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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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謹賀新年

「新年明けまして、おめでとうございます!

本年も宜しくお願い致します!」


 俺は北の領地、ホクリョウの地を

一時ナルヴィを領主として据え、

親衛隊を三人兵士三百を置いて帰還した。

と言うのも新年行事をするようにと、

イシズエではなくフェメニヤさんから

二回に渡ってお願いの使者が着ていた。

元々新年までには帰るつもりだったが、

ナルヴィもめったにないフェメニヤさんからの

使者に、急いで帰るよう促してきたので

ツキゲとレンと共に残りの兵六百を連れて

帰還した。

 夜通し走って帰ってきたので、兵士達に

労いの言葉を掛けた後、小麦などを渡して

新年の三日後に宿舎に戻るよう告げて解散となった。

イシズエとウルシカ、アシンバから報告を

受けながら城に入るが、待ち構えていた

フェメニヤさんに強引に引っ張られて風呂場へ。

これまた待ち構えていたエメさんや

リムン、ガンレッドに恵理にゴシゴシ

洗濯された後、書類仕事をしようとしたが、

そのまま寝室に押し込まれた。

 結局詳細な報告も何も聞けてないし

処理できないまま年が明けた。

そして目が覚めると綺麗に作られた

品も質も良い布の服にスラックス、

陣羽織の様なものに袖を通し

城壁の上に連行され、沢山の国民が

集まる前で挨拶しろと言われたので

挨拶した。

 

「昨年はこの国だけでなく、

この大地にとって激動の一年であった。

またそれは終わってはいないけれども、

皆には今日より三日、新たな年を迎えられた

その事を祝って、城の備蓄より

新年料理を振舞う。よく食べよく飲みよく楽しみ

よく休んで、今後も波が高い事もあろうが、

来年を欠ける事無く迎えられるよう

一人ひとり励んで欲しい」


 俺はそう告げて杯を掲げて口に含み、

異常が無いのを確認して飲み込むと

一礼して下がる。

歓声が上がり盛り上がる国民たち。

城の門が開き、中庭で料理が振舞われてた。

 聞いた所によると昔から行われていた

儀式らしい。何事も区切りがないと、

ダラダラしてしまうというのが

そもそもの始まりという事だ。

 俺としては生きている限り

日々は続いていくものだし、

特に区切りとかを意識してどうとかいうのは、

生まれてきてから無い。

お年玉も弟が多く貰っていたし……。


「懐かしいな」

「陛下、お疲れではありませんか?」


 書類に目を通しながら

慰労金の所に目が行くと、

新年というのもあってふと思いだして

口に出てしまった。

 今、王の間では一旦戦闘が終了した事もあり、

被害報告や備蓄や紙幣の増減、

兵士の増減などが報告されていた。

またセイヨウの領地を検分し、

土地の再生や食物の育成に

適した場所があるかどうか、

また税金をどのようにして取るかの

提案も来ている。


「さてさてどうするか。

中々あっちもこっちもとは行かないなぁ」

「はい。献策申し上げるなら、

出来れば戦闘は戦闘として領土の併呑に

今は全力を注がれ、その後内政に

力を入れるのが宜しいかと」


 ウルシカの意見に頷く。

確かに周りが落ち着かないと、

守りを固め辛いし片手間になる。

皆も落ち着かないだろう。

東の領地を攻めた後は暫く

戦闘を防衛にシフトさせ、

内政に力を入れよう。


「となると東の領地の情報を

集めなければなぁ」

「それに関しては先ず私に

情報収集をお任せ頂ければと

思いますが如何でしょうか」

「ウルシカに? ……何か調べたい事が

ありそうだな」

「はい。祖国と東の領地の間に

何があるのか、気になる事がございまして」

「気になる事……確かに。あそこ国主が

誰なのか漏れてこない。その割りに安定している。

更に変な使者もあれ以降来ていないが、

取引は公平で且つ滞りなく進んでいる。

人の行き来に阻害は無いし自由。

気になる事だらけだな」

「仲間の商人などに声を掛け、

探って見たく思います」

「分った。逐一報告を上げてくれ」


 その後ウルシカと隠密頭領代理の

リクトが話し合いと人選の為離籍した。

その後サワドベが訪ねて来た。

用件は弟の件で辞任を申し出てきた。


「俺としてはサワドベに代わり信頼できる

門兵長は居ない。門は国の生き死にに

関わる要所。今よくやっているサワドベにまで

去られてはそれこそ国が傾いてしまう」

「そ、その様な事は……」

「サワドベも門兵長の仕事に誇りがあるだろう?

仲間も部下も大事だろう?」

「はい……」

「敵を引き入れたとか反旗を翻したとかなら

流石に許す事は出来ない。だがそうでないなら

視線が気になったりはするだろうが

それは己の身を正せと心が言っていると

考えて、勤めてもらえないだろうか」

「……勿体無きお言葉……。陛下によって

取り立てて頂いた我が身、陛下のみに忠誠を

誓うもので御座います。如何なる批判があろうとも、

陛下の御信任ある内はこの使命、果たしてご覧に

入れます」

「頼りにしているぞ」


 何とか説得に成功し、サワドベは下がっていった。


「イシズエ、門兵周りはそんなに騒がしいのか?」

「いいえ。ただ陛下より何も下知がありませんでしたので、

己の身体は己が決めよ、という事なのかと

戦々恐々としていた時もありまして」

「今は無いのか?」

「はい。陛下もサワドベと普通に出入りの際は

会話されておりますし、犯罪では無い

行方不明という事になっておりますので、

処分は無いだろうと言う事に落ち着きました」

「ヤマナワたちの事は今後考えていかねばな。

流石に他国に身内がいるから処分というのは

有り得ないが、あの二人の場合処分が難しい」

「ええ……重臣ではないにしても

陛下の兵ではあります。それが敵に組みしたなど」

「そこで身内の処分だ。謀反を国内で抑えたなら、

状況にもよるがほぼ国外追放だ」

「そこは捕虜となり仕方なく従った、とするしか」

「交渉をしてみるか一応」

「陛下、カイヨウより使者が参っております」


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