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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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行きは慎重、帰りは最速

「どうされますか?」

「そうだな。アシンバを

今回の功績で将軍に格上げ、

シンラを補佐として

トウシンに近い街を駐屯地とし

対トウシンの準備を進めてくれ」

「カムイに先行して準備ですね」

「頼んだ。俺は本国に戻って

急ぎ人と物資を投入する為の

準備をする。少しの間苦労させるが、

二人で協力して頑張ってくれ」

「心得ました!」

「持ってきた物資は

そっちで使ってくれ。

アシンバの率いた千だけで、

ノウセスの隊と俺の隊はそのまま

引き上げる」

「お気をつけて」

「そちらもな。くれぐれも頼んだぞ」


 俺は恵理に頼んでその場で

将軍への昇格と、東の領地改め

トウチの守備を命じる

書面を書いてもらった。

恵理は達筆なので、

横に居れば代筆して貰っている。

最後に自分で作った国王印を押して完了。

 ちなみに国王印は

無限に落ちてる岩を削って

作ったものを今は使用している。

デザインはリムンとハヲノが描いていた

絵を使ってリムンに彫ってもらったものだ。

何十年も使うものでは

ないと俺は思ってるので、

がっちり解り易いものではなく、

不思議な感じにしたかった。

 ハヲノとリムンに俺の元居た世界の

竜の話をした時に二人が描いた絵は、

何ともいえない可愛らしさと幻想さが

相まってとても気に入ったのでそれにした。

これを数十年に渡って

使われたりはしないだろう。

恵理には微妙な顔をされてしまったが。


「陛下、引き上げは兵士の方は完了だ」

「コウ、こっちもオッケー」


 恵理とレンが左右から来る。

何やら恵理とレンは兄妹のような

感じで張り合ったり協力したりしている。

 レンは海辺の出身なので少し髪の毛が

焼けているのか、

黒より青っぽい色に見える。

恵理も近い色をしていて

親近感があるのかもしれない。

恵理はそのまま縛っていないが、

レンは伸びた髪を後ろで縛っていた。

髪を切る暇も無いのかと訊ねたが、

内緒らしい。元々は俺もレンも短髪派だ。

寝癖が付き辛いし楽で良い。

だが最近は髪を切る暇が惜しい。

この世界に来てぼさぼさをキープしている

ような状態で、伸びないという便利設定は

無いらしい。


「じゃあ急ぎ引き上げる。

忍びの里には伝令を放ち、俺の親書を

リクトに手渡してくれ」

「了解」

「コウ、そろそろ髭を剃らないと。

背が低いのに髭が長いのは似合わないわ」

「そうだな。国に帰ったら剃るよ」

「そうかなぁオラぁ陛下の髭があっても

良い様な気がするけどなぁ」

「いや似合わないでしょ」

「いや恵理王妃、コウ王陛下は

他の人間からするとすげぇオーラがあって

近くで見ていても背丈以上のデカさを

感じるんだぜ? 

傍に居ると解らんだろうけど」

「なら髭が無くても良くない?」

「そうじゃねぇな。やっぱ威厳てのは大事だ。

髭がある事で重みが出る。黙っててもな」

「それ俺に要らなくね?」

「今はそうかもしれないが、

陛下は畏れ敬われる存在だし、

そのうち皆と直接会えなくもなるだろう。

そうなったらやっぱり威厳ある姿を

皆に見せられるだけでも、一般の人たちには

安心感が違うわけよ」

「そんなもんか?」

「そんなもんだ。

無意味に威厳を撒き散らされても

困りものだが、逆も困る」

「そうか……まぁ考えておくよ。

今は剃るが」


 俺たちはそのまま素早く

国まで引き揚げた。

行く時は慎重に、帰る時はさっさと帰宅。

引き篭もりの外出時の鉄則である。

ちょっとでもやばいと思ったら引き返す。

故に事前の情報収集は確実にする。

マップで先ず経路を確認し、

口煩いおばさんの家とか犬とか

学生の通学路とよく通る時間帯とか。

 なので攻める場合にも俺は情報収集を

確実にするよう何度も言ってしまっている。

その結果として霧の街の件のような場合は、

早めに通常の現象ではないと考えられた。


「陛下、お帰りなさいませ」


 結局夜通し強行軍で戻る。

全員家に帰り休んで四日後に兵舎に来るよう、

国に帰る途中で伝達し辿り着くと

労いの言葉を掛けた後即解散。

改めて祝辞などは後日とした。

疲れてる時に長々と話を聞く元気も

する元気も無い。

 俺はレンと共に王の間に戻る。

シンラからの詳細な報告書と、

俺の所見を加えて重臣達に見せた。

皆から休むよう進められたが、

アシンバとシンラ、そして現場の

兵士達を思うとそうも行かない

手配が済んだら休むと告げて、

そのまま会議に入る。

 交代の兵士達は国の守備を考え

千出せる事を確認し、先に出た兵と

そっくりそのまま交代が出来るとの

事なので直ぐに手配させた。

そしてトウチの復興については

街の中のデザインなどが済み次第

直ぐに資材を運んで取り掛かるよう指示。

不在の間に特に大きな出来事は無いとの事。

イシズエの報告にカムイも頷く。

 俺は後を頼んで風呂に入り

眠りに就く。考え事もせず夢もみず寝る。

寝室は皆ぐったりしていた。


「うぐぃっ……はぁ……」


 陽の光が差し込んできて、

目が覚めた。上半身を起こして

両腕を突き上げ伸びをする。

皆の足が俺の足の上に乗っているのを

どかして、ベッドから起き上がる。

人数が増えたがベッドも広がって

俺も寝られている気がする。

何せファニーの寝相は宜しいので、

若干腹筋が鍛えられた気がする。


「よう陛下、おはようさん」

「レン、おはよう。よく眠れたか?」

「お蔭様で。何とかベッドまで辿り着けたわ」

「使用人とかは居るのか?」

「要らない。俺一人だし家にほぼ居ないしな。

あの長屋で間借りしている方が気が楽だわ」

「そうか。なら住む場所を定めよう」

「要らんて」

「要らん事は無い。俺の警護者が

ボロ屋に住んでたらあらぬ疑いを掛けられる。

金に目がくらんで、とかな。

要らん疑いを掛けられないためにも、

その地位に相応しい事をしておくべきだろ?」


 レンは嫌そうな顔をしていた。

だがいつも俺に似たような事を言っているので、

何も言い返さずそのまま朝の鍛錬に移動する。

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