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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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雲行き

そこから休憩を入れつつも、

急ぎ足で忍びの里まで進軍した。

先に伝令が向かっており

グオンさんも医師の纏め役として

同行していたので、

特に混乱無く里に入る。

またリクトが先に里で準備していて

くれた為、兵士達は直ぐに休めるように

なっていた。


「おーいここで寝るな!」


 俺は馬車を里の中の厩舎傍に止め、

皆で里の長の館へ行く途中で

新成人の兵士達を目にする。

半分以上が崩れるように地面に倒れこみ、

それを残り半分の先に兵士として鍛錬を

している者達運ぶという景色が広がっていた。

里に迷惑を掛けないよう

スカジの国の技術と、セイヨウの技術を合わせ

更にうちの国の技術を加えた強固な布で作った

野営用のテントを各馬車に一つ以上後ろに

つけて運んできた。それを里の周りに設営する。

動ける者たちは最早自力で寝床に行けない新成人の

兵士達を、次々に押し込み布団を掛けて回っていた。


「リクト、グオンさんありがとう。

何とか一息つける」


 長の館に入ると、リクトと里の上層部が

出迎えてくれた。上座に座るよう案内され

席に着く。飲み物を差し出されたが、

レンがそれを奪うように取ると、一口飲んで

暫くしてから俺に渡した。

そして俺が座った斜め後ろに槍を構えて座る。


「いえ、陛下のお越しをお待ちしておりました」

 

 俺の目の前に一人座り頭を下げるリクト。

ハンゾウの変わりに長を勤めたからなのか、

成人前なのに顔つきが引き締まっていて

更に雰囲気が良い感じで重くなっている。

ヨウトのこれくらいになってくれれば、

ガンレッドにも気に入られるのになぁ。


「状況はどうか」

「はい。ウルシカ殿と調べて参りましたが、

今の今まで東の領地はどっちつかずでした。

現在は住民も割れておりまして」

「そうなると敵として考えた方が良さそうだな」

「そうですね。ただし内応にも期待出来るかと」

「まぁそれは当てにしないでおこう。

何より分が悪くなってから仲間を売るような奴は

信用できない。商人だから利益となれば何でもやる

だろうから油断はしないのが良い」

「はい」

「今日は忍びの里の者と、ここに先に配備しておいた

警備兵達に任せても大丈夫かな?」

「心得ております」

「なら早々に休むとしよう。

今回は中継地があるから、気も体も

楽にしたいだろうし」

「お食事は」

「必要な者たちだけに振舞ってくれ。

俺は頂くが、仰々しくしなくて良い。

休みたいものも居るだろうし、

武具のチェックをしたいもの等思い思いの時間を

邪魔したくない」

「はい」


 業務報告などは逐一貰っている為、

改めて提出の必要は無い。俺の寝床として

長の館を提供するとの事だったので、

有難く受ける事にした。

レンを始めとした警護が居るので

安心できる。リクトも元々住んでいた為、

そのまま住んでもらっている。

 女性陣は里の女性達と交流を深めていた。

今日は馬車に乗っていた為元気である。

皆好きに行動するよう言ってあったので、

この機会に里の今を見ているようだ。

首都の隣とはいえ、現状を直接しょっちゅう

見る訳にはいかない。

里で良い事をじっくりみて取り入れたい

部分があれば試して見るんだろう。

女性には女性の得意分野があるし。


 長の館でレンやシンラ、リクトや

グオンさんと共に世間話を暫くした後、

釜の風呂に入って就寝となった。

ここは木材の床にフカフカの布団を

しくタイプで、日本を思い出す。

同じ大地とは言え改めて其々違うんだなぁと

感じていた。東の領地はどんな感じなのか。

俺はそう考えながら眠りに就いた。


 翌朝早く起きて鍛錬をしようと寝床を出ると、

俺の周りには女性陣が魔方陣でも作るように

布団で囲んでいた。なんとか起こさないよう

その間を通って外に出る。

そこにはレンとリクトにシンラ、グオンさんが

布団を布いて寝ていた。

 そこもそっと通って外に出る。

生憎と霧が一面に広がっていた。


「……これは何だ?」


 雨量が最近は増えてきたとは言え、

渇き気味のこの大地でこの霧は珍しい。

それにレンが起きないのも気になる。


「魔術か?」


 俺は相棒の柄に手を掛ける。

魔術なら解かなければならない。

館から出て里の中央まで歩いて進む。

何も音がしない。何の仕掛けだ……?


「相棒、頼む」


 鞘からゆっくりと音を立てず自ら

抜けてきた黒刻剣(ダークルーンソード)

俺は素早く引き抜き星力を通して地面に突き刺す。

するとガラスが割れるような音と共に、

霧が地面の中に吸い込まれていく。

二十の罠か? と思い更に深く突き刺し

星力を地面に這わせる。が、それ以上は無いのか

星力に干渉して消えたのか解らないが、反応は無くなった。


「気象に干渉したのか……。随分と手洗い反則をする。

しっぺ返しが気にならないのか?」


 俺はいぶかしんだが、それと同時に

この先の東の領地が一筋縄ではいかないような気がして、

改めて斥候を放つよう指示しようと思った。

その後里を見回りつつ長の館に戻る。

里はゆっくりといつもの朝であろう景色を取り戻した。

徐々に人々も動き出す。異変に気付いた者は

最初居なかったが、徐々に日がいつもより高いのを

感じで少しざわついたものの、流石忍びの里。

皆冷静に異変を調べ始めた。


「陛下、面目無い」

「お恥ずかしい限りで御座います」


 長の館に戻って食事をしようと、

国から持ってきた材料を使って

皆で料理し終えた後。

食事をしようと長の間に運び終わって

食べようとした時に、レンやグオンさん、

シンラにリクトが頭を下げた。


「今は冷めちゃうからご飯食べよう。

その後で素早く斥候を放とう。

何か変だ」

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