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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
黒き女神の迷宮

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怠け者の中の働き者

「これは……」


 穴が少しずつ大きく広がり暫くすると、

目の前に集落が現れた。と言っても人が作った集落とは

一味違い、カマクラのようなこんもりとした小さな山が、

先の方まで点々と広がっている。その軒先には、樹木を使って

作ったであろう入れ物のようなものが置いてある。

蟻よりも知性が高いのだろう。


「女性社会すごいなぁ」

「そうよ。女性は強いんだから」


 ステンノー様偉そうである。蟻の世界は女性社会である。

男は女王蟻から生まれ、他の巣の雌と交尾してそして死んでしまうという

悲しい存在なのである。人間みたいないざこざはなさそうではあるけど。

 ボーっとしている訳にもいかないので、暫く見た後更に奥の方まで

進む。どうやら二足歩行で歩いている者はいないようだ。

先ほどまで道ですれ違っていた蟻と変わらない者たちが、家の前の

入れ物を確認したり、何か食料のようなものを分け合っていた。

小さい蟻の時は見たことはないが、恐らくその時も社会を形成していたのだろう。

異世界に来てまた一つ賢くなった。


「いやこれとそっちの蟻とが同じことしてないと思うわよ?」


 口に出してないのに突っ込まれる不思議。

領空侵犯である。……一応対抗策はあるが、相手もヤバイが俺の精神も持たないので

止めておく。今のところは。


「良い子よ坊や。それをする時は死を覚悟してやることね」


 耳元で囁く様に楽しげに言うステンノー様。

ゾワゾワするわ。ドMではないのである。


「ステンノー様のえっち!」


 軽いトーン、そして小学生レベルの煽りである。

俺は今数々の家らしきものを破壊しつつ奥まで吹っ飛んでいる。

まだ敵にすら遭遇していないのに、既にダメージを負っている。

このままだと背後からの強襲によって道半ばで倒れるまである。


「だーれかたすけてぇーーーーー!」


 これが今は精一杯。勿論国旗とか出てきたりとかしないし、

麗しく可愛いお姫様も居ない。真面目にこの一言しか言えない。

絶対抗議してやる。なんであんなもんでここまでされないといかんのだ。


――腕を交差させろ――


 頭の中に直接言葉が流れ込んできた。慣れているのか、

こちらが不快にならない程度の音量で伝えてくれたようだ。

俺はそれを元に信用し、腕を交差させる。

だが甘かった。ステンノーを基準に考えればそれだけじゃ足りないのだ。

俺の交差させた腕の中心点を強烈な衝撃が襲う。そして結構な痛さもだ。

 ただ止まるは止まった。衝撃が殺された結果少し竜巻が起こったものの、

それをまた相殺される。ヤバイ予感だなこれも。


「加減てものを知らないのか……」


 俺は交差させた腕を解くと、前を向いてそう抗議した。


――手加減というものが解らん――


 立っていたのは蟻人間である。通常の蟻とは違い、二本足で立ち

残りの4本は腕として使用しているようだ。真ん中の腕二本で腕組みをし、

その上の腕は後ろ手を組んでいた。何とまぁ解りやすくらい男らしい。


「そうか。ところで俺はここの一番下まで行きたいんだけど」


――母上に聞いてみると良い。俺には解らん――


 何ともそっけないなぁ。口の部分は牙を内側に向けて閉じていた。

あそこを開いて動かせばしゃべれるんじゃないのか?


「よく来ましたねニンゲン」


 解りやすく不快である事を伝えてくれた。俺は蟻人間の後ろを見る。

そこには下へ行く穴を塞ぐ様に、二回り以上大きなピンクの蟻が、

羽を広げて座っていた。……威嚇されてるな間違いなく。


「で、早速ですが」

「嫌です」


 いきなりボス戦が始まるのかぁ……。そして背後からノシノシと

迫り来る、割と前の方よりも洒落にならない霊圧を纏う邪神。

果たして俺は生き残れるのかっ!?

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