第一ラーメン
「じゃあ調理場に案内してください」
俺は黒刻剣を収めると、
辺りを見回す。一人の女性が、恐る恐る
案内を始めた。よく解らないけど
乱暴する感じではないのは解ってくれたらしい。
少し歩いてあった大きな扉を開けると、
そこにはキッチンというか、
小学校の給食のおばちゃんがいた感じの
場所があった。
俺はいつも作っている方法を教えてもらう。
麺はどうも中力粉を使っているようだ。
コシがつよくうどんには向いている。
そして汁。何でもこれは代々受け継いでいる、
醤油っぽいものににんにくをすって混ぜるだけらしい。
要はこれをお湯で薄めて汁にして、
具材を乗っけただけらしい。
お姉さん方に俺が荒野で捕まった話と、
そこで食わされたラーメンについて話すと、
どうやらこの国のものではないらしい。
この近くの街で食べたものも違うようだ。
「うーん」
改めて食べさせてもらうが、
簡単に言うとラーメンの麺をうどんに変えた
だけのものになっている。正直不味い。
ラーメンの麺はあの麺だから合う。
正直言うとマシだがイマイチ。
で、俺はお姉さん方に協力してもらい、
麺から作ることにする。水を混ぜてこねて見て、
あるビンにあった粉をこねてみると、
たんぱく質が多い小麦粉を見つける。
また幸運な事に、重曹とかん水があった。
塩に水そして片栗粉を混ぜ、更に最初に使っていた
小麦粉を少し混ぜてたまになるまでこねた。
それが完了した後ビニールのようなものに包み、
更に風呂敷に包んで床において暫く踏む。
それを七回繰り返し、放置。
皆に話を聞くと、動物は繁殖をする前に
戦争などで取られてしまい、食用にするまでに
いかないようだ。となると後は植物とこの液体のみ。
水に浸かってる大豆があったのを目にし、
先ずは大豆を皆さんに粉々にして頂く。
そしてその間に野菜を切って鍋に入れる。
巨人族パワーでいたと板の間に挟んであっさり
大豆を砕いた後、別の鍋にそれを入れて煮る。
暫く煮た後になるべく大豆のみを取るため
それを漉し、野菜をぶち込んだ鍋に入れる。
放置した麺の玉を台の上に乗せ、
麺棒で伸ばしてもらう。この方たちの方が
力は上なんで絶対良い物が出来る。
伸ばして折りたたみ伸ばして折りたたみを繰り返した後、
二、三ミリ幅で細かく刻んでいく。
そして麺を別の鍋で煮て、程よい硬さになった後、
器に前まで使用していた汁の元を大匙二杯ほど加えて
汁を入れた後に麺を入れて完成。
ホントはチャーシューも欲しいかったが仕方ない。
「どうぞ、召し上がれ!」
一時期ネットとかでも流行った豆乳ラーメンを
再現してみた。明らかに味は薄めだが、健康にも
美容にも持って来いだと思う。
味見したけど自画自賛ぽくなるが麺も手作り出来たて
で美味かった。さて巨人族のお姉さま方の反応は……?
「あら美味しい」
意外に美味しかったらしい。一人が口にした後、
段々食べてくれた。特に絶賛だったのが、
やっぱり麺である。そら合わないもんね。
でもそうなると次はうどんを作りたくなる。
「汁はどうよ」
「汁は独特の味がするけど美味しい」
「何かお腹に貯まりそう」
わいわい始まった。
それから皆で奪い合うように食べ始める。
個人的にはやっぱり出汁だ。
見た所海産物については一切無い。
煮干だったり昆布も無い。
畑の肉と言われている大豆を
今は多く摂取しているのかもしれない。
お世辞にも栄養的に良い環境ではない。
これは中々厳しい……。
「あ!ちょっとなんで先に食べてんのよ!」
「ずるいだのよ!」
わいわいしていると、
恵理とリムンが飛び込んできた。
そして後からロキとエメさんも。
「そっちはどう?」
「ま、問題になる事もない。
良くこんな環境で戦えたもんだ」
「歯応えなし」
まぁここを見れば解り易いか。




