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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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自然と大地の息吹

ただ書類は決裁書類だけではなく

提案書や企画書なども山積み。

イシズエの仕切りで時間毎に

担当次官が王の間に来てプレゼンを

開始した。

 勿論前段階でイシズエとウルシカで

選別されているので、最終的には

俺の判断で決まるものばかりだ。

ただどれも了承するのみだったので、

話を聞きつつ疑問点を尋ね、

答えられたもののみ了承し判を押した。

 結局その日はそこまでで終了し、

何とか頑張って寝て朝起きる。

鍛錬と見回りを終え王の間に戻ると、

書類は元あった量より更に増されて

存在していてゲンナリした。

 昼食が終わって夕方になろうかと

いう時間帯にエメさんが訪ねて来た。


「王様、ちょっと散歩しよう」

「解った。皆少し頼む」

「心得ました」


 王の間は文官武官が詰め掛けて、

皆で書類仕事をしており、

コミケ前日の大手サークル状態のように

テーブルに所狭しと紙が敷き詰められていた。

年始の政策部分の布告もしようとしていたし、

また予算の申請もあり行ったりきたりをするのは

無駄なので、ここで作業をさせていた。


「ユグさん、明けましておめでとう御座います」


――明けましておめでとう人の子よ――


「ユグさんの協力もあって、大地の回復は少しずつ

広がっていて助かってます。ありがとう」


――お互いの目的が一致しただけの事。

何よりお前の作業に対し、私の力を元に促進させた

事により、生態系も戻りつつあります――


「畜産系も軌道に乗れば、自然の回復次第で

放牧もしたいと考えています」


――良い案かと。私もエメを通じて見ていますので

作業が行われた場所を注視し、必要な事をしましょう――


「ありがとうございます。ただ気になるのは……」


――フリッグの事ですね。地上に降臨した上に

それが巨人族の大地。本来の力は出せますまい。

こういう言い方は変だと思いますが、

人としての力のみ。ただあれはオーディンに

黙って従うような女ではありません。

重々気をつけてください――


「気をつけます。ユグさんも体に気をつけてください。

月一の会議以外にも顔出しますんで」


――娘を宜しくお願いします――


 笑顔でユグさんと別れ、大地に戻る。

今ユグさんは地下を移動して国の南にある、

海と国との間で大地の回復に勤しんでいた。

お陰で背後の護りは完璧になっているし、

放牧もこっちが最初になりそうだ。

監視小屋も設置し、海からの襲撃に

備えると共にカイヨウ出身者から得た

塩の生成がが順調で、益々国内完結が出来る

体制が整いつつある。

この状況をダイレクトに受けるのが、

トウシンだ。うちはユグさんが居る有利があって

大地の再生と共に農業も活性化している。

うちから栽培方法などが洩れているだろうが、

それが安定するにはこの大地は荒れ過ぎている。

だからこそここを取れたのは大きい。


「凄いね」

「そうだね。エメさんはこういうの見るのは

初めて?」

「うん。生まれてそう経ってないから……」


 小さな丘から俺の国周辺を眺める。

前に俺が黒尽くめ達に襲われた場所だ。

あの時と景色は全く変わった。

街のお爺さん達に聞くと、

本にある昔の巨人族の島のように

なってきたと言っていた。

なので変わったというよりは戻ってきたんだろう。

なるべくそこは弄り過ぎないように

気をつけてはいる。


「薬草も生えてきているね」

「そうだな。気候が安定しているのが有難い。

ただエメさん、害虫とかは大丈夫か?」

「今のところは。お母様も見ているから、

人に危害を加えたり、土を荒らすものはない」

「そっか。出来ればそこも生態系の循環を

作って、自然が自然であれるような仕組みを

作らないとね。まだまだ無理だろうけど」

「そこが目標。害虫を食べる生き物も

畜産局が育成と生産が上手く行けば、

放牧で何とかなる気がする」

「エメさんにも苦労をかけるけど、

よろしく頼む。こっちで手綱を握らないと、

腹が満たされた後余計な事を企む奴が

出てくるだろうし、その為に島の統一は

どうしてもしなきゃならない。

だからこそ文化の保管も人の保護も

積極的にしつつ多国籍国家として

機能させなきゃ」

「コウ王頑張れ」

「ああ有難う」


 俺とエメさんは微笑みあいながら、

国へとゆっくり散歩をしながら

夕暮れに染まる大地を歩いていった。

 エメさんとの心休まる散歩が終了し、

待ち構えていたイシズエウルシカ、

アシンバノウセス等と会議に入る。

大人数で様々な視点から議題を処理していく。

文官武官バランスの良い人数にしてある。

 最後にして最大の議題である、

トウシンの手前の東の領地攻略戦について

意見が出された。今回も出陣したいノウセスと、

出陣したいアシンバ。両者に対して他の者たちからは

歓迎の言葉は聞かれなかった。

将軍であろうともノウセスの前回の戦の手際に

疑問視する言葉が他の武官からも出ており、

俺の出陣が基本として提案された。

 が、これに対して文官からは

王である俺の出陣は止めて欲しいとの意見が

続出した。決裁遅れる事もそうだが、

国民感情として不安が大きいのと、

何より武官に対して何の為に給料を

支払っているのか、という手厳しい意見も

あるという。どこの出身者達からの意見が

多いのか聞くと、どうやら満遍なく出ているらしい。


「俺も存外人気があると見える」


 俺はおどけて見せたが、誰も構ってくれない。

寂しす。


「兎に角、武人であるなら武人らしく、

その勤め果たすのが仕事であり役割というもの」

「黙って聞いていれば。文官であるお前達が

情けないから陛下が居らねば不安などという声が

上がってくるのではないか! 外交もいまいちで

陛下が何もかもしているのはお前達も同じではないか!」


 そこからは喧々囂々である。

俺は黙って目を瞑り腕を組んで居る。

さてどうするべきか、とは思っていない。

国は今のところ安定している。

というより今が動ける時期でもある。

環境整備や領土が広がれば、

更に事務作業などが増える。


「陛下、御裁可を」

「東の領土は二週目に攻略を開始、

武官達は文官たちや国民達に、

その給料と待遇に相応しい姿を、

俺と共に魅せよう」

「陛下!」

「猶予はない。前回のように長引かせる

戦闘ではないと思う。ウルシカは至急

リクトと共に調査を。ノウセスとアシンバは

自軍を年始の眠りより覚まさせておくように。

決定は以上。最速で攻略統治し戻ってくる」

「はっ!」

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