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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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呼び出し

「はい、何でしょう」

「お前たちはレン将軍たちと共に

行った者たちの中に居たな」


 俺とハンゾウは目を合わせる。

頷き合うと


「さぁ……何の事か」

「そうです。レン将軍を置いて

何故帰ってこれましょう」


 そう答えた。変装しているので

そう簡単にはバレないだろう。


「悪いが同行してもらおうか。

ここで話していた事も全て話してもらおう」

「いや俺たちは今来たばかりで何も」

「お前たちがここに入るのを俺たちは見ていた。

兵士たちの間で騒いでいる件もある。

黙ってついてくるがいい。嫌ならここで斬るが」

「わ、分かった。着いて行く」


 俺たちは観念したように溜息を吐いて席を立つ。

酒場の皆は黙って俺たちを見送った。

外へ出るとカトルとトロワの他に、

兵士が十人ほど待機していた。

なるほど真面目に働いている兵士も居るようだ。

もっともこれは俺の兵士だが。

 それから案内されて、一軒家の中へ通される。

中には他に数名の兵士が居たが、見覚えがある。

一番奥の窓の無い部屋に通される。


「陛下、お久し振りで御座います」

「ご無礼の段、お許し願いたく」


 家の中に居た兵士たちが全て傅く。

何故ばれたのか……めちゃくちゃ疑問だが、

皆当たり前のような顔をしている怖い。


「で、カトルとトロワ。

一体何故この様な事になったのか

話してくれるな?」

「はい」


 ばれた事はさて置き、気になっている事を

たずねた。

 俺が知る限り、カトルとトロワだけでなく、

センリュウ、ヤマナワ、ヨウトまで

敵にすんなり寝返ったというのは

それこそ魔術にでも掛けられたのではないか、

と疑わざるを得ない程忠誠を誓ってくれた者たちだ。

俺にすさまじいカリスマがあるとは思わないが、

少し会わないだけでそんなに変わるものなのか、と。


「我々は事前にカイヨウと繋がりを付けている事を

察知し、センリュウ殿に話しました」

「なるほど。だからモンテクリス卿と同じ所に居て

驚きもせず一歩も動かなかった訳か」

「はい。カトルの申すように事前に知り得たので、

我々は陛下のお出ましある時に襲撃があることを

予測していました」

「共に出なかったのは、誰の策か」

「勿論軍師殿です」


 何と言ったら良いか……。難しいところだ。

事前にその目を潰すにしても、恭順を申し出てきた上に

こちらには借りがある。モンテクリス卿をカイヨウとの

繋がりがあったとして処断はし辛い。出来たとしても

ここの住民に遺恨を残す。領主変えも出来ない。

そうなるとセイヨウとの繋がりを、後方を気にしながら

カイヨウを攻めると言う、不味い状況が出来上がってしまう。


「それを危惧すれば、今ここで出るものを全て出て、

円滑にこちらの統治に変えるのが良いと言えば良い、か」

「陛下、独断で行った事の罰は後で受けます」


 一番奥、この家の入り口から聞き覚えのある

声が聞こえてきた。ヨウトである。


「今はもう戦乱のただ中。誰かに咎があるとすれば、

それは俺たち上に立つものにあろう。それに俺には

何か他に狙いがある気がしてここに来たのだ」

「我々にはカイヨウを誘き寄せ、更にセイヨウの

反乱分子を炙り出す以外は」

「こちら側ではない、あちら側だ。

こちらに送られてきた使者。セイヨウのはどうでも良いが、

カイヨウが気になってな」

「レン将軍で御座いますか?」

「ああ。どう考えても使者に相応しくない。

時間稼ぎでもない。寧ろ俺にここに来いと言わんばかりの

者を寄越して来た」

「では一体……」

「俺の方の用は恐らく直ぐに済む。で、ヨウト。

ここはどうする?」

「はい。モンテクリス卿への不信は露になりましたし、

陛下たちの流言飛語の策がジワリと広がっております。

この街の兵より我らの兵が多く、また今はカイヨウの

兵を統率しているもので、我々クラスのものはおりません。

時間があるようならもう少し蔓延させて、

モンテクリス卿が痺れを切らすか、我らの軍が来た時かに

制圧するのが宜しいかと」

「分かった。今回の事は後はお前たちで仕切って上手く

やってくれ。王様の俺が手柄の横取りは良くないし、

俺は俺で用を済ませておこう。ハンゾウたちは

ヨウトやトロワとカトルに協力してやってくれ」

「陛下」

「何心配するな。世間話をするだけだ。

もっともこんな事をしてまでの世間話とは何なのか、

気になるところではあるがな」


 そう、俺が気にしているのはそれだけだ。

あいつなら俺の部下たちを魅了し真の意味で

占領出来たはずだ。それにあの使者も余計でしかない。

あんな事をしなくても俺の国を襲撃する為に、

カイヨウの兵を配置すれば済むはずだ。


「では俺はここを根城に適当にやらせてもらう。

但しお前たちの動きの邪魔をしないようにな」

「はっ!」


 皆は立ち上がり作戦に戻る。

流言飛語を拡散する為、カトルとトロワは

適度に注意し取り締まる。

ハンゾウたちは酒場に戻り、ヨウトと打ち合わせた

内容を話してモンテクリス卿と使者で来た

レンとバンリ、そしてカイヨウへの反感を煽る。

元々疑問に思っているし、混乱の最初期だ。

傷口から回る毒は早いだろう。

 俺は街からすんなりでる。

門兵も勿論俺の軍の者だ。

この状況下では行き来するものも殆ど居ない。

暫く草原を歩いてカイヨウ方面へと向かう。

そこから少しずれて小さな丘の上へと

辿り着く。


「よう、改めて宣戦布告か?」


 丘から俺を真っ直ぐ見る金髪イケメンが

立っていた。しかし以前より髪は肩まで伸び、

髭まで生やしている。


「そんなところだ」

「余裕だな。それとも王様の先輩としての意地って奴か?」

「そう思ったのだがな……無用どころか薮蛇だったようだ」

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