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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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レギン

 俺は間合いを即詰める。

魔法使い相手に間合いを詰めない奴は居ない。

そして相手もそれを……。


「何だと!?」


 驚くんかい! 

俺はかなりでかい心の声で突っ込んだ。

何で魔法使いが間合い詰められて驚くんだよ。

俺は拳に気を纏うと、それを相手の鳩尾に叩きこむ。


「ふふ……ぐはっ」


 何だろうこの虚しい戦いは。

竜か確認したうえで戦ってるのに、皮膚が硬くないと

思わない奴がどこに居るのか。

戦闘経験ないのかなこの御方はさ。

 ただこっちだって容赦する理由も余裕もない。

使いだとか言ってるが、結局ティアマトさんの所までの

直通なんて都合の良い物はない。

正解としてはこいつら全員迷ってて、ティアマトさんと

何がしかの方法で連絡を取っててそれを俺に伝えるか

案内するかの役目を帯びているにすぎない。


「てことでファニーと、この娘を馬鹿にした分の駄賃は貰うぞ!」


 俺はそのまま鳩尾から顎を狙って拳でかち上げ、

浮いたところを更に鳩尾を蹴り上げる。

空中で腹部を抑えたところを見て、俺は飛び上がり追撃を加える。

右足の踵から横へ相手の上腕部を薙ぎ払い、壁に当たったところを

見逃さず着地して追う。


「くそぁあああ!」


 顎を抑えたり腕を抑えたり忙しいなぁ彼は。

何がしかの魔力を使ってゆっくり落ちてきた。

なら飛んで逃げればいいのに。


「飛んで逃げたらどうだ?」

「ぬかせ小僧!」


 何回言うんだザ悪役よ。

俺に向かって性懲りもなく飛んでくる。

元々竜は体的に頑強だから、人間如きに素手とか

体術で負けたくないのは解るけどなぁ。

こんなところくんだりまで仲介役をしようなんて人間が、

ただの人間であるはずがない、

ってのは理解出来てない系か。


 意地悪している訳ではないが、省エネは必要だ。

こいつも竜だしいつ何を出してくるかわからない。

というわけでおしまい。


「喰らえ! 封印……」

「ごめんね☆」


 テヘぺロな感じで煽った後、気と魔力を合わせて右手に

集中させ、相手の顔面を強打する。

ぶっちゃけ定着して直ぐ打ち込むというのはぶっつけ本番

だったものの、案外巧くいった。

 相手は綺麗に回転しながら壁に激突。衝撃によって出来た

砂煙を、相棒達を使って回転してもらい、咳込みたくないので他へ流す。


「はい御終い」


 俺はステンノーに向かってやれやれ見たいなポーズを取った後、

ソムリエのように右掌を左胸にあて、ぺっこり四五度お辞儀をした。

暫くして顔をあげると、ほほ笑んでいた彼女の顔が曇った。


「これで終わりだと? 人間のくせによくも私をからかってくれたな!

味あわせてやる! ファフニールに掛けたよりももっと重い封印を!」

「戯れに聞いてやる。ファフニールを封印するのにどういう手を使ったんだ?」

「あんなものは大したことはない。転生した所を封印してやったまでよ。

我が手合いに追い込まれ死んだところまでは良かったが、我も下手を打って

死んで転生したのだ。人間に嬲り殺されれば我の心も休まると考えて、

人間のみ出入り自由にしたのだ! 今頃人間に嬲り殺されている事だろうよ!」


 なるほどね。ファニーが剣に変身出来るのも、その名残ってことか。

年数的にその相手、恐らくシグルズは生きているのだろうか。

俺はそう長い事離れていないのに、ファニーに無性に逢いたくなった。


「そうか。もう貴様に聞くべきことは何もない」


 俺は目を閉じ意識を黒刻剣(ダークルーンソード)へと向ける。

黒刻剣(ダークルーンソード)は俺の足元に出ている、

青白い線で出来ている魔法陣に向かって飛んできてくれた。


「無駄なあがきよ」

 

 相手が取ろうとして飛びかかるも、取れる筈もない。

黒刻剣(ダークルーンソード)は俺の足元に突き刺さると、

バチバチと放電する音をたてた。


「……馬鹿な……私の封印が……」

「消えろ……!」


 ある意味感謝した方が良いんだろうが、

感謝するのはファニーに直接するよ。

俺はそう思い、両手に戻ってきてくれた相棒二振りに

気と魔力を通す。


「次転生する時は、お前も誰かと逢えるよう祈っておく」


 何がしかを叫んだが、聞くのも面倒。

俺は全力で相棒達を振り被り、振り下ろした。


「にん、げん如きに……」


 前回もその人間にやられてるっていうのに……。

あまりにもアレなんで可愛そうな気がしないでもないが、

仕方なし。死んでも生き返る事が出来るなら、

それだけチャンスがあるんだから学んでほしいもんだ。

第一俺がそれだし。ここに来るまでの俺が見たら、

はっきりいって話す事はないであろう者に今俺はなっている。

有難い事だ。良かったと今は思っている。

面倒な事も多すぎるけどな。


「じゃあな」


 俺は高速で切り刻むと、相棒達を鞘に納めた。

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