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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
ダンジョン攻略準備編

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サイカイ

 黒い雲が青い空に染み込んで行くように広がる。

そして乾いた空気に湿り気が出てくると、

景色を覆うように雨は豪雨となって降り注いだ。


「こんな雰囲気は好きかの御仁」


 口調がなんとなくファニーに似ている。

そして気易さは生物として上位から来る余裕なのか

それともこちらと友好的な関係を築きたいのか。


「そちの答えはどうかな?」


 なるほど、ファニーより気品があるようだ。

纏う気は優雅に揺らめいて且つ此方を何時でも捕えられると

言わんばかりに放たれている。

丁度民家一軒くらいの間があるが、気は目と鼻の先。

何時でも行けるという余裕もある。

だがどちらでもあるしないのかもしれない。

俺に対する興味と警戒。

この距離はそれを表しているように思えた。


降り注ぐ雨の元である水の様な、

捉え所の無い感覚が時の間を雨と共に流れる。

暫くしてクスッと笑う音がした後


「で、余としてはそちと話がしたくてな」

「視界が遮られているのが残念だけど構わないよ」

「ん?ならば少し雨を弱めようぞ」


 距離を縮める為の会話が始まる。

雨量がカーテンを引くようにサッと少なくなり、

俺の視界は広がる。目の前にいるのはファニーよりも大人しい感じ。

黒髪のショートボブに靴さえ見えないほどロングの黒ワンピース。

背中から広がる蝙蝠の羽、頭から天へ真っ直ぐ伸びる角。


「幾ら地中に潜っているからと天候を気にせぬ訳にもいかなくての」

 

 あっさり自己紹介か。

こっちはダンジョンマスターとして準備万端だったのに。


「そちの事だから余の事は解っていたであろう?」

「流石に正解かどうかは。何せここには竜が多いからね」

「かなり解り易いはずなんじゃがな」

「で、要件を聞いても良いかな」

「そうさな。先に申したように話がしたいだけじゃ」

「する話の内容にもよるよ。まさか自己紹介しようって事は無いよな?」

「それはした方が良かろうと思うがの。そちは余を詳しくは知るまい?」

「確かに。黒い竜って言う事から考えてティアマトかなーと」


 そういった瞬間にデカイ溜息を吐かれた。

いやこちとらSFC世代のゲーマーだぞ。てかそれ以外出てこない。

詳しい方がいらしたら他の黒い竜が居たら教えてくださいマジで。

現代の説としてはティアマトさんの姿は竜否定されてますけどね。


「つまらん。じっつにつまらんなそちは!」


 いやぁ目の前で見目麗しい女性がマジの地団太踏んでいるのが見れるとはレアだの。


「すいませんね。当て勘だったんですよそれしか出てこなくて」

「もっとボケるとか出来んのか!?わっざわざ地下からはい出て来たというのにっ!」

「すんませんボケ品切れなんすよ。最近突っ込みばっかで」

「ふん。随分逆上せあがってるじゃないかニートのおっさんの癖に」

「いや年相応の位置なんじゃないかなーって」

「もうニート引き籠りは卒業か?」

「引き籠れる家も資金もないんすよ」

「なら余が飼ってやるぞ?」

「有り余る母性を受けきれません」


 Oh,笑顔が引きつってらっしゃる。

このままでは選択肢に殺害が出てしまう。

別に冷たい剣はもってませんよ?


「あっそ!じゃあもう自己紹介は要らんのだな?良いんだな?このまま開始してもっ!」


 母さんキレてるよ。参ったなどうしよう。


「あーえー、すいません。出来れば自己紹介軽くやっときましょう母さん」

「いやそちの母じゃねーし」


 おいイラッとすんなこの女神。何がしたいんだこのヤロー。


「自己紹介っていうかロキはティアマトさん陣営に?」

「あんな狂言回しが気になるのかそちは」

「狂言回し……ね」


 個人的に考えてあれは単なる狂言回しなだけなのか疑問だ。

定められた名と役割をこなしながら、トリックスターらしくドでかい一手を

隠し持ってる気がしてならない。

大神に今回の天地創造。誰が手玉に取っているのか。

俺の位置はどこなのか……。


「まぁ安心せよ。ここなら邪魔は早々入るまいよ」

「この雨のカーテンもあることだし?」

「そうだの。どんな遠見も遠耳も届かん。他の者が振らせた雨は複雑に絡み合ってて解くのが面倒」

「大神と貴女は同じ位の位置ですか?」

「……止めておけ。それ以上口にすると修正される」


 これはまた参ったね。

割と大事な事をサラッと言いましたね母さん。

寧ろ母さんが修正されないか心配。

となると結構核心に手が伸びかけているのか?

俺がこの世界に来た訳が?



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