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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
巨人の大地 オレイカルコス

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安心安全攻城戦

 エメさんは短くそう返事をすると、

ゆっくり下へ降りていく。俺たちもその後に続いて

簀巻きになった王様ぽいのを引き摺って行く。


「うわああああ!」

「な、なんだこ……ああああ」


 何かこういう単騎でビシビシやっちゃう

ゲームを見た事がある気がする。

エメさん一騎当千過ぎやわ。


「何だか悪い気がしてきたわ……」

「そうだのよ……」

「確かに。なんか手持ち無沙汰でもあるし」

「まぁまぁ彼女にとったらこの位朝飯前って

感じだろう。それを考えれば、彼女たちと

最初に手を組んだのは良い采配だったね」

「お前最初に退治しようとしただろ」

「そりゃね。未だによく解らないし。

今は利害の一致が出来てるから良いけど、

気をつけたほうが身のためだ」

「ややこしい事だ。……さて俺たちは

取りあえずエメさんが縛ったのを一箇所に

集めておこう」

「了解。それは僕がやっておく。

子供の使いは一人で良いだろ?」

「解った任せる。そしたら恵理とリムンはロキと

エメさんの間を取って、警護兼伝達でヨロシク」

「オッケー」

「あい!」

「俺は城の中を散策してくる」


 そう言い残し、王の間から下へ降りると、

蔓や草木を掻き分けて中を歩く。

シルヴァ大陸以来の城だ。何だかこういう

感じは久しぶりで、少し胸が躍る。

外の喧騒とは違い、静寂が支配している。

……ただ気配は違う。息を殺しているだけだと

俺の気に訴えかけている。巨人族は良くも悪くも

全てにおいて大きいようだ。


「今よ!」


 その声と共に扉が開くが、蔓や草木に足を取られて、

思うように俺に攻撃が出来ていない。

また大人数なのでドミノ倒し状態だ。


「ストーーーップ! 動かないでくださーい!

下手に動くと下の人が窒息しちゃうのでちょっと

大人しくしてて下さい!草木をどかすんで」


 俺は精一杯声を張り上げて言う。

それに驚いたのか、ドミノ状態の方たちは

静かになった。それを見て俺は相棒の黒隕剣を

引き抜く。剣身に漂う青白い球体の光は、

俺が一薙ぎすると周りの草木に触れるために、

回転を大きくさせた。次々と光になる草木。

するともう一つの鞘からカチャ、と音がする。


「そういえばここのところ共にしてなかったな」


 俺は詫びるように言って鞘から引き抜く。

黒き魔剣、黒刻剣(ダークルーンソード)

今魔力を消失してしまった俺としては、

どうも黒隕剣に頼りがちになってしまう。

純粋に剣の腕を磨くなら、こっちの相棒かな。


「皆!かかれー!」

「わー!!」


 エプロンに三角巾、スリコギとか包丁とか

で向かってくる女性陣。彼女たちは戦士ではないまでも、

力とか凄そうである。

俺は黒隕剣を鞘に収め、黒刻剣(ダークルーンソード)

彼女たちを迎え撃つ。と言っても斬るわけじゃない。

だからこそ剣の技術が必要になる。

切っ先を使わず、ほぼ剣腹で押す

と言った感じで対応した。勢いで薙がず、

寸でのところで止めた後押しつけて押し出す。

筋肉痛になりそうだが、そう言う俺の方針だし、

これはこれで鍛錬になるので続行する。

ただしダメージとか全く無いので、

こっちの体力勝負だ。


「お姉さん方、そろそろ降参しませんか?」


 恐らくここは俺が欲しかった調理場だろう。

人数は五十人程度。歓声を最初送っていた

人たちも、段々その声は消えていった。

そして掛かってくる人が居なくなったので

声を掛けてみた。


「な、何が目的なの!?」

「そうよ!体目的なの!?」

「酷い男ね」


 俺はそれを聞いて噴出してしまった。

まぁ戦争だから身の危険を感じて当たり前だし、

今までが変わっていたのだろう。

俺も一応男だと認識してくれているようだ。


「いいや全く無いね。あえてはっきり言わせて貰う。

ここの食い物は食えたものじゃない!

俺は君たちに真のラーメンと言うものを作りに来た!

そしてここから全国展開して、真面目に

あのクソ不味いラーメンを駆逐する!」


 俺はドヤ顔で宣言する。

しーんとする一同。……あれ?


「わ、私たちだって研究してるのよ!」

「そ、そうよ!やれるものならやってみなさいよ!」


 最後の一言が欲しかった。

そしてそれを叫んだ女性に視線は集中する。


「サンキューベリマ!そしてありがとう!

真面目に美味いから!美味かったらもう真面目に

この国から食料問題解決して、この大地蘇らせるから!」


 皆さん目が点である。それはそうだ。

普通攻めてきたら斬られたりなんだりするもんである。

それが美味いもん作ってやっから国寄越せ!だもんな。

俺でも目が点になる自信がある。

が故にこの行動と言葉にインパクトがあるから、

相手は聞かざるを得ない。力で征服するより、

より効果がある。そして何より主婦を味方につけられれば

もうこれは勝ち戦よ。そして巻き込めば確実!

俺としてはここからが真剣勝負だ。

引きこもりの知識を駆使した美味しいラーメンを作ってやるぜ!

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