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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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下手な気遣いを指摘されるとハズかしい

 一頻り泣いた後、侘びを俺たちに告げたギトウは、

遅れを取り戻したいと先頭に立った。

俺とギトウで大きな扉を開ける。

するとそこは俺のグッと来る見た目のダンジョンだった。

赤茶けたレンガで積み上げられていたのだ。

古いゲームとかのダンジョンや、ロシアの廃墟を紹介していたテレビ

などで見た、何か不安と好奇心を掻き立てる感じだった。

見たところまだ一本道だ。道幅は道路幅より少し広いくらいだから、

5mあるかどうかって感じになっている。また高さも同じくらい。

戦うにしても多少の余裕はある感じでホッとしている。

勿論無きゃ無いで良いのだが、そんなことは難しいだろう。


――では先に行きます――


 ギトウが歩き出す。俺とエウリュアレーもついていく。


「ところでギトウ」


――はっ! 何でしょう――


 目が覚めてからどうにもバツが悪いようだなぁギトウは。

大勢の前で泣くのも辛いが、やっぱ少ないけど人前で泣くのはしんどい。

ここは一つ俺の元引き篭もりトークで和ますか!


「ギトウは声に出してっていうのは難しいかな。直接語りかけてくれるのも

有難いが、こういった時は声に出して喋るのも良いと思うんだけど。

もしかしてあまりにも綺麗過ぎて隠してるとか?」


――も、申し訳ありません! 母上に言われて。男はそんなに軽々しく

喋るものではないと――


 ……昭和っていうか大正浪漫な感じなのかしら。


「失礼致しました。先生に対して無礼な真似を」


 うーんアニメの主役っていうよりも、アメリカンドラマの

若手主役の声が似合いそうなオシャレイケメン声だ。

それに先生ってのは中国的な意味で言っているのだろうか。

気になるところではある。


「いやいやそれじゃあしょうがないね、うん」


 エウリュアレーに同意を求めると、うんうんうんと

素早く頷いた。そして沈黙。

 あぁ空気が重い。なんだろうやっぱ今まで

恵まれてたのかもしれない。誰か喋ってくれたし

会話続いてた気がするなぁ気まずいなぁ。

引き篭もりなんて特技でもなきゃステータスでもないしね。

マイルもたまらないから引き篭もった年数で。

人生で経験したもの、引き篭もりです! なんて

ウケも狙えない。コミュニケーションといえば、

壁ドンならぬドアドンとか床ドン。

ロマンチックなものじゃないんだこれが。

飯よこせとか五月蝿いとか、ただイラついただけとか

そういうホントどうしようもないやつ。

いい年したおっさんの俺がやってたわけよこないだまで!


 ……あれ、何で俺は自分の古傷を抉っているのだらうか。

いやいやいや、空気和ますためにレッツトークじゃない。

別に滑ったところで今更軽蔑されてもどうでも言いし。

きついけど。きっとここでたら山一つくらい吹き飛ばしたく

なってるだろうけど。年下ばかり、世間知らず内向的パーティなら

中で年長者が行くべきだ。


「しかしなんだな。ダンジョンと聞いて構えてきたが、

今のところ特に何事も無いな」

「はい」

「そだねー」


 止まる会話。まぁ会話続いてなきゃいけないわけじゃないし、

お互い考えたい事もあるだろうから、有りだよ有り。

おっかしいなぁ。なんだろな。しっくりこない。

あぁ年下の部下を持つ方々よ、先輩とかそういう部分を生かしていけば

良いのでしょうか。それとも同調するような話題を振った方が良いのでしょうか。

解らない。教えてくれ皆、俺は後何回チャレンジすれば良い?


「あ、あの先生」

「な、なにかな」

「大分色々考えて頂いていて恐縮です……我々は

元々脳波による伝達が主流でしたので、かなり強いというか感情的な

部分は、遮ろうとしない場合、またガードしない場合拾えてしまうわけで……」

「大変だねぇおっさん」


 あっれー? やっべオラ崖があったら飛び降りてっぞ!?

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