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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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進まないはなし。

「いって! ちょっと待ってちょっと待ってー!

それツッコミじゃなくて暴力だからー!」


 後頭部を抑えながら抗議する魚の人。

いやツッコミも何も三枚下ろししても

文句言われる筋合いないのだけれども。

ティアマト軍のジョーズはどこいったのさ。


「ホントさ―ちゃんとやろうよー。

リアクション取り辛いじゃんかー」

「じゃあもう一回……村じゃなくて街じゃないか!」


 おでこの辺りをスパーンと叩いてみる。

よろよろとした後に尻もちをつく魚の人。


「おいーちょっと何でもう一回叩いたんだよ!

意味解らんわ。もー! ……あ、ちょっとすいません

後頭部痛すぎた。誰かタオルもってませんか」


 忙しい人だなぁもう。

俺はポケットから布を取りだして渡す。

それをすいませんと言いながら受け取り、

後頭部にあてて天井を見上げる。


「あぁー癒されるわぁ。てかこれくすりくさ滲みてて

リアルに直りそう」


 くすりくさ……ああ薬草の事かな。

何処でそんなものが滲みこんだんだろうか。

頭を捻るが出てこない。


「あ、有難うございましあ……た。これ洗濯して返しまふんで」

「いえ結構です」

「じゃあハイ」


 普通に噛んでるのかなんなのかエライ噛み方したな。

魚の人が手拭を俺に差し出したが、それを何故か

メデューサさんが石で魚の人の腕を叩いて落とさせた。


「いったいいたたたたたた! 石で腕叩くとかお前は

馬鹿か! 腕たたんじゃうだろうが!」


 どうしよう話が進まない。


「もー! 普通に出来ないの貴方達は!」

「え、普通にやっていいの?」

「そうなんですねじゃあ普通にします」

「普通で行こうよ」

「ハイ」

「グア」

「おのれ魚人! 俺が退治してやる!」

「僕も力を貸すよ!」

「先生! 僕が行きます!」

「リウさん、私達で援護を!」

「グアアアア」


 俺達は横一列に並んで構える。

それを見て魚の人は叩かれた腕を抑えつつ、

真っ白になっていた。


「いや、ホント、え? 何やってんの?」

「行くぞ!」

「行くぞじゃねーわ! 馬鹿だろ揃いと揃っちぇ!」

「はぁぁああ!」

「馬鹿馬鹿馬鹿! 死んじゃう死んじゃう死んじゃうって!

しかも言い間違いを突っ込めってー! 

いろんな意味で死んでるっつーの!」


 俺はなるべく斬らない様に斬りかかる。

どたばた避けながら抗議する魚の人。

流石ティアマトさんの生みだした将軍だ。

能力は伊達じゃないらしい。


「時間稼ぎでもしてるのか?」


 俺は無いだろうけど一応それっぽい事を言って

距離を取ってみる。明らかに天然ぽいけど。

魚だけに。


「フッフッフ。やっと解ったか馬鹿らめが。

そう、俺様はお前さん達を足止めして

ダンジョンの生成する時間を稼ぐべぐ、

お前達を絶妙なトークで泳がせていたのよ

魚だけになぁ!」


 くっそドヤ顔で言い放った。

その上魚だけにって全然巧くない……。

しかも俺も言ってたし……。

 俺は居た堪れない気持ちになって左手で

顔を覆った。


「どしたん?」

「……いや何でもない」

「……まさか”魚だけに”とか心の中で

つぶやいたんじゃ……」

「っさいなー」

「え、嘘でしょ」

「う、嘘ですよね、先生!」

「グゥーン……」

「だ、大丈夫大丈夫。よしよしよし」

「大丈夫ですよー心配ないですよー、

当てられただけで、いつもそんな人じゃ

ないですから。知ってますよ私」

「そ、そうです! 先生は強い人です!」

「グアー!」


 肩を落とす俺をロリーナとメデューサさんは

頭を撫でてくれた。ギトウとリウは側で

励ましてくれている。


「こんな魚だけにとか世界一くだらない事を言う

俺を、皆許してくれるのかい……」


 俺が手を顔から離して皆の顔を見ながら

そう問うと、皆笑顔で頷いてくれた。


「そっか。こんなに嬉しい事は無い。

僕にはまだ帰れる場所が」

「待て待て待て待てーーー!

何が始まるんだミョージカルか! 長すぎるわ!

俺の事めちゃくちゃ馬鹿にするだけに

どれだ尺取るんだ馬鹿か揃いも揃って!」


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