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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
巨人の大地 オレイカルコス

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323/570

最果ての荒野

 ロキとラハム様は俺とショウとカグラの

両側を挟む様に左右に立ち、互いへ掌を向けて

手を突き出した。


「暫く電流が流れたような感じがするだろう。

その間は目を閉じていたほうが賢明だ」

「バチバチする感じが無くなったら

目を開けてみて。移動が完了しているはずだから」

「はずってなんだはずって」

「悪いが自分でこの移動方法を試した事はないんでな。

一応計算では上手くいく。そしてこれしか方法が無い」


 ホント安全で快適な冒険を所望したいわ。


「それを叶えたいなら神にでもなるが良い」

「お断りですよ」


 俺は目を閉じる。ここは一つ腹を決めるしかない。


「戻るのを楽しみにしている。ではな!」

「僕は例外の存在だからね。取り敢えず君を追っかけるよ」

「あ!」


 俺の体に電流が流れた気がする。静電気より強い痛みが

肌を走る。……しかし最後の”あ!”が気になる。

あの”あ!”はラハム様でもロキでもない。

バチバチという音が頭に響いてくる。そしてそれとは別に

何か渦の中を通るような音がしていた。こんなもの怖くて

目が開けられるわけがない。ジェットコースターでさえ

乗ったことが無いのに、だ。そしてそのバチバチと渦の中を

通る音とは別に、聞き覚えがありカグラでもショウでもない

悲鳴が聞こえる。いや悲鳴なのか?笑い声も混じってる気がするが。

 その声を確認せず、言われた通りバチバチが消えるまで

身動きせずに居た。そして徐々に弱まる音と痛み。

閉じた目にも解る日差しの下に居る感覚。


「マジかよ……」


 移動は成功したが、荒野に一人だ……。

目の前には西部劇のアメリカの荒くれ者が

通り過ぎた後のような廃墟と化した街が一つある。

何もないよりマシっちゃマシだが、どうしろってんだ。

何より巨人族っていってもちゃんと文明があるんだな。

てっきりもっと荒々しいのかと思ったわ。

突っ立っていてもしょうがないので、散策を始める。

建物はカラカラと少しの風にも反応して音を立てている。

明らかに人が居ない。気配も生活観も欠片も無い。

砂を巻き上げる向かい風を受けながら進む。


「おーい誰か居ませんかー?」


 誰でも良いから出てきてもらわないと、

この状況がわからん。島の広さも文明も何もかも不明だ。


「そこかっ!」


 俺は黒刻剣(ダークルーンソード)を抜き、

右斜め前方へ放り投げた。……意味は無い。気配が無いもの。

犬も歩けばなんとやら感を期待して投げてみた。

相棒に対して失礼かと思うが、このまま荒野をマジで

歩かされるのもシンドイので試してみる。


「サンキュー」


 相棒は俺の手元へ戻ってきた。

勿論剣身や切っ先には何もなし。

金属音も無く破壊音も破裂音もない。

取り敢えず移動していれば何処かに当たるだろう。

いきなりボス戦なんてなかろうしなぁ。

 俺は自分の後頭部を一頻り撫でた後、

溜息を一つ空へと吐いて歩き出す。

やがでそんな廃墟も抜け、

草も生えて居ない枯れた山が聳え立つ

荒野へと足を進める。しかしホント生き物の

息吹を全く感じないんだがなんなんだこの大陸は。

何をしたらこんな事になるんだろうか。


「こらマジで二、三日人と喋らなくて良さそうな

感じで嬉しいよ」


 やれやれと思って皮肉を言うと、砂埃を大量に

強い風が運んできて俺にぶつけて来た。

止んだ後顔を払い、街へと戻る。何もない状態で

荒野を突っ切ったら誇りで埋まるかも知らん。

街に戻って直ぐにある二階建ての木造の家に入る。

中に一つテーブルがあり、そのクロスを引っ張った。

そして埃を落とすようにバサバサする。

舞う埃に咳き込んだので、そのクロスを持ちつつ

外に出る。二つ折りにして体に巻きつける。

丁度頭も隠せるように余らせたので

顔だけ出るようにした。


「地味だ……」


 最後の島は地味から始まった。


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