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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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蠢動

 俺の事は兎も角として、今はギトウが

この耐久力のある相手をどう倒していくか

それが問題だ。

クロスカウンターは相手が無防備な所に、

絶好のタイミングで当てていくものだ。

それが綺麗に決まって威力も申し分なく、

相手がかなり下がっている。

 なのに倒れないのだ。

目の前で道着ゴブリンはストレッチを

し始めている。半端ねぇなコイツ。


 俺だったら、を考えるのはこの場合

あまり意味が無い。何しろ構造が違う。

酷い話をしてしまうと、俺がやっているのは

炎を氷の魔法を合わせて超小出しにしている

ようなものだ。全力でやれば有る程度の者なら

消し飛ばす事も出来るんだろうけど、

俺も消し飛ぶ。そしてこの方法は神には効かない。

俺の生命力とこの世界にある魔法粒子を基にした力

だからだ。


 今そんな事を考えている場合じゃないな。

先のように俺の場合というパターンは少し違う。

と言っても、仮に気のみだった場合はどうだろう。

俺はうーんと唸りながら天井を見て考える。


「ギトウ、一撃。一撃に力を込めて

吹き飛ばすしかないかも」


 ギトウはこちらを向いて頷く。

その隙を突いて、道着ゴブリンは突撃してきた。

それを横に半身になって避けると、ひざ蹴りを

道着ゴブリンに入れる。


「ダメだ!」


 そうダメなんだ。コイツ肉弾戦大好き男だから、

そんなものは想定内。受ける事を前提として来てるから、

身構えてる所に攻撃しているのと同じ。

ギトウの太ももとふくらはぎが掴まれる。

それを道着ゴブリンは野球の投球フォームのような

恰好でギトウを地面に叩きつける。


 この道着ゴブリン、何かの波動に目覚めちゃってる系?

タフさが異常だ。構えてたってダメージは残る。

気合でねじふせても、直ぐに立て直して反撃なんて、

ほぼ無効になってなきゃ取れない。

しかも反撃が投げ技。全身を使いつつタイムラグなしで

直ぐモーションに入った。


 任せると入ったが、荷が重かったな。

さっきもストレッチし損ねたし、行くか。


「ソレガ正シイ」


 俺が気を纏い始めると、道着ゴブリンは

ニヤリと笑って、地面に突っ伏すギトウを

掴んで放り投げた。

 嫌な事を考えるが、こいつ俺専用に

耐久を上げてあるのか……?


「準備体操に付き合ってもらおうか」

「準備体操デ終ワリダ」


 俺は地面を足の指で蹴り、

滑るように間合いを詰め、

肘を鳩尾に入れる。

確かに硬いわ。この状態でも

鉄板を殴っている気がする。

 道着ゴブリンは俺を羽交い絞めしようとするが、

俺は鳩尾から顎に肘を入れ、少し鈍らせた後、

腕の範囲の少し外に抜ける。そして即相手の

左膝側面を蹴る。更に回し蹴りして、

その反動を利用して距離を取る。

 ここで道着ゴブリンの腕が空振りし終わり

腕を交差させた状態になる。視界が0になった。

俺はその中心を思い切り強打する。


「流石ダ。ダガソレデハ俺ハ倒レラレナイ」


 ギトウよりは後ずさりさせたものの、

倒れさせるまでには至らなかった。

……コイツ本当にタフネスなだけなのか?

俺はその疑問を解消させる為に、

魔力を気と混ぜ合わせる。


「ソウ、ソレデ良イ。ソウデナクテハ」


 倒れられないってのはどういう事なのか。

ふとこんな時にロリーナが頭を過る。

そう言えばロリーナはレギンの子孫てことになる。

 俺は魔力と気の融合を説いて、

魔力のみに切り替える。


「神の息吹(ゴッドブレス)


 相手の反応を待たず、魔法を叩きつける。

道着ゴブリンはあっさり吹き飛んだ。

おいおいマジかよ……。


――所詮はゴブリン、役立たず――


 俺の頭に聞いた事のある声が飛んできた。

後ろを振り返ると、エウリュは飛び跳ねて

喜んでくれている。嘘を吐いているようには

見えない。


「ヒ、卑怯ナ!」

「そりゃこっちのセリフだろ。ギトウ、これで

イーブンだ。ひょっとするとそれ以上になった

かもしれんが、不正はないから全力でやりなさい。

後、さっきのを忘れないように」


 と道着ゴブリンの横で怒りに身を震わせていた

ギトウに声を掛けた。




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