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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
無職のおっさん戦国記

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面談

 イシズエは相変わらず凹んでおり、

それに対してフェメニヤさんの機嫌が悪い。

取り合えず現場の雰囲気が悪くなるので、

先にフェメニヤさんと面談をする。

 まぁ分かってた事ではあるが、

イシズエが自分の失敗で迷惑を掛けた事、

更に温情を掛けられたのに気も漫ろで

失敗の事ばかり目を向けていることに

我慢ならない事を捲くし立てられた。

イシズエの気持ちは分からないでもないが、

国の皆の意見を多少抑えて要職にも就けていたので

俺は庇う事はしなかった。

 ただしフェメニヤさんにはイシズエに関して

今後辛い仕事をして貰わねばならない旨を

伝えた。聡明な彼女にどこまで説明したものか

悩みはしたが、このまま説明無しでイシズエに

例の仕事をさせたらヤバイと感じたので、

詳細を説明した。彼女は俺に対して、


「夫がどうであれ、私は私として家族の命を

救うばかりか重要な仕事も下さった恩ある陛下に対して

裏切るような真似は出来ません」


 ときっぱりと言われた。

俺は感謝の意を示し、イシズエはそういう仕事を

すると言う事と、更に危険分子が出入りした際には

注意をと告げたが


「四度目は家族として恥を知るべきだと思っております。

遅すぎるとも。ただそういう役目を頂けるのであれば、

夫を最後まで支えその行く末を見る覚悟で居ります」


 と腹を括った感じで答えてくれた。

……図らずも完全包囲に近い形になってしまった。

その後機嫌が少し上向いたようで、眉間の皺は無くなった。

元々彼女も忙しい。食料と言っても大人から子供、

老人や病人と幅が広い。それを現状ある素材から

工夫してレシピを考案し栄養不足にならないよう

差配してくれている。そして街の国営食堂や

他のお店だけでなく、一般市民にも

講座を開いたりもしている。更には家計の運用や

家事や縫製なども担当している。彼女も大概落ち着きが無い

ので、ジッとしている性質ではない。

 また恵理やリムン、エメさんたちにも眼を配り、

その教育や心のケアまでしてくれている。

優秀だし前までお城に篭っていた鬱憤があったのか、

全精力を傾けてくれているので、

無くてはならない人物だ。

 正直なところ俺の政策、施行速度や実行力も

あるが、更に大きいのはフェメニヤさんたち

前の王室が支持してくれている事も安定している

要因の一つだ。これは特に昔の中国の歴史を

好きで見ていて気になった点でもあった。

暗君ならまだしも、そうでない君主も禅譲後に

追い込み亡き者にしていた事が多く見受けられ、

更にその後国は一瞬の安定を見たが、

三代持たない事が多いように見えた。

 俺としては三代もクソもないのだが、

出来ればその後百年くらいは外圧以外で

滅びない結束力が欲しい。それくらい揺ぎ無い

基盤としてこの国を整備する事に全力を傾けている。

 厚遇しすぎずかといって冷遇もしない。

イシズエが野党の立場を取るとしても、

俺の重臣としてあり続けるのは間違いない。

ただしここからはナルヴィの以前の役割を

担ってもらう事になる。

 ナルヴィも元が悪い人間ではないので、

厳しい事を言うがその背中で魅せるという

俺より王様らしい感じでご婦人達は元より、

内政官達にも人気があるし、外交部門

三官とも交流がある。王様代わらない? 

そう聞いたところ、まぁ目を据わらせて

長い事くどくどくどくどと説教された。

 そんな感じなので俺に対して厳しい

人物として好評を得ている。それ自体は

とても嬉しいが、陽ばかり多くては

不意の陰に対処できないと考えてもいた。


「どのような処罰も受ける覚悟で居りました。

王に対しての忠誠は揺るぐ事は御座いません。

この頂いた何誓い、生涯お使えする気持ちに

偽りは御座いません。どんな任務でも

王のお役に立てるのであれば、この命を

掛けて全うさせて頂きたいと思います」


 まぁクソ真面目で融通が利かない上に、

現実と自分の考えている自分の剥離が大きい事、

判断を自分で背負い込みすぎる事、

良くもあるが悪い方に今は傾いているので、

そこを注意するように言った。

またこれからは俺にのみくっつきつつ、

反対派の纏め役もこなしてもらうので、

スケジューリングの為に副官を一人つける事を

付け加えた。


「すまんがガンレッドは俺の副官としても

そつなくこなしている事もあるが、

未来ある者に最先端の場で見聞きさせたいので

副官にはしてやれない」

「……いえ、そのお言葉だけでもう

私は十分です。なんとお礼を申し上げれば良いか」

「礼は良いから上手くやってくれよ?

一応奥さんにも話はしてあるから、

ここから先はあんな落ち込んだ顔は家の中だけで

するようにな」


 そう言ってイシズエとの面談も終える。

ある程度皆に任せる事が出来るように

俺自身が出来たので、こういう細かい事が

主な仕事になっていた。書類処理は逐次見て

サインしている。と言っても忙しいのは

変わりないので、速読を自然と身に着けた。

 生活レベルの向上も閣議での話で、

以前の倍位にはなったと決定し正式に記載した。

俺の感覚としたらそれ以上な気もするが、

あまり大々的にしてしまうと人が来すぎて、

雇用も大変だしそれであぶれて犯罪が増えても困る。

実際城壁は畑を囲うことで拡大したものの、

今は更なる城壁について考えても居た。

ただし広げすぎても管理が大変だ。


 文化レベル的に娯楽施設の作成にもそろそろ

着手しようかという考えも示したが、

元々巨人族に娯楽についてあまり頭の中にないのか、

イシズエたちから反対意見が多く出て頓挫している。

無くても勿論良いが、何れ外貨というか外の

物を多く手に入れる一つの手段として、

観光的部分も欲しいなぁと考えての事だ。


「しかしなぁこれはどうしたものか……」

「どうしたものとは何でしょう」


 更に数日が経った会議のとき、

皆の前で俺がボソッと言った事を

イシズエに拾われた。反対派の嫌な野党

というよりは、出来る厳しい秘書官に

なってきている。皆の厳しい目もあって、

ナルヴィのように好かれたりはしていないので

怖くもあるが、良い感じだと思う役として。

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