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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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迎撃への出陣

時間も無いので俺の方針を伝える。

アシンバとシンラに伝令を出し、

その伝令と共に八百。

ホクリョウは俺が千率いてそのまま

出撃。


「オンルリオには悪いが至急

皆を集め、各将と連携を取ってほしい。

今回はアシンバの元に

アゼルスとロシュ、ヨウトを送る。

存分に知略を示してくれと

ロシュには伝えてくれ。

今日を持って軍師補に格上げする。

ロシュならヨウトにも臆することなく

発言するだろう」


 その言葉に感嘆の声が漏れる。

出生の事もあって、気に掛ける者も

多く居た。歩兵として入っているが、

俺が直々にスカウトした事もあって

いつ上に行くのか囁かれていたのも

知っている。本人と話てももう少し

歩兵からの視線が欲しいと言われたが、

最早そうもいかない。


「ホクリョウについてはイシズエ、

ノウセス、ロンゴニスの三名を基軸に

準備を進めてほしい。親衛隊の指揮は

トロワに、補佐官としてファニー

軍師カムイと補佐にリシェ。

急ぎ準備し出来次第急行する。

以上早急に取りかかってくれ」

「はっ!」


 俺の声に一際気合の入った返事をし

足早に解散した。


「ドノヴァンは残っても良いぞ?」


 俺の言葉に笑顔で黙って答える。

無視か。


「陛下、まさか俺を置いて

いかないだろうな!?」

「いや、貴殿は残った方が良かろう。

要らぬ疑いを掛けられて後ろから

斬られたくはあるまい?」

「誰が俺を斬るんだ?」


 その問いに笑顔で答えるドノヴァン。

無視か。


「嫌でもついて行くぜ」

「御随意に。さて私めも念入りな

準備をして参りますので、少しの間

御暇させて頂きますが、

ガンレッド様、くれぐれもその手を

御放しにならないように。

生涯ずっと握っておられた方が

宜しゅうございます」

「良いからさっさと行け!」


 ああいうのが慇懃無礼というのだろうな。


「コウ、私も呼ばれたか?」


 入れ違いでファニーが入ってくる。

レンは何か慌てて出て行った。

……何だ?


「呼んだとも。連れて行かないでは

波風が立つと思って」

「波風で済めば良いが、な!」


 可笑しいとは思ったよ。

扉から入って来て近付くのと

同じ感じで気が変わって

俺の近くになったら牙が見えたもの。

レン汚いレン。

防衛本能とか諸々によって

直撃は避けたものの、どう考えても

痛い。それも本気で俺のみの

ダメージが行くよう凝縮された一撃。

生身なら吹き飛んでいた。


「あれ」


 自分で冷静に振り返れたのは

気が付いた後である。

王の間から景色は変わって

木造の屋根が見えている。


「御目覚めになられましたか?」


 顔を覗き込んだのはガンレッド。

続いて機嫌の悪そうなファニー。


「生きてた……俺」

「本当に運が良い」

「ホントですね。陛下は運が良い」


 喜ばないでくれガンレッド。

割と君のせいもあるんだ。


「まぁこれもファニー様の失態。

陛下の手綱を引き締められるものが

今まで居らなかったのがいけないのですよ。

獲ったものではなく最終的には食したものの

勝ちです。自然の摂理とも言えましょう。

竜とて黙って食事は取れますまい?」


 ドノヴァン改め煽り執事は

生態系最強の竜を容赦なく煽り、

逆鱗を鼻歌交じりで雑巾がけしている。

こいつ俺を殺そうとしているのか?


「良かろう肉達磨。戦場で誤って

そっ首撥ねられん様気を付けるが良い」

「心得ておきましょう。

私とて次代その更に次代までは

健康でお仕えする気で居りますれば、

軟弱な自分を今恥更なる鍛錬を施し

強化しているところ。

何人たりともコウヨウ国の繁栄を

妨げる事はこの身が滅んでも

出来ない事を証明して見せましょう」


 一々長い。個人的にはドノヴァンの

技量を見たくもあるが、

ファニーが俺以外に手を抜く事が

あるかどうか……。


「で、状況は?」

「時間にして小一時間ほど

御昼寝をされておられました。

現在私の方で手配させて頂いた

馬車でツキゲ殿と複数の馬に

引いて頂いて最速でホクリョウへ

向かっている最中でございます」

「流石執事。で、兵糧その他は

抜かりないな?」

「御座いませぬ。帳簿も急ぎではありますが

再チェックもついでに行いましたが

不正は御座いませんでした。

補給線を確立し不意の事態に備えるべく、

街頭に見張りを置いて補給線を

しっかり保護しております」

「警護の指揮は誰が?」

「ロウという懲罰開墾団の者が

任に当たっております」

「誰の指示か」

「ファニー様とガンレッド様です」


 俺は起き上がり二人を見る。

ガンレッドは真っ直ぐ見ていたが、

ファニーは拗ねて腕を組み

鼻息荒くふんぞり返っていた。


「ドノヴァンはどう思う?」

「良い効果が期待出来ましょう。

ロシュ様の件もそうですが、

私の宣伝が倍加するレベルの

効果がこの先期待できると

考えております」

「……誇大広告は止めてくれよ」

「勿論で御座います。

万能執事なれば抜かりなく」


 怖いなぁ。俺も嵌められるんじゃ

無かろうか。


「私如きの出来ることなど

高が知れておりますよ。

元王族に連なる者として、

そう言った方面の交渉に

長けているとお考えくださいませ。

今後新たに確立されるものに

つきましても、

良い悪いを洗い出し

悪い部分を廃し

良い部分を配す体制を

確立していきますので」

「今後新たに確立されるって

俺は事を成したら巨人族に

俺の座を渡すんだが」

「ええええ存じておりますとも。

巨人族に御譲りになるのですよね

巨人族に。分かっております

理解しております把握しておりますとも」


 顔を輝かせているが、

敢えて突っ込まないぞ。

こいつマジで悪質だな。

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