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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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群れてる時も気をつけよう

 俺が起こした風は、奥へ瘴気と共に消えていった。

俺はニヤリとした後相棒二振りを納めた。

暫く沈黙が続いたが、何も無いようなので歩きだす。


「おあああああああああ」


 ”おあ”で切れたのは五月蠅くて指で耳を塞いだからである。

歩きだした瞬間怒声が飛んできた。何が起きたというのか。

いつの間にか後ろにいる凶悪マスコットを見たが、目が点に

なっている。それを見ながら耳を塞ぎつつ進み、見えなくなるか

どうかギリギリのところで、こちらへ向かってすっ飛んできた。

スレスレで避けるも、牙を剥きだして噛みつこうと蠅のように

俺の周りを高速で飛び続けている。何か言ってるが聞こえない。

避けつつ俺の足を上手く凶悪マスコットの体に押しあて

軌道を変えたりしていたので、まだ指を耳に突っ込んで音を遮っているからだ。

罵詈雑言を並べてるのは見なくても解る。のでここは面白いから

出来る限りこの状態を引き延ばしてやろうと、意地悪く頑張ることにした。


暫くそんなことを続けていると、奥の方から振動が近付いてくる。

ダンジョンそのものをぶち壊して進んでいるようだ。

もう見える先の部分も崩れてきた。


「んあっ!つあああ!」


 俺は凶悪マスコットの隙を付いて引っ掴み、奥の方へ放り投げると、

すぐさま相棒を引き抜いて星力を集中させる。剣身まで青い光が通ったのを

確認し、俺は切っ先を前方へ向けて相棒二振りを並べる。


「吹き飛べ!!」


 俺は頭の中で撃鉄が起こし引き金を引くイメージをし、放出するよう掛け声

と共に念じた。相棒二振りはそれに呼応し、前方に青い光の粒子を放つ。

崩れるダンジョンの素材を跡形もなく溶かしていく。そして暫くすると、

奥の方で消せない部分で粒子が逆に止まって消えていった。

どうやらその部分だけはどういう条件であれ、それこそ世界の権利者以外は

消せないようだ。ルールは存在する。勿論ミノタウロスのではない。

そして恐らくあの人物のでもない。いくら俺がおっさんでもボケたり記憶が無くなる

にしては、不自然な間がある。長い期間なのか短いのかは解らない。

以前より星力の安定感がまるで違う。修行がどうこうではない、体が馴染んでいる。

イメージとズレがない。俺の自分の体の動きがイマイチなのは

修行をしないとなんともならないが、星力を制御する事は上手いこと出来るようだと思った。


「よし!」


俺は相棒二振りを納めると、一息吐いてから気合を入れなおす。


「良い訳あるか!」


 どこからともなくまた飛んできた凶悪マスコットの方。

ちぇ。


「ちぇ」

「声に出さなくても顔で解ったわクソジジイ!」

「そっちもな」

「なんだこらぁ!!」

「やめてえええええええあああああ!」


 ラウンドツーレディ……位までシステムボイスが入った感じのところで

奥からまた叫び声が。情けない声だが聞きおぼえがある。引きこもりの

同志である


「ミノタウロスくんじゃあないか」

「なんでぇええええええあああああ!?」


 会話にならない。なんでってなんだ。それに喋るのに汚い絶叫。

何かやったのか謝ることがあるのか言い訳するのか。


「ぼくわああああ!一生懸命ぃいいい!作ったんですよぉおオオああ!」


 もう”お”からの”あ”をやめてくれんかね。涙流して大絶叫が

見なくても解るんだよね。


「だからあああああ!ちゃんとぉおおお!進んでくれないとぉおオオ!

困るんですよぉおおおあああ!」

「おおああうっさい!」


 ムッシュからもお怒りの声が。


「か○やつ的な感じにするなムシュだ!」

「うっせばーかばーか!」

「なんだクソジジイ!」

「んぬるぉあああああああ!」


 もう酷い有様だ。俺は今一人だということに今更気付く。

突っ込み役が不在。俺までおふざけしてたら話が進まない。

色んな意味で物語がやばい。何度目か。


「オーケー諸君、一旦仕切りなおそ?」

「「お前のせいだ!」」

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