起きて働く無頼者
「チイ……凄まじい霊圧で押しつぶされそうだ」
舌打ちは御行儀が悪いので口で言ってみました感。
渋みをまして赤い流れ星的な人風に言ってみたが、
場は何も変わらない!
「待って待って待って。ホントちょっとまって。
可笑しくないこれ。何で俺が挟まれてるの?」
オーバーリアクション気味に訴えてみたが効果なし。
マジかよ!
――諦めが肝心だ――
さっき会ったお前に言われたくないわ!
這いよる暗黒前見て怨念。殺意のサンドイッチだよ!
「っぶね! ちょ待てよ!」
物まねしている場合ではない。ここで理解出来る人間は居ない。
――ぶ――
……おい何か受けたぞ。てか暗黒邪神も中の人の
一人にあたったらしく手で口抑えた。
とか解説している場合でもない。不意を突かれて
ステンノーが領域を広げて来た。後一歩飛ぶのが遅かったら、
俺の居た地面のように石化して運命を止められていた。
そしたらワンパンチで粉みじんだったであらうやう。
「て何でお前も飛んでんの!?」
――お前の近くにいたのだから当然だろう――
こいつ厄介だな想像通り。同じタイミングで察知して
避けた。元々蟻が体の頑丈さにプラスして危機回避能力が
高いのもあるんだな。
「キィキキキキキキキ!」
女王蟻が辺りにある岩を、手当たり次第俺達目掛けて投げつけて来た。
息子ちゃうんかこの人!
――母は厳しくてな――
He is so Cooool!
「英語五月蠅い!」
今度はステンノーさんから、拳で地面を叩き割った際に出来た岩による
雨あられ攻撃で御座います。せめて最高のCooolをお見せします位は
言って締めたかった……。
周りは岩岩岩。俺は気を即座に開放して全身と周りに纏う。
相棒を引き抜くと、黒隕剣で一つを両断し、その左側を足場にする。
そこから飛び掛かってくる岩を細かく刻む。
とはいえ重力には逆らえない。五、六個刻んだ後落下する。
その途中に飛んできた岩を薙ごうとすると
――良い物を見せてもらった――
とクールな人が俺の横に来たと思ったら、空気を蹴る感じで方向を変え、
襲い来る岩を拳で粉砕していく。
マジかよ……。俺より綺麗に粉砕してるぞ。
地面に着地しそうになると、俺達は即座に蹴り飛ぶ。
そして近場の土のカマクラの上に非難する。
「めちゃくちゃだなオイ」
ボヤく俺を余所に、クールな人が何を思ったか
ステンノーの所へ歩いて行く。マジかよ!
――君は生殖行動について興味がないのか?
子孫を残せるのであれば、それは残せる者として果たすべき使命だ――
わぁ……めっちゃカッコいい……! 惚れてまうやろホンマに。
しかも斜に構えて左人差指をステンノーに突き出してである。
何処ぞのバイク乗る正義の人かっ!
言ってる内容が動物的だけれども!
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うーむ言語になって無いものが飛んで来たぞ。
これは神言語なのか?
――俺も聞いた事がない――
隣にやってきたクール氏。よくみたら佇まいもカッコいい。
あたい、負けへん!
――冗談は置いて、あれは止めないと不味くないか?――
確かに不味い……顔が憤怒丸出しだ。
恐らく持ってる一番強いカードを出そうとしてるな。
「悪いが俺がステンノー、あれに向かって飛びこむから、
俺の足の裏を押してくれ。くれぐれも言っとくが破壊するなよ?」
――解った――
ここは一か八かだ。南無さん!
俺は土カマクラを蹴って飛び込みの姿勢を取って飛ぶ。
足では無い物が俺の足に感触で伝わる。
エライ! 手で押してくれるんだな!
――ぬぉおおおおおお!――
「え? ちょ!」
俺の言葉が何か違うかったらしい。違うかったってなんだ。
俺の足の裏に振れたかと思ったら、なんと足首掴んでオーバースローで
投げやがった! んなことされたらブーメランよろしく回転して飛んでく
っつーの! オイラは蒼タイツじゃねー!
スローモーションで視界に映ったのは、即座に到着したステンノーを
巻き込んでそのまま蟻の村の入り口まで吹き飛んでいく様である。
結果オーライとはいえ、ホント嫌!




