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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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鉄人

 俺はイライラして暴れたくなったが、

無駄だと悟り起き上がる。

そして正座したまま眠っていたギトウと、

仲良く体を寄せ合って寝ていた

リウとメデューサを起こして、先に進む。

 ネタばらしされてしまったので、

ここからは純粋に鍛錬しつつ、

ダンジョンを皆で楽しもうと伝えると、

ギトウは燃えて、メデューサは心なしか

嬉しそうに見えた。

 六階に下りてみると、煉瓦の色が

灰色になっている。五の倍数毎が節目に

なっているようだ。

 

「どうしますか? 部屋を調べますか?」


 ギトウの問いに


「まぁね。また草オンリーなら文句言おう」


 と答えると、二人とも笑顔で頷いた。

俺としてはミノさんにはあまり期待して

いない。彼は門番みたいなもんだろうし。

ロキの目的は俺が強くなる事だ。

飴と鞭くらいアイツなら心得ているはずだ。

 ギトウを先頭にして

フォーメーションを組む。

本来なら俺が前に出るべきなんだろうが、

正直あの感覚からいつもの状態に戻って、

今動きが変になっている。

どうもオンオフの切り替えが巧くない。

自分をコントロールするという

点においては、ダメ人間らしさが

頭を出す。隠れては無いか。


「えぇ……」


 飴よりも俺の考えが甘かったらしい。

最初の部屋の宝箱を見て

嫌な予感がしたが、十部屋あった

全ての中身が草。

草生えるどころではない。密林状態だ。

 七階に下りる広間に来た俺達を

出迎えたのはまたロリーナっぽい者だった。


「ハァ……」


 俺達4人はクソデカイ溜息を半目になって吐く。


「ふふ、俺の様な最強の者と

何度も戦うはめになり、ついに自分の生を

呪いたくなったと見える」

「ちっげーよばーか」


 何でコイツこんなに自信満々なんだろうな。

隠し玉でもあるんかな。

ちなみに突っ込みを入れたのは俺ではない。

メデューサさんである。辛辣ぅ。


「兎に角どうします? この草の山。

こんなに持ってても正直袋の中が

異魔神召喚してしまう位カオスです」

「うーんどうなんでしょうね。

我々の中に回復とか使える方が居れば、

廃棄しても構わないんでしょうが」

「グア」


 確かになぁ。細胞促進草はこの

パーティにとって今は必要ではある。

が、あり過ぎだ。袋の許容量の

問題ではなく、中の問題になってる。


「これ……喰えんかな」


 俺がボソッと言ったら、

アホ含め全員が俺を見た。

何だその顔は。


「これ……食べるんですか?」

「えぇ……マジですか先生」

「貴様……命知らずか?」


 まるでヤバイおっさんを

見るような眼で俺をみるアホ達。


「知らんわ。食えないのかこれ」

「どんだけ食いしん坊なんですか貴方は」


 貴方に言われたくないよ。

何でも食べそうなくせにさ。


「いやいやいや、俺の世界では

薬膳料理というのがあってだな、

体に良い草をちょっと味付けして

煮込んで食べる文化があって」


 一生懸命説明すればするほど、

何の罰ゲームだと言わんばかりの目を

して俺を見る。イラつくわ。


「おい、塩と醤油あんのか」

「用意しますが……」


 物凄く嫌そうな顔して見てんだけど。


「いやいやいやいや、違うじゃん。

食べて無いじゃん。食べて不味かったら

そういう顔すればいいじゃん?」


 ピキピキしていたが、努めて冷静に

頼んだぞ。イケる可能性があるしさ。

やらないよりやったら良いんだよ。


「仕方ありませんね。そこの亡霊、

さっさと用意してください」

「お、俺の事を言ってるのか蛇女!」

「は?」


 ロリーナっぽい者はメデューサさんの

睨みに勝てず、とぼとぼと肩を落として

景色に溶けていく。


「いや、何でこれ煮るんですか」


 持ってきたものの、直ぐにリターン

されるロリーナっぽい者。

めんどうだなこの言い方。

石鍋の様なものを持って戻ってきたので、

俺はそれに薬草を刻んで入れ込んだ。

 次に袋に入っていた塩を一掴み、

醤油を二回しした。


「火」

「はい!」


 ロリーナもどきはメデューサさんに

完全に支配されてしまった。

メデューサさんは地面をたたき割ると、

左右に石を積み上げその上に石鍋を。

そして下からロリーナもどきが、

口から火を吐くというシュールな絵が

完成した。

 その火を腕組みしながら見る

メデューサさん。鉄人ですか貴女は。

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