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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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手合わせとロキの情報

 その後皆で楽しく賑やかに

夕飯を食べた後、風呂に入って

就寝。夢も見ず翌朝、ニワトリの

鳴き声によって目が覚める。

足や手をどけてベッドを抜け出した。

今日はレンは居らず、一人で

畜産局に顔を出した後中庭で鍛練を

始める。


「あれ」


 割と俺は早めに起きているが、

今日は先客がいるようだ。


「遅かったなコウ」


 仁王立ちするファニーと

膝を付き息を荒くするレンが居た。


「おいおい気が早いなぁ」

「遅かったのでな。しかし王の側付きが

このレベルでは困るんじゃないのか?」

「いやいやレンは優秀だよ?

ファニーと争って勝てる人なんて」

「巨人族は竜の次に強い種族だ」

「それはそうだけども……」

「もしやコウ、お前も鈍っているのじゃ

ないのか? 周りに釣られて」

「そんな事は」

「なら」


 ファニーは手を竜の手に変え、

風を纏って俺に突撃してくる。

相棒たちは鞘から飛び出て俺の前に

浮かび手に取れとアピールされた。


「皆やる気満々だなぁ」


 相棒を手に取り、ファニーの

引っ掻きを斬り払う。

ファニーのキレのある動きは

鍛練の賜物なのかそれとも

元々あった能力を今全開にしているのか

解らないが、出会った時とは

比べ物にならないレベルで

早く強力なものになっている。


「本気でやっているか?」

「勿論」


 嘘である。星力を使うのは

あくまで切り札的存在だ。

普段は基本的に出して気を纏う

までにしようと思っていた。

星力は星に力を貸してもらって

俺の力をブーストしている状態だ。

いつそれが無くなるかもしれない。

だからそれに頼り過ぎず、

なるべく基本の状態で鍛練している。

腕立てとか腹筋背筋という

筋肉トレーニングもしていた。

俺の存在自体が不正確ではあるものの、

辛い鍛練をしたという経験は

無駄にはならないだろうと考え、

歩く時や会議中など色々試して

鍛練している。

この世界に来てブーストされた部分は

変わらないと思う。

だから基本的なところをあげるのが

一番だと考えてそうしていた。


「うわっ」


 レンの言葉に我に帰る。

するといつの間には遠巻きに人が

集まってきていた。


「御二人さんそろそろ良いかしら?」


 恵理が眉間にしわを寄せて

寝巻のまま仁王立ちしていた。

あ、やっべぇ。

俺は逃げようかと思い相棒を

鞘に納めたが、恵理は瞬時に

間合いを詰めて仁王立ちしていた。


「おぅ」

「知らなかったの? 私からは逃げられない」


 迫力のあるお顔でそう言われた。

ビビって竦んで動けない……。

辛うじて動く首をファニーが

居た方に向けると、やっぱり姿が無い。


「ずっこい……」


 そのまま俺は有無を言わさず連行され、

お説教を長々とされるハメになった。

言うて王様だし凄惨な場面を何度も

潜り抜けてきたしそう凹まないだろうと

考えていたが、そんな事は無かった。

割と凹んだ。恵理は感情的に説教するのではなく、

理論的に怒られた。今までの事も言われて

かなりしょんぼりした。ごめんなさい。


「朝から不快な事この上ない」


 王の間に向かうとレンとファニーが

王座を挟んで立っていた。

更に王座の前にはロキが居た。

ファニーの不快な事ってのはロキの事か。


「やあ、清々しい良い朝だね」

「まったくだ。思いあがる暇も無くて

嬉しいよ」

「それは結構」

「で、会議の前に来たのは

俺の素晴らしい朝に対する

喜びを伝えに来たのか?」

「違うよ。二人だけで、とも思ったけど仕方ない」

「随分諦めが良いな」

「竜と槍使いの二人に拒否されたからね。

僕は今君と敵対しても得なんて

ミジンコレベルどころか

分子レベルで無いって言うのに」

「まぁな。で、用件は」

「例のフリッグ教団の件だけど」


 ロキの報告によれば、

トウシンとスカジはこの一月の間に

同盟を組んだらしい。

トウシンに教団の人間が頻繁に出入りし、

布教をおこなっているようだ。


「参ったなぁ。ついに直接対決か」

「もっと悪い知らせもある」

「聞きたくないなぁ」


 教団軍とも言うべき兵士たちが

誕生したらしい。俺達がトウチを

攻めていた時、セイヨウと小競り合い

になったらしく、その時スカジの

兵士たちは白を基調とした武具に身を包み、

死を恐れず無謀とも思える戦いを

したという。

その光景に恐怖したセイヨウの兵士たちは

序盤押していたものの半壊し、

最後はアーサーが出てきて押し返した

という話だった。


「展開としては解りやすい展開だな」

「まったく胸糞が悪い。

フリッグ全肯定で死ねと言われれば

考える事も無く死にに行く」

「ゾンビより達が悪いな」

「同じ人間だからね。

死は怖いはずなのに笑顔で襲ってくる

相手とか、出来れば相手にしたくないね」

「げんなりするな」

「面白そうではあるがな」


 俺とロキがげんなりしていると、

ファニーが腕を組んでにやりと笑いながら

そう言った。


「ちなみにレンは竜を見た事は?」

「ないな。誰も居なんじゃねーかな

この大陸には」

「なるほどね」


 そう聞いてファニーを見ると、

笑顔で体をそらしている。


「なるほどね……それは使えるかも」

「ふん。貴様も少しは考えたが良い。

そんな有様ではコウの役には立つまい」

「……言ってくれるじゃないか。

まぁ見ていてくれよ。その減らず口を

聞けなくしてやる」

「やってみろ。時間がほしいなら百年やるぞ?

もっともお前が生きていられればの話だがな」


 バチバチ火花を散らすロキとファニー。

賑やかなのは良いが暴れないでほしいな。

また怒られる。



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