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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
アイゼンリウト騒乱編

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見落としていた者

コウが王を討とうと立ちあがった時、城の入り口で異変が起こる。

「くぉらぁあああ!」


 ビッドとビルゴ、そしてリムンの

コンビネーションは完成していた。

今はビッドが奮戦しており、

魔族や骸骨兵を粉砕している。


「お父、元気だった?」

「ああ……いや元気では無かったな」


 ビッドからみて親子は少しずつ会話が

出来るようになっていた。

ぎこちなさは残っているものの。

ビルゴはお前が居なかったから元気では無かった、

と言いたかっただろう。

だが置いて行った自分が、そんな事を言えるはずもない

と自重しているようだった。

 またそのビルゴは思う。

恐らくあの冒険者の言う通りだろう。

自分は死にかけては居たが、死んではいなかった。

王や魔族に良い様に利用されたにすぎない。

 それでも妻が蘇ると言われれば、

それにすがるしかなかった。

貧しくとも幸せだったあの頃に戻れると、

可能性が少しでもあればと。

 だが現実は当たり前のようにそれを否定した。

今ある幸せを、娘を置き去りにするのではなく、

父親として娘を幸せにしてやる事こそが

大事だと思い出させてくれた。


「アタチならもう大丈夫だから。おっちゃん良い人だのよ」

「そうか」


 ビルゴとしてはそう言われると、少し悲しくなった。

置き去りにした父としては当たり前の罰だろうとも思った。

リムンの姿をみるとあの冒険者の影がちらつく。

その影響で今の娘がある。娘も手助けを経て一人で歩いている。

それは父がいなくても大丈夫だと言われた気がして

何とも言えない気持ちにまたなる。

 だがそれでも今は少しでも取り返したくて、

挽回の機会と信じて戦い、娘を守り通す。

ビルゴは自らに気合を入れ直した。


「では行ってくる」

「いってらっしゃい!お父!」


 明るい声が背中を強く押してくれる。

この言葉だけで万騎に値する。

例えキリが無くとも、その果てまで潰しつくす。

覚悟がビルゴをより強くした。


「ビッド交代だ」

「あ、兄者」

「娘を頼む」


 ビッドからハンマーを貰い、

ビルゴは魔族と骸骨兵を駆逐する。


「ビッドのおっちゃん、少し休んでも良いだのよ?」


 ビッドは恐怖からではない、少しずつ心を開いてくれた

小さな姪のもじもじした姿と声に、感激した。

こんな情けない自分を認めてくれた。

許してくれた。少しでも。

それだけで涙が出る。

ビッドは振り向き、涙を見せない。

ただ肩が震えていたのでばれやすい。


「だ、大丈夫だ。それより魔力と体力をしっかりと回復してくれ」

「うん、もう大丈夫だのよ。二人とも無理しないでね」


 ビッドはその言葉だけで十分だった。

今までの借りを、罪を償うのにその言葉があれば

例え地獄の王ですら叩きつぶして見せる。

そう誓えるほどに。

 ビッドとビルゴの連携により、リムンは一度結界を張ったきり

出番が無かった。

本当はコウの元へ駆け付けたいが、そうもいかない。

父と叔父が自分の為に戦ってくれているのが解るから。

いつでも二人をフォローできるようにしつつ、

ミレーユに渡された本を読む。

まだ使えない魔術も、いつか冒険の旅に出た時に

使えるようになりたい。

そう、この戦いが終われば、私達は旅に出る。

冒険の旅に。

 そうリムンが期待に胸を膨らませながら、本を読んでいると

轟音と共に凄まじい爆風が起こる。

少し吹き飛ばされたが、影に護られる。

父と叔父が護ってくれたのだ。


「ついにお出ましか?」

「兄者……あいつは」


 兄弟はリムンを護り爆風を防いだ後、直ぐに前を向き

 身構える。


「よくぞここまで持ちこたえた」


 そこに現れたのは、青白い顔をしたアグニス宰相だった。


「おぉアグニス殿!良く援軍に来てくれた!」


 アグニスに駆け寄ろうとするビッドを

ビルゴは留める。


「今さらここに何の用だ」

「何の用?それはお前が良く知っているだろうビルゴよ」

「大体想像はつくがな」

「だろうな。お前達は実に良くやってくれた。姫もあの冒険者もな」

「ど、どう言う事だ兄者!」


 戸惑うビッドに黙るビルゴ。


「ビッド、娘を連れてあの冒険者の元へ行け」

「な、何でだ兄者!」

「あ、貴方魔族なの……?」


 怯えて身を屈ませるリムンの言葉にビッドはハッとなる。


「流石ドラフト族とゴブリンシャーマンのハーフ。近い者を感知する力があるようだな」

「ば、馬鹿な?!」

「別に不思議はあるまい。我は前王と共に戦い、今も生きている。冒険者は私が王に生かされていると考えていたようだが、半分当たりで半分外れだ」

「ビッド、早く連れて行け」

「逃がすと思うのか?」


 アグニスはあっという間にリムンの前に立ち、

黄金色の剣を突き刺そうとした。


「させるか!」


 ビルゴも素早く対応し、リムンの前からアグニスをハンマーを

振るい遠ざける。


「ふふ、やるな。準備運動の相手としては丁度良い」

「準備運動で終わりだ。ビッド早く!」


 ビッドはビルゴの声に戸惑いを振り切り、

リムンを担いで城内へと走る。


「見逃して良かったのか?」

「ああ、構わんよ。全てが問題無い。恐らくあの二人が着く頃には、王は消えているだろう。真打ちは後から出て行くのが当然であろう」

「この骸骨兵も魔族も、そして中の魔族や竜も全て贄と?」

「そういう事だ。もう少しで完成する。カギを握るこの堕天剣ロリーナが私の元にあるのでな」

「堕天剣……まさか」

「そう、そのまさかだよ。禁呪である作成方法で作られた剣。二本一対の剣の片方だ。あの王は妻が産後の肥立ちが悪くて死んだと思っていたようだが、それは違う。あの娘は天界から追い出された、言わば堕天使だったのだよ。容姿は醜くされ、全てが人に劣るようにして人の世に出された罪人だ。王は自らに近い者を選んだのだ。本当によく選んでくれた、私の為に」

「貴様の望みは何だ?」

「私の望み?……フフフッそんなものは決まっていよう?」


 アグニスは堕天剣ロリーナを構える。


「私の望みは前王を凌ぎ、最強の力と最強の武器を携え、全ての国を統べる!暗君は我から精気を吸い上げて生かしたつもりだろうが、大外れだ。私がそうさせて、魔力を繋げたのだ。そしてお前達が行っていた生贄の抽出も、私に注がれていた。そして今、骸骨兵や魔族の魂も吸収し、後は仕上げをすれば私は完全になる!」

「痴人の夢を見るな!」


 ビルゴのハンマーを、アグニスは堕天剣ロリーナで防ぐ。


「少しは楽しませてくれよ。まだ完ぺきではないのだからなこの剣は」


 アグニスは軽々ハンマーを払い、

 片手で剣を下に向け無防備に待ち構えた。


姿を表した、宰相アグニス。

そしてその手に携えた堕天剣ロリーナとは!?

結末へ向けて全ての役者が揃ったのか!?

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