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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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急襲

 俺とレンは馬を引いて門兵に頼み込んで

外へこっそり出してもらう。

ツキゲの手綱を引いて門を出てから真っ直ぐ、

北へ向けて走る。まだ小麦の収穫前の暗がりを

二人で駆け抜ける。レンは迷い無く付いてくる。

 それから俺たちは真っ直ぐ進み、

やがて日が昇ってきた。北の領土との間に、

ロキが立てた監視矢倉がある。

兵士たちは真面目に監視活動をしていた。

俺たちがその麓を通ると、騒がしくなる。

更に先まで走ると、下り道が現れ先に街が見えた。


「王、あれが次の戦場か?」

「そうだ」


 俺はそういうと、相棒二振りを引き抜く。

黒隕剣を引き抜くと星力を通し、球体を出現させる。


「さてと」


 俺はゆっくりと坂を下っていく。

レンは何もいわずに付いてくる。


「何か聞きたい事は無いのか?」

「何も。王がやる事に付き合うだけだ」


 その顔は子供の様な笑みを浮かべている。

付き合いが良い事だ。


「聞こえるか北の領土の民よ!」


 門の前に着くと声を張り上げる。

おっとり矢倉から顔を出した兵士。


「誰だこんな朝早くに」

「弁えよ愚か者が! ここにおわすは

コウ王である! 高所から問うとは無礼であろう!」


 レンもノリノリである。

兵士は驚き尻餅をついた音が聞こえ、

慌しく複数の兵士が矢倉から降りていく

音が聞こえた。


「あらよっと」


 レンはゆっくり馬を近づけると、

槍を回転させて放り投げて門を閉じている

紐を切り、倒れてきた門で橋が架かる。


「さて人暴れしようか」

「心得た! この大地一の槍使いの腕の見せ所!」


 レンは街に入りつつ俺の前に出る。


「聞けこの街の者よ! 我はカイヨウの将にして

今やコウ王に使えしこの大地一の槍使い、レンである!

我こそはと思うものは我が前に出でよ!」


 その名乗りにおっとり駆けつけてきた兵士たちは

怯む間も無く飲み込もうとしたが、高速で武器を叩き折られ、

兜を跳ね飛ばされると、足が止まった。


黒刻剣(ダークルーンソード)頼む」


 俺は相棒を空へ放つ。兵や屋根で弓を構えている

兵士たちの弓を斬って行く。

俺はそのままレンに混じり兵士たちを無力化していく。


「少し吹き飛ばすぞ」

「御随意に!」


 黒隕剣を空へ向けて突き上げると、

青白い光を放ち球体は高速で回転し範囲を広げる。

次々に空を舞う兵士。残った者たちはすぐさま

味方を踏みつけにしながら後退する。


「おらおらおらぁあああ!」


 青白い光が収まると、レンは下がった兵士を

煽りながら突撃する。兵士たちは味方を切りながら

我先にと奥の砦に引き上げていく。


「よく来たな父の仇め!」


 砦の門が閉められ、その上の矢倉から声がする。


「誰だお前は」

「国に献身的に使えたドゥルオの息子だ!」

「だそうだ王」

「知らんな」

「……愚弄するか貴様!」

「ドゥルオには前もって降伏するよう伝えた。

お前たちにも含めれば三度。もう問う事もない」

「ならば雌雄を決しようぞ」

「いや」

「何だと!? なら何の為に来た!?」

「戦になれば一瞬で終わる。俺もレンも暇になる。

なのでな、体慣らしと相手の顔を見ようと思ってな」

「よく覚えておくが良い! 貴様を倒す者の顔を!」

「レン、どう思う?」


 レンは鼻で笑い肩を竦めた。


「よくぞ来たな賊め!」


 甲高い声が聞こえる。ドゥルオの息子の隣に

女性が現れた。


「誰だ」

「ドゥルオの妻、ステイシア! 宣戦布告も無く

襲撃するなど賊のする事!」

「だそうだレン。あれが上に立つものの言葉らしい」

「その様で。肌艶も良く小奇麗な身だしなみ。

こんな荒れた大地で寝言を言うには十分な様子」

「全く今どんな世だと思っているのか……。

顔を見れ言葉を交わせてよかった」

「この街の民よ兵よ、よく聞くが良い!

降るならこの後我が大軍が押し寄せるまでだ。

その時は一切の容赦なく叩き潰す!

コウ王自ら出陣なさるのだ! ここの領地の主がどうなったか

思い出すが良い!」


 砦の中はざわついた。


「我が軍は何処の出身だろうと、その才能あれば

誰であれ受け入れる。その身にあった評価を下し、

地位を与える。希望を見るのであれば、我が元に来るが良い。

待っているぞ」


 そう告げて、俺はツキゲの踵を返した。

レンは横に付ける。顔を見合わせると、俺たちは

悠々と着た道を戻り、街を出る。

そのまま走らせて国まで戻る。


「陛下!」


 門を潜り小麦畑を通り過ぎ街を通り過ぎ、城へと戻る。

俺とレンは馬を厩舎に返してから、餌を与えて

ブラッシングをしつつ談笑した後中へと入った。


「おお遅よう。さあ飯を食ったら一気に北の領土を

制圧するぞ」

「遅ようでは御座いません! 一体何処で何をされたのです!」

「いや、レンと少し軽い運動をな」

「然り。それ以外に何が御座いましょうか!」

「うるさっ……このスパイと夜明け前に城を出るなど

言語道断! 我らがどれほどキモを冷やしたか!」

「それはすまん。思いの他時間が掛かってな」


 俺はレンの方を見ると、にやにやしながら頷いた。

それに対してイシズエは米神に欠陥が浮き出るわ、

ナルヴィはダンマリしながら睨みつけるわで

大変な有様である。


「まぁ過ぎた事は仕方ない。それより朝食後、

直ぐに出陣だ。準備を始めてくれ」

「そうだぞご両人。今更過去を責めて何を取り戻せようか?

寧ろ未来への成果を問う方が民にも重要であろう」


 その言葉にイシズエは顔を真っ赤にし、

ナルヴィは冷徹に目を吊り上げている。

レンはどこ吹く風だ。全く意に介していない。


「さ、王。我々は動いた後だ。飯が食いたい!」

「うむ。働きにふさわしい飯をくれてやろう」

「流石王。王たるものそうで無ければな!」


 俺たちはわはわは言いながら距離をとると、

足早に食堂へと逃げていった。


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