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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
アイゼンリウト騒乱編

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冒険者、城へ!

城下町に突入したコウたち冒険者一行は

湧いてくる敵を倒しつつ進む!

 俺達は骸骨兵士達や魔族達を

退けつつ、城へ向かう。

何もない時はあれだけ近くに感じた

城が遠い。


「これじゃあキリが無いわ」


 アリスは俺に背を合わせそう告げる。

そう思う。後から後から湧いてくる。


「アリス、少し背中を任せる」

「……私に任せていいの?」

「ああ、任せる。頼むよ」


 俺は後ろを向いて言うと、

手を前にかざし


「神の吐息ゴッドブレス


 と告げる。

風の渦は骸骨兵士や魔族を吹き飛ばし、

城の入口まで道が開く。


「皆、城の入口へ!」


 俺の声に反応し、皆は俺が開いた道を駆け抜ける。


「アリスも」

「アンタが残るのに私が行く訳ないでしょ。

アンタをこんな雑魚達にやらせはしないわ。

私に与えた屈辱は私の手で晴らすのが信条なのよ」

「良い事を言うわアリス。

私達魔族はお前に借りは作らない」


 イーリスも俺に背を合わせてくる。

何とまぁ義理堅い事で。

一瞬空いた城への道も、

リムンがギリギリ間に合った時には

既に道は塞がれていた。


「どうするの?それを乱発する?」

「いや、出来れば温存したい。

イーリス、アリス、いけるか?」

「誰に言ってるのかしら?」

「ホントよ。私達上位魔族を甘く見ないで頂戴!」


 そう言い終えると、イーリスが手に呼びだした

銀色の剣を振るい、

二列ほど吹き飛ばすと、

その後にアリスが前へ出て回転し

骸骨兵士と魔族を切り刻んだ。

 そして俺はその後へと続き、

抜けていた黒隕剣で走りながら

斬りつけて進む。

これを五度繰り返して城の入口へと辿り着いた。


「流石だな二人とも」


 俺は微笑みながら手を掲げる。


「フン!」


 アリスは俺の手のひらを殴り、


「序の口よ」


 イーリスは俺の手のひらに指を絡めて、

俺を引き寄せる。


「どうするの。あれは止まらないわ。選択を」


 と告げる。


「解っている。この先に気配は?」

「抜かりない無いようよ。恐らく三、四体」

「離れろ!」


 イーリスと思案していると、

突然ファニーが俺とイーリスを

強引に引き離す。


「あらあらごめんなさいね。

お子様には早かったかしら」


 挑発するように、妖艶に微笑むイーリスに

ファニーは牙を剥く。


「はいはいそこまでだ。

リムン、あの結界はどれだけ持つ?」

「アタチ?うーん……一か所だけなら

十枚は張れるかもだのよ」

「そうか……」


 十枚の耐久性がどれだけなのか解らないが、

過度な期待は禁物だ。

リムンは残すとして、そのサポートを誰にさせるか。

俺は思案する。

時間が無い。

今も入口付近では、ダンディスさんとリードルシュさん、

ビッドが交互で防いでいる。

姫は当然行きたいだろうから連れて行かざるを得ない。

イーリスとアリスも同様。

そしてファニーは俺の腕にしがみ付いている辺り

残れと言っても無駄だろう。

 

「コウ、ここは俺が護る」


 野太い声がそう言った。

人選で言えば当然か。

しかしビッドのパワーはこの先の敵に対して

有効だと思う。

そしてこの場所を護るのに、

結界を破られては張りを繰り返せば、

リムンは疲弊する。

要は回転率が問題になる。

リムンが結界を張る、破られる、休憩を取らせる為に

雑魚を潰しつつ持ちこたえる。


「コウ、頼む。必ずここを死守する」


 ビッドは俺の目を見て訴える。

命を賭けてでもリムンを護るだろう。

そんな事は疑っていない。

ドラフト族の怪力と体力なら持つか。

そして意気は誰よりも高い。

使命感を持って臨むなら適任だろう。


「コウ、私もそれで良いと思うわ。

ドラフト族の怪力と体力は、

魔族の私達をも凌駕する」

「そうね。獣族と迷っているんでしょうけど、

彼に任せた方が良いと私も思う」


 イーリスとアリスはそう後押ししてくれた。

中々良い参謀が付いてくれている。

俺は微笑むと


「ビッド、リムン、二人に俺達の命を預ける!

持ちこたえてくれ!必ずあの王を倒して迎えに来るから」


 そう二人に檄を飛ばした。


「ああ、ああ、有難うコウ。

俺は必ず死守して見せる!

お前が帰ってくるまで待っているぞ!」

「うぅ……ドラフトのおっちゃん怖いけど、

おっちゃんの為にアタチ頑張る」

「ありがとうリムン」


 俺はリムンの頭を撫でる。

照れくさそうにするリムンに向けて


「リムンの結界は強い。俺の剣でも壊せないと思う。

俺は必ず帰ってくるから、そしたら一杯冒険しような」

「うん!絶対だのよ!」


 ぴょんぴょんとび跳ねながら、リムンは喜んだ。

こういう言葉があれば、辛い時に励みになる。

なってくれて、リムンの踏ん張りを支えてくれと

祈りながら頭を撫でる。


「コウ、急ぎましょう」

「時間は有って無いようなものよ」

「ああ、二人とも任せた!

姫、リードルシュさん、ダンディスさん!行きましょう!」


 後ろ髪を引かれる思いはあるが、

それも俺が王を倒せば良いだけだ。

腕にしがみつくファニーの頭を撫でて、

振り返らずに城の中へと突入する。


 この先にどんな敵が待ち受けているのか。

そして決断を迫られる。

身を切られる思いというのを初めて知ったのだった。

ビッドとリムンを入口に残し、

本丸へ攻め込むコウ。

王座の間までに待ち受ける物とは!?

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