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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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若手会議

ユリナとのお茶会を解散し、

街中を見て回った後城へ戻る。

ガンレッドの動きが妙で

気になったがそのまま夕飯前の

会議に入る。

 今回は若手の重臣達を集めての

会議だった。年代的には最年少は

ヨウトやガンレッド、

年長は二十五歳までの者たちが

集まっている。

カムイが音頭を取り、

若手が気になっている点などを

挙げて行った。

俺は皆の意見をメモを取りながら

聞き役に徹していた。

レンも一緒に参加し、

ちゃちゃを入れつつ指摘したりした。

ヨウトも臣下の中では長いので、

アドバイスしつつ積極的に

自分の意見を述べていた。

 ヨウトの役割は最近は

部下の纏め役としてカムイを

フォローしている。

またオンルリオとも交流を持ち、

彼のイメージ改善の為に

仕事を手伝ったりもしていた。

 戦場で戦うだけが挽回ではない。

国に残って貢献する方法だってある。

勿論許せない者もいるかもしれないが、

長い年月を掛けて二人の頑張りが

実るよう俺も見えないように支えたいと

考えている。


「あ、あの」


 皆の意見をメモして聞いていて、

そろそろお終いかと思われた時、

ガンレッドが俺の横で

この会議で初めて声を発した。

皆の視線が一気に集まる。


「提案なんですが、出来れば子供や

女性が楽しめる場所を建設して欲しいんですが」

「具体的にはどんなのが良いかな」

「私が考えたのは、公園に更に遊具をプラスして、

更に飲食のお店だったりそこでしか買えない

お土産物屋さんだったりとかあると良いかと」

「うん良いと思うよ。娯楽施設が

うちにはあまりないから、

子供達も街の中を走り回っているし」

「そうだなぁ。出来ればそこで子供たちに

剣術とか教える場所とかも作ってほしいぜ」


 ヨウトがガンレッドの意見に賛成して

意見を促す。それにレンも乗っかった。


「そうですね……確かにそういう施設が

あると良いかと思います。国営で運営する

事も考慮して、収入の面も考えておられる

様子。そういう事であれば私も賛成です」


 ジグムの下に居る女性内政官の

ライナも賛成した。

ライナはジグムに近い性質だが、

そのバランス感覚は素晴らしく

提案なども良い面悪い面をなるべく

均等に記した上で出してくる。

性格は温厚でぽっちゃり気味の体型から

のんびりしていると思われがちだが、

機敏だし抜け目なく見ている。

うちは女性も大勢働いているので、

男性に負けないようという感情は少ない。

ただ戦場に女性は通常居ないので、

貢献出来ない部分や

恐怖から遠い事を負い目に感じている

部分はあるようだ。

ライナ曰く、そういう面を少しで

埋めるべく女性陣も

日々奮闘している、と。

また男より感情の起伏が

激しくなりやすい人が多く見えるのは、

女性特有のホルモンなどの問題で

どうしても人数の差が出てしまうようだ。

女性陣も人生の先輩である

御婆さんたちに相談し共に考えて、

どうコントロールして

いくかというのも研究しているらしい。

 俺の知る狭い範囲ではあるが、

どうしても女性で優秀な議員だったり

女王だったりを数えるほどしか思い出せない。

俺の国では戦場以外で性別で

優劣を付けたりはしていない。

そう言ったものを抜きにして女性がどれだけ

出来るのか、知りたいというのもあった。

また育児や家事も男性陣に小さい頃から

訓練させている。生む事は出来なくても

育児にも家事にも参加する事が

当たり前になったとしたらどうなるのか。

俺がどこまで先を見れるのかは分からないが、

出来る事はしていこうと考えて行っている。


「ただそうなりますと、男にもそういった

心安らげる場があると良いですな」

「お、なんだムラサ。新婚なのに家庭が

心安らげないのか!?」

「ち、違いますよ。女性と子供だけ

ってなるとどうも我々も何か、と

思ってしまいます」

「確かにな。だが嫁さんが機嫌が良ければ

落ち着いて昼寝も出来る。

機嫌が悪けりゃ休みの日でも

オチオチ居眠りも出来ないしなぁ。

そういう場があれば子供も喜ぶし、

俺達もそういう意味ではあった方が良くないか?」

「確かに。偶に敵の兵士より嫁さんの方が怖い」

「偶にか?」


 場は笑いに包まれた。

女性の体的な負担は男より多いし、

またホルモンバランスなどの影響もあると思う。

子供を産む辛さも男には想像出来ない。

社会全体としても過度に尊重したりするのは

逆に良くないが、出来る事はやった方が

良いだろうと考える。

戦場には男だけが今のところ出ていて、

お互い様な面もある訳だから、

互いに思いやる事が大事だろう。

 少しの間他愛ない雑談も混じり始めたところで、

カムイが咳払いをして場を沈める。


「今度行われるアーサー王との会談。

そして奥に居るスカジやトウシン。

この辺りをどう攻めてどう守るのか。

そう言ったものが勿論優先順位は上である。

なので段階的にではあるが、

そう言ったものの建設はして行きたいという

提案でどうか」


 カムイの纏めに皆頷く。

そして皆俺の顔を見る。

が、俺はただ頷くのみ。

これは若手の重臣の会議。

俺の承認が必要だから居る。

それ以外はなるべく口を出さない。

俺が口を開いてアドバイスをすると、

徐々に俺の意見を引き出す会に

なってしまう。

それもあってレンが同席してくれたのは

助かった。

この他にも提案はあったが、

レンが盛り上げるところは盛り上げ、

引き締めるところは

カムイと共に引き締めてくれた。

カムイも何れ、レンのように上手い

手綱捌きを身に付けてくれればと思う。

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