Air Battle
「オッケー。だけどやることは一緒だ」
俺は頭を切り替える。
兎に角ここは相手のペースに乗らないことだ。
そして走り負けないようにしないとならない。
何しろ鷲と虎が合体している体の持ち主だ。
恐らく風を起こし空を駆けるんだろう。
俺は相棒を左右斜め下に切っ先を向けて構える。
「これは予想外に冷静ですね、では次に行ってみましょう
Ride On!」
喋りながら羽を羽ばたかせ、英語の後に小さな竜巻が
三つ現れた。だが竜巻はクサリクの時に経験済みだ。
羽ばたきによって地面が冷やされ、巻き起こった風は
回転しながら温度の高い上空へと伸びている。
「はああああっ!……だりゃあ!」
特に変わったことはしない。クサリクの時と同じように
星力を上げて待つ。三つの竜巻が俺の近くに来た瞬間、
地面を叩き衝撃とエネルギー発生による気温の上昇により、
竜巻をかき消す。
「おっとここで交通情報の様です。ウムさん」
ホントなんの番組なんだ。交通情報て。
俺が一瞬気を抜いた時、背中に衝撃が走り、
吹き飛ばされた。
「You`re most Welcomed!」
イライラさせてくれる!意味解らんけどやったぜ的なもんだろ。
前足を上げ口を大きく開いた。ヤバいかもしれないけどチャンスか。
吹き飛んだ先にいるウム・ダブルチュに対して切っ先を向ける。
さっきの大砲恐竜と同じように倒せるか!?
「Goodbye baby!」
耳をつんざく様な高い音と同時に振動が伝わってきて吹き飛ばされた。
音波まで使ってくるのか……。俺は空中で態勢を立て直すべく体を捻る。
「いって!」
背中、次に左腕に衝撃と痛みが走る。態勢を立て直す暇がない。
何が俺に当たってきてるんだ!?
「Blow Off!」
なるほど考えたな。俺が空中に居る間は竜巻消しを出来ない。
態勢を立て直して地上に降りたいのは山々だが、
さっきから何かが俺の邪魔をしている。そいつを追っ払おうと
相棒たちで払いつつ態勢を立て直しつつ落下し始めた。
が、目の前に現れたさっきの竜巻三つを合わせたような
巨大なものが唸りを上げて俺に迫ってくる。
……それにしても一々昨日覚えたような英語を
バリトンボイスで滑舌良く言われるとなんか腹立つな。
お邪魔虫の妨害にこの英語。思考を妨害されると
感情的な部分が支配する。野生の本能で危険を察知
している事もあるのだろう。ここは考えるより感じて
身を任せる!
「邪魔!」
お臍の下の丹田という場所に集まるよう、
一気に空気を吸い込んで下っぱらを膨らます。
そして押し出すように力強く凹ましながら叫んだ。
気合いを入れる時とか力を出す時に声を出さない状態で
いつもしているんだけど、今回はイライラしていたのもあって
全身から叫んだ気もする。
「あれま」
自分がした事に驚く。さっき目の前に迫ってきていた竜巻が、
消えている。……マジか。気合いで消し飛ばしたのか!?
「ちょっと違うきゅぴ!星力の力も加わって音波みたいになったのと、
エネルギーの発生で消えたきゅぴ!そんな何度も出来ないから、
上手く使うきゅぴ!」
後ろからきゅぴ太郎の声が飛んでくる。
うーんでもなぁただ叫んだだけだし、これでいけるなら便利じゃね?
エネルギーの消費っていっても今のところ俺の体には異変はないし。
「いって!」
後頭部に一撃食らった。振り返ったところでもういないんだけどな。
一体何なんだ。ファ○ネルかなんか飛んでるのか?
「Look away?」




