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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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再会 その1

「ふははははは! ちんけなニンゲン!

よくぞ二階をクリアしたものだ!」


 俺達が三階へと移動しようとした時、

ドでかい声が洞窟に響き渡る。

面倒なので無視して降り始めると、

当たり前のようにリセット。

ホントいい加減にしろよ牛男。


「あー、面倒」


 二階の初めの所に戻ってきた開口一番、

俺は棒読みで言う。二人も頷く。

ホント面倒だわあの牛。こういう時、

誰ぞ面倒だと思わず相手してくれる方

募集だわ。

 取り敢えず俺達はもう一度二階を

攻略する。ここで良い点があるとすれば、

それは


「グハッ!?」


 道着ゴブリンをギトウが難なく

吹き飛ばした事だ。

 俺の魔法で先制したという点と、

崩しが全く無いというのは惜しい点

ではあるものの、初戦での躓きを

クリアしていた。

 自分の言っている事が

全て正しいとは思っていない。

ただ昨日今日生まれたような

ギトウに対して、適当な助言は

ギトウの成長の害にしかならないと

考えている。

 自分と同じでは全くないギトウに

どうアドバイスして良いか悩むが、

普遍的なものをなるべくチョイスして

行きつつ、ギトウに合うものに調整して

行こうと思う。


 こう考えると、俺は太公望師父達にとって

良い弟子で在り得ただろうか、と思ってしまう。

実に勘の悪い弟子だったに違いない。


「どしたの」


 エウリュアレーが俺の顔を覗き込む。

俺は自然と顔が緩んでしまったのを、

両手で頬を押し上げて真顔に戻る。


「おーい牛男。何か褒美くれ」


 どうせ寄越さないだろうなと思いつつ、

言うだけは悠久0円なので言ってみる。


「……良かろう」


 大分唸った後、何か独り言を言ってるのか

誰かと喋っているのか分からん事をした後に、

渋々了承といった感じで言ってきた。

 

「あら気前が良い事で」

「フフ」


 俺が言い終わるかどうかで鼻で笑われた。

余裕あるじゃないか……。


「前を見てろ」


 そう言われたので見ていると、

下に降りる階段の入口の付近が

俺の背丈をもう一人足した位の

大きさで白く滲む。


「クルルルル」


 俺はその声に直ぐにピンと来て

掛け寄る。暫くすると、恐竜は

俺に気付いて物凄いダッシュを

かまして来た。


「あははははは! リウ!

久しぶりだなぁ!」


 痛かったし歯が飛んだかも知らんけど、

嬉しさのあまり首にしがみついた。

リウも俺の顔に自分の顔を寄せて、

ドタドタ小走りする。

 いやぁ心細かったわ!

こうしてリウと逢っただけなのに、

こんなにもテンションが上がってしまうとは。


「あ、あの先生」


 暫くリウとじゃれあっていると、

ギトウが声を掛けてきた。


「あ、ゴメンゴメン。紹介しよう!

リウっていう恐竜の子供で、

俺が以前相棒の黒刻剣(ダークルーンソード)

出逢った洞窟で出会った友達だ!」


 そうリウの首を擦りながら

二人に紹介したものの、

俺を見るギトウとエウリュアレーは

乾いた拍手でそれに答えた。

 ……わぉ、なんか温度差激しす……。

まぁ当然と言えば当然なんだけどね。

それでもめっちゃ嬉しいわ。


「おいミノ様ミノ様、出来れば次の階クリアしたら、

ハクかリムンを」

「却下だ!」


 えぇ……めっちゃキツイ感じで怒鳴られた。

なんでだ。リウは良いのに……。


「誰をどうするかはこちらが決めることである!

口出し厳禁とする!」


 そんなに刺々しくすること無いのにな。

俺は口を尖らせただけで返事しなかった。


「それにしてもリウ、良く無事だったな!

石化されてたんじゃ……」

「あの!先生!」


 俺がリウと話そうとした時、

ギトウにでかい声で呼ばれる。

ギトウを見ると、物凄くワクワクしている

ポーズをしている。

目も心なしか輝いてらっしゃる。


「……乗りたいか?」


 俺が笑顔で親指を立てつつ尋ねると、

首が折れるかと思うほど頷いた。

解るー男の浪漫として乗り物っていうのは

えいえんに、あるよ 

ここにあるよ

状態である。


「グァッ!」


 ギトウを乗せようと、リウから離れようと

した時、突然リウが威嚇の声を上げる。

俺はその声に戦闘態勢に入る。

が、どこにもそれらしいものが無い。

だがリウは瞳孔を細め目を充血させ、

身を屈めながら牙を見せている。

まさか隠れた敵でも居るのか……。

相棒を引き抜いて、気を流す。

 ここには俺とギトウとエウリュアレーしか

居ないのに……。


「リウ、大丈夫だ。俺が居るぞ」


 俺はリウの首を抱きしめながら擦る。

暫くすると、リウは牙を隠して体を起こし、

元に戻る。だが俺に向ける視線は、

警戒を解いていない。

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