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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
アイゼンリウト騒乱編

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冒険者対転生者!

アグニスだった者は伝説の王アーサーの名を借りて攻めてくる。


「さぁ来るが良い冒険者どもよ。まさか逃げられると思うなよ」

「ぬかせ!」


 俺は黄金色の剣と王が姿を変えた銀色の剣を

持つ者へ斬りかかる。


「お前の名前は何だ?」

「私の名前か……私の名前はそうだな、アーサーとでもしておこうか」

「英雄気取りかよ!」


 俺の斬撃をなんなく捌く姿に、

アーサー王の名を語っても足りるほどの

強さがあると思った。

勿論アーサー王は伝記でしか知らないが。

後ゲームとか。

 ただその魔王然とした姿に、闇落ちしたアーサー王に見える。

ウェーブのかかった長い金髪に、

ローブを纏ったアーサーは俺の斬撃を見ている。

様子を窺っているのか。


「反撃しないのか?」

「してもいいならするが、すると死ぬかもしれん」

「やってみろよ」

「ならば」


 そういうと怒涛の攻めが始まった。

防ぐだけで手一杯だ。


「お前は王が相手なら勝てるだろうが、私相手では力不足だ」

「それはどうかな!」


 俺は隙を見てアーサーの腹を蹴る。

後ずさりしつつも、一気に間合いを元に戻して

攻めてくる。


「その剣もこの世界では異質な物の様だが、私の剣には敵わん」

「だが斬り合えているぞ」

「それも終わりだ」


 二剣を素早く斬り、まるで一太刀の様に見た斬撃は、

俺の黒隕剣の剣身を粉々に砕いた。


「強度も何もかも、私の剣が勝っている」

「くっ……」

「長い年月に魔族と堕天使の魂で練成した剣だ」

「このっ!」


 砕けて鍔と柄だけになった黒隕剣を握りながら

呆然としていた俺を吹き飛ばし、

ダンディスさんが割って入った。


「行くぞ!」

「ええ!」

「はい!」

「良かろう!」


 イーリスの合図でアリスに姫、リードルシュさんも

加勢する。

しかしアーサーは二振りの剣を巧みに操り、

付け入る隙が無い。


「しっかりしろ、コウ」


 俺はファニーに声を掛けられるが、

砕かれた黒隕剣を見つめたまま動けない。

俺の愛剣が……。


「馬鹿もの!」


 パンという乾いた音と共に、俺は吹っ飛ばされる。

ファニーが俺の頬をビンタしたのだ。


「あ……」

「しっかりせよ。こんな所で負けるわけにはいかんだろう」

「お、おぅ……」

「情けない。我らにはこの先がある。その為に、我もコウの力になろう」

「どういう……」

「我はファフニール。相手が二剣なら、こちらも二剣になればいい」

「え?」

「必ず勝てよコウ」


 そうファニーが言うと、ファニーはまばゆい光に包まれた。

そして現れたのは、深紅の幅広い剣身に黄金色の柄、

柄頭には蒼色の宝石が付いた剣が現れた。


「我を使って敵を討て、コウ!相手がアーサーなら、より古き物を!」

「……バルムンク……」


 ファフニールを倒した英雄ジグムンドが持ちし聖剣。

元の名をグラム。またの名をバルムンク。

俺はそれを手に取る。

剣に俺の気が流れて行くのが伝わる。

ファニーの気を感じる。

ここまでの道のりは、旅路はこの為にあったのか。

だが黒隕剣が……。


 ――我と共に歩みし者よ――


 頭の中に声が響く。聞いた事のある声だ。


 ――お前も気付いていただろう――

 

 恐らく。でも確かじゃない。


 ――そう、それは正しい――


 ――我が進化した時、何故剣身を分けたのか――


 ――何故そこから光の剣身が出たのか――


 ――我は元よりこの世界のモノにあらず――


 ――幾千か幾万、幾億の星の間を流れ――

 

 ――辿り着いた欠片では無く凝縮された本体――


 ――我は鍛冶師により形を変えた鉱物――


 ――我の真の姿を持て、相手を滅さん!――


 その声が消えると、黒隕剣の鍔の剣身があった所から

光の刃が生まれる。

それはエネルギーの様で、しっかりした剣身では無かった。

だが確かに感じるこの力。


「皆、どいてくれ!」


 俺は二つの剣を持って突撃する。

皆はアーサーから四散し、アーサーは俺に向き直る。


「ほう、古いものが出てきたな」

「物語の世界に相応しいだろう?アンタの偽物とは訳が違う!」

「偽物だと?」

「そうだ偽物だ。アンタのそれはアンタが作った話の剣だ」

「だから?」

「俺が持つのは古の聖剣、そして宇宙を巡って辿り着いた新たな聖剣!」

「聖剣なら我に太刀打ちできると」

「太刀打ち?違うさ、圧倒してやる!」

 

 今まで余裕ぶっていたアーサーも次第に息を荒げ、

汗をかき始める。

勿論こっちも同じだ。

だが土俵が同じになった。

それだけでもデカイ。


「……お前は一体何だ?私の物語には無い人物だ」

「何の話か知らんが、お前の物語なんぞに入りこんだ覚えはない!」


 俺は隙を見逃さず、斬り込む。

段々と斬り方が粗くなってきた。

王と戦場を駆けたというが、それにしては歯ごたえが無い。


「……不愉快な奴め。なら、私も奥の手を出そう」


 アーサーはそういうと、剣を下に向け目を閉じた。


「そんなもん待つか!」


 俺は問答無用で斬りかかる。


「別に待たなくても構わん。我が心もて、場を整えん!」


 アーサーの声と共に体から光が発せられる。

あまりの眩しさに目を瞑ってしまう。

その光が収まった後目を開けると、

そこは洞窟だった。


「何だこれは?」

「私の書いた物語の最後の場面だ」

「何?」

「私が元の世界で書いた、私の小説の最後の場面を、魔力を使ってこの場を変えたのだ」

「……世界を侵食したのか」

「浸食と言うよりも間借りだな。私の物語を思うように終わらせるには、この場が必要だった」

「元の世界って言ったがアンタ……」

「そう元々私はこの世界で生まれた者では無い。信じられんだろうが、私はお前達とは別の世界から来て転生したものだ」


 俺は言葉を失う。

こいつも他の世界から来たのか!?

というかこいつ俺が同じだと知らないのか。

ここは敢えてそれを言わないのがよさそうだ。

ファニーも黒隕剣も同調するように光を発する。


「邪魔者は居ない。さぁ最後の時を迎えようか冒険者よ!」


 アーサーとの正真正銘最後の戦いが始まる。

異空間に取り込まれたコウは!?

そしてこの話の結末は!?

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