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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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国内事情と使者と

文明レベルが上昇してきて、

油が出てきていた。

今までは大地に垂れ流していたものも、

俺の方針で禁止している。

それを各家庭で纏めたものを回収し、

油からゴミを取って布に浸し、

釜の燃料にしたりしていた。

最近では主婦の皆さんの活動で

油の再利用として石鹸を作ったり

している。

当然俺の元の世界のレベルには

至っていないものの、

試行錯誤して段々良くなっている。


「それさー上手くいったら

国で買い取って、そういう開発を

推奨したらどうかな」

「あーそれは良いかもね」

「うん。大地に優しい」

「皆励みになるだのよ!」


 三人は賛成らしい。

ただファニーとガンレッドは

諸手を上げて賛成とはいかないようだ。


「勿論良い事だとは思うが、

報酬は行き過ぎず、更に失敗したものの

処理をどうするかが問題だな。

勿論犠牲はつきものだが、

開発する事にばかり目を向けてしまえば、

資源が無駄に消費されないか?」

「確かに。余り物や捨ててしまう物のみ

に限定し、それを利用したコンテスト

などを主催するのが宜しいかと」

「なるほど」

「コウなら自然に害があるものを

先手を打って防ぐ事が出来るであろう?」


 そうファニーに言われ、頷く。

この大地は自然が壊滅している。

今ユグさんや皆の協力で

徐々に回復してきている。

今後更にそれが進む事で、

俺の国は過しやすくなる。

出来れば極力樹木を採取しない方向で、

石を加工する文化を

伸ばしていきたいと思っている。

が、限界はある。

ユグさんもいずれ居なくなれば、

自然の速度も本来のものに戻る。

皆の中に自然を大事にし育むという意識が

根付くよう幼稚園から

子供たちに伝えている。


「ホント巨人族って

肉体の強さが凄いよなぁ」

「それは言えてる。ちょっと羨ましいもの」

「そうなんですか?」

「そうなの?」


 ガンレッドとリムンは

不思議そうな顔をしている。

今自然が少なくて恐らく高山レベルで

空気が薄く、更に昼と夜の気温差も

激しく、過酷な環境にあるはずだ。

にも拘らず病気が重病や戦による怪我

以外には殆ど無い。

俺が補正を受けてなければ、

今頃死んでいた可能性すらある。

今後環境の変化によって、

新しい病が出てくるだろう。

その予想もあって、国民には健康診断を

月一回設けている。また入国に際して

重篤な病を持っている者や、

感染が疑われるような者は入国させていない。

他の国の偉い人間が放置したものを、

うちの国で面倒を見る余裕が無い。

ただ同じ種族なので今後うちにその

症状が出ないとも限らないので、

お爺先生とユズオノさんにグオンさんと

話し病原菌に対する防御を

どうするか対策を練っている。

それが確立されれば病気を

より安全に診る事が出来るので、

研究を急いでいた。

医者側も今は感染の危険を持ちながら

診察している。

スカジ出身者やカイヨウ出身者で

紡織の達人などもいる事から、

より細かい繊維で頭全体を覆う

頭巾が出来ないか研究を依頼していたりもする。


「まぁ色々な角度から試してみるしかなかろう。

文明が発達すれば明らかになるものや、

新たに発生するもの両方ある故」

「そうだのよ。こういう時の為に、

私が色んな人から聞いて集めた資料が

役に立つだのよ」

「そういう事だ。我はリムンの資料を

国に来てからずっと見ているが、

中々参考になる」

「リムンは皆に声を掛けて昔の話も

収集してるから、病院でも役に立ってるのよね」

「温故知新だな。お歳を召した方も

若い力も関係無くその時々の問題に

一致団結して立ち向かうってのが

出来る国は安泰な気がするよ。

何か一つが突っ走ると、国が傾く」

「そうですね。気を付けて行きましょう」

「ていうか仕事の話しないでよね」

「いやもう何が仕事なのかわからん」


 俺たちは噴出して笑いあう。

こうして夕食が終わり、

お風呂に入って就寝。

朝を迎え芋洗い状態のベッド群から

抜け出して畜産局訪問と鍛練

通常業務と久し振りに波風無く

一日が過ぎて行った。


「コウ王陛下、お久し振りでございます」


 朝の会議前に、使者が来ていたので

会う事になった。そして使者は王の間に入ると

傅き頭を下げる。


「久し振りだなエムリス。今回はやけに

行儀が良い」


 俺がそう言ってもただ黙って頭を下げていた。


「どうせアーサー王にきつく言われたんだろうさ」


 レンが呆れたように言うと、


「黙れ裏切り者め」


 とぼそっと言った。レンはそれを聞いて

声をあげて笑った。あまりにも面白そうに笑うので、

俺も噴出してしまった。


「……使者に対する侮辱とは頂けませんな陛下」

「すまんすまん。今までの我々に対する

非礼を考えれば優しすぎるとは思うが、

俺はお前を笑った訳ではないので

そう怒らないでくれ」

「そうだぜ小僧。俺のせいだ。

だが俺は元々お前と

国が同じで元々お前と同じ軍に居た。

この国の所為には出来ないだろ?

どうだ? 悔しいか?」

「こらレン、煽るな」


 エムリスは身を震わせて怒りを抑えている。

若いなぁ。血気盛んだなぁ。


「で、今日は何用かな?」

「例の会談の件で」

「まだ来週だったはずだが」

「お忙しそうなのでこちらで」

「……小僧、アーサーの顔に泥を塗る気か……?」


 レンが凄む。まぁ当然だろうな。


「解っていてやっているなら絶望的だから、

解っていないと思って言っておく。

そちらの申し出を受けてこちらが快諾。

その際も失礼が重ねてあったにも関わらずだ。

その時期間も大体定めて伝えてある。

言わば非礼を伏せてこちらがホストとして、

アーサーを迎えると言ったのだ。

更に言えば戦争後で色々大変なのを承知で

急かすなど、破棄してくれと言ってるようなものだ。

後言ったはずだぞ次はその首を撥ねると」


 レンは即座に槍を構える。

俺はそれを手で遮る。


「今度ばかりは見逃す訳にはいかない。

が、アーサーに気持ちがあるなら戦争を

起こそうとも思わない。帰って今のこの事実を

そのまま伝えるが良い。その結果の戦争なら

最早致し方あるまい。お前の首も預けておく。

少しでも恥じる気持ちがあるなら即座に帰れ」


 俺の静かに気迫を込めた言葉に、

エムリスは青ざめた顔をしたまま動かない。

戦争からまだ日が経っていない。

あの行為を忘れてはいない。

怒りが消えたわけではない。

それはレンも同じ。

仕掛けたのがこいつでは無くてもあっても

敵意を向けられれば、

今なら一秒と掛らず最高の状態まで

戦意を高めて戦える。

 レンがエムリスを引っ張り出そうと

動いたのを羽交い絞めにし、

扉前の親衛隊を読んでエムリスを

追い出させた。

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