのか?」

「貴女は全く動じていないようだが」

「申し訳ないが全く動じない。

育ちが良いものでね。

私にとって神に新しいも古いも無い。

神は神だ」


 さっきから口元だけ変化している

気がしてならない。

失礼な話寒気がした。

ぶっ飛んだ人物だとはカトルから

聞いた話で結構なレベルを想像したが、

それの上を言った。


「なら何故祖国から離反を?」

「聞けば貴方は神を否定しないという」

「否定もしないが肯定もしない。

信じるのは自由だ。

それを人に押し付けたり理不尽を強いたり

しなければね」

「私はそれをフリッグ教団の教徒に対して

激せず諭したと聞いて、これは全てを

晒し降伏しかないと思ってここに来たのだ。

いや見れば随分愛らしい背丈に顔。

巨人族のそれとは違うと聞いていたが、

いやはや……」


 なんかじろじろ見られておる……。

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