宝箱部屋に行こう!
暫く進むと左右に横穴が登場した。
俺達の背丈くらいなので、通路ではないと思う。
ギトウは今度は立ち止まりこちらを向いた。
俺は頷いてギトウと自分を指し、左の穴を
指した。そして壁に背を当てて進む。
穴の近くに来た時に、先に行くギトウの
肩を叩いて止める。俺はギトウの視線の前に
でて、素早く向かいの穴と横の穴を見て、
穴を通り過ぎてギトウと目指していた穴を
縦に挟むような形になる。
中をパッと見た感じ何も見えなかった。
ただまだ入っていないので正解は不明だ。
俺は黒隕剣を引き抜いて、刃を出して使い、
床の石を一つ手に取ると、穴の中に放り込んだ。
カコッ、カラカラカラ
石が地面に当たり石が転がる音がする。
更に3つ手にとって中にばらまくと、
転がる音以外にぶつかる音、そして
「離れろ!」
俺の声に2人は距離を取る。
次の瞬間俺達の背をつけていた壁が
赤くなり、溶け始める。
マジかよ……まだダンジョン入り口付近やで。
ここでヒートトラップとか難易度高くね?
「んあっつ!」
俺は振り下ろされた剣をはじき返して、
返す剣で振り下ろした相手を薙ぐ。
見れば骸骨が剣を持っている。
悪趣味な事だ。この大陸の事を考えれば、
デミやヒューマンタイプの骨が手に入るとは考えづらい。
という事は持ち込んだか召喚したか。
今回は俺が先頭になって部屋の中に入る。
暗いので視界は悪い。
「はい」
凄い軽い感じで少し明るくなる。
横を見るとエウリュアレーが手に
小さな火の球を浮かべていた。
「ありがとう、助かる…わっ!」
明るくなったので、今度はこうもりが飛んできた。
空気の流れは激しくない物のある。
何処かに小動物が抜ける穴があるのかもしれない。
しゃがみ込んだ俺は、一緒にしゃがんだ
エウリュアレーを立たせて中へと進む。
石は真っ直ぐと俺達から見て左右の隅に
転がっている。という事は、センサー的な物ではない。
ただ重量で掛かるかもしれないので、
慎重に中へと進む。
ドキドキすっぞオラ……。
取り合えず異常なし……火の球で大分明るい。
右側に宝箱があるので近付く。
赤ではないが、銅をベースにした箱のようで、
淵とかラインに金が使われている。
鍵穴周りは頑強にする為か、少しキラキラしている
金色だった。
ミミックなんていないやろな……。
心臓がバクバク言ってるのが解るわぁ……。
そっと俺は黒隕剣の先を宝箱の鍵穴に差し込む。
そして一気に上に振り上げると、空いた。
特にミミックでも無く、何か起動したりも今の所ない。
流石にまだここでは無いだろうと思いつつ、
ビビりながら宝箱の中を覗く。
「へー」
エウリュアレーが少し驚いたような声をあげた。
俺も同じ感じだ。もっと根性悪く変な物でも
入れ込んであるのかと思いきや、緑の草が入っている。
「これは?」
俺は流石に草に関する知識はあまりない。
こんな時ハクが居てくれたらなぁ……。
ガックリしている俺の脇にギトウが来た。
「これは……恐らく解毒系の薬草ですね」
「そうなの?」
「はい。前に食べた事がありますが、特に僕の
体調に変化はありませんでした」
回復も減退も無しか。という事は解毒系
である可能性は高い。
それでも可能性の高さだけで確証は何もない。
ぶっつけ本番しかないか。
俺はその草を覚えようとマジマジと見つめる。
なんかホウレンソウみたいでウマそうではある。




