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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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セイヨウへの訪問

 更に次の日も模擬戦など選抜が行われた。

流石に一日で消化するには都市の防衛を

弱めてしまう可能性があると考えて、

二日に分けた。絞りに絞った参加者二千人。

そこから五百人の直属部隊を選抜して組み込んだ。

アゼルスとロンゴニスという面白い二人を

見つけたので、シンラとカムイの二人を付ける事にした。

戦術を教え込み使えるようにする為だ。

二人は元々歩兵と弓兵で、

戦術をなんとなく見て肌で感じて動き

今回合格した。その能力の高さは折り紙つきだが

果たして将としてどうか見て見たい。

ただし手柄を立てたわけではないので、

長にはしない。シンラとカムイにとっても

教えるという事を学ぶ良い機会になると思って

二日の終わりに師事するよう、そして教えるよう

指示した。

 そして更に次の日。動ける者のみ

直属部隊から付いてくるように伝えたところ、

当然皆付いてくるというので、

イシズエに任せて選抜させた。

 最近イシズエは嫌われ役をやろうと、

自分だけでなく他人にも厳しい眼を向けている。

小姑のようだ、とはナルヴィの前では言わない。

恐らく初期バージョンがお手本とされてるだろうし。

 そういった事から、選抜はかなり厳しいものになっていた。

家族構成から家族の健康状態、

貯蓄の状態や武具の手入れ勤務態度。

流石補佐業において右に出るのが難しいレベルの

才能を発揮し始めている。

サワドベとも図り国内の行き来も大分厳しくなっている。

ウルシカに対して経済の不正が無いか、

独自の部隊を使って調査したり、

ノウセスの部隊の監視を部下を引き連れてしたり、

アシンバに組合改善とアシンバ部隊の錬度を指摘したりと、

見る者が見れば俺政権に対する否定的な

重臣の一人に見えるだろう動きを良くしてくれている。


「陛下、仕度のほうを」

「ああ。特に豪華なのは要らないだろう?」

「駄目です。国を代表して行くのですから」


 ガンレッドに身なりを整えてもらう。

国の教育部門で腕を振るいながら、

国の儀式や行事についても執り行ってくれている。

人生の先輩たちから昔の様子を聞いて、

それを俺や最近の国の様子に合わせたものに

変えたりと、その働きは目覚しいものがある。


「でもなぁガンレッドは来なくても良いんじゃないか?」

「付いていきますよ。最近のけ者ですから」

「のけ者ってなんだ。ご飯も一緒に食べて」

「良いから顎上げて!」

「……はい」


 顎を上げて首を絞められる勢いで、

マフラーのような薄緑緑濃い緑の三色で

編まれた物を巻いた。着るものも派手ではないものの

気品があるものが選ばれていて、どうにも

孫に衣装な感じがして居心地が悪い。

客観的に見てどこの金持ちの子供か芸能人の二世か

って感じでは無かろうか……。


「ご不満でしょうが、国の代表で行かれるのですから、

それ相応の格好をして頂きませんと」

「ガンレッドは着替えないのか?」

「私は向こうで。動き辛くても困りますし」

「? 動き辛くなる感じなの?」

「……良いからちゃんと着てください」

「着てますけど」

「動き、窮屈じゃないですか?」


 くるくる回ってバレリーナのような真似事を

してみる。そうすると口に拳を当てて笑った。


「あまり笑わないと顔が拭けるぞ」

「……まだ子供ですので」

「国の代表なら笑顔が良いだろう。

俺は生憎戦乱の中の王だ。

そういうのは似合わないし、華美になるのも

あまり相応しくないだろう」

「はい。その点も気を付けております。

我が国が勢いがあり栄えているとはいえ、

華美過ぎれば下品となりましょう。

ですがあまりに質素であれば明るい兆しを

感じられませんから」


 確かに。どうも金持ちとか権力者に対して

下品なイメージしかないもんだから、

ついついそう行きがちだ。

だが国の代表が貧相では相手も身内も

がっかりしてしまうよな。そこは諦めよう。


「では行くか」

「はい」


 選抜の次の日、うちの領土となったセイヨウに

謝罪と挨拶と視察を兼ねて訪問する。

ただし次の戦が目の前なので、強行日程だ。

距離としてはそう遠くないため、二泊三日の予定だ。

イシズエに兵の指揮を任せて総勢百人。

絞りに絞った、イシズエの目に適った兵士たちだ。

 特に何事も無くセイヨウに着いた。

事前に負担となるような儀式はしないよう、

ヨウトにセンリュウ、そしてヤマナワに強めに言っておいた。

が、あまり聞いていないような出迎えを受ける。

我が軍が行軍中は緩急をつけつつも急ぎ目で

進んだが、セイヨウ近くの森を抜けた後は、

ゆっくりと近付いた。遠くに見えるセイヨウから、

俺たちに気付いたのか兵が綺麗に編隊を組んで

出てきた。ヨウトたち三人が真ん中を開けて、

俺を出迎える。ヨウトはガンレッドの横に付けようとして

逃げられたのが面白く、ニヤニヤしながら見ていたら、

二人に睨まれた。怖い。

 そこから更にセイヨウに入ると、

モンテクリス卿を始め、街の人が歓声を挙げながら

出迎えてくれた。


「皆、出迎え有難う」

「卿らは我が王の伝達をなんと心得てあのような

出迎えをしたのか。過ぎた礼遇は下品である」


 食い気味にイシズエから怒鳴らないまでも

語気を強めた言葉が出た。

四人は俺の前に傅き頭を下げていた。


「いやいやいや、大変な中で出来る範囲の

もてなしをしてくれてるから良いんだって。

これで飾り物を豪華にしたりとか、貢物を

山ほどとかやってたら俺も流石に怒るけど、

それよりも街の皆が歓迎の意を示してくれた、

その事が俺は嬉しい。モンテクリス卿、

我が軍が迷惑を掛けたのに、このような嬉しい

もてなしをありがとう」

「いえ、陛下が我々に下さった食料などは、

領地に分配し皆困窮から脱する事が出来ました。

陛下からお言葉が無ければ、我々に出来る全力を

尽くしたおもてなしをしたかったのですが」

「それはしなくて大丈夫だ。これからも

領地を良く治めてくれれば、それに勝る

もてなしはない」

「……陛下」

「実は今日も食料を持ってきている。

分からないように裏に回してあるから、

それで晩餐会の料理を作って皆にも振舞おう。

恵理やフェメニヤさんからレシピも預かっている。

俺も手伝うから準備してしまおう」

「……申し訳御座いません」

「いやいや。うちだけが食料も何もあるんだ。

苦しいときは料理なんて考える前に、

食べる事を考えるだろう。

そういうのは落ち着いてからで良い。

俺たちが良いものを食べるより、

皆で美味しそうな同じものを食べるほうが良い。

何よりその方が皆喜ぶし、何かあっても力を貸してくれるだろう」

「我が領民一同、陛下に対し子々孫々に至るまで

尽くす所存で御座います」

「その言葉だけでも予定を割いて来た甲斐がある」


 実のところ次の戦があるので、

その後にと言う意見も多かった。

特にイシズエは反対していたものの、

ガンレッドの為にもこういう他の領地への

挨拶に出向くと言う行動をしておいた方が良い

という意見も付け加えて納得させた。

 このセイヨウと言う領地は、

アシンバのフロスト、ホクウの更に北にある

スカジの国のように、紡織が盛んだ。

作るものが、作っているものが違う。

スカジは基本厚手のものが多く、

実用性を重視したものが多い。

 セイヨウは我が国とカイヨウの間にあり、

俺としては次の大地の復興をさせるなら

ここが良いと思っているくらい水の通りも良く、

更に蒸留に対して技術を持っている。

その水を使い、更に粘土質のものを

使った染料で染めた薄着でお洒落な形の

ものが多かった。

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