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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
ダンジョン攻略準備編

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メンツは揃った

 店を出て取り合えず俺とリムンとハクは、ギルドへと向かう。

 紙袋を両手に持っているので、某イベント帰りみたいになっている。

 リムンとハクはキャッキャしている。

 あまり変わらない服を買っただけなのに嬉しそうである。


「おお、お帰り」


 ギルドに着くと、オルソン様が迎えてくれる。

 どうやらまだ皆戻ってきていないようだ。

 俺はリムンとハクを座らせて、オルソン様にお茶を頼んだ。

 そして今はただ待つ事にした。あんまり俺がウロウロするのも邪魔になるし。


「そう言えばリムン、リムンは結界をちゃんと張れるのか?」

「ちゃんと?」

「……結界は外と内を遮るもの……」

 

 リムンは目を丸くしてハクを見て高速で頷く。

 リムンは年長者と居る時は、頑張ってる姿しか見ないから

 こういう子供っぽい所を見ると安心する。

 そんなリムンを見てハクは真顔でピースサインを出す。

 何と言うか二人だけに流れる空気は面白い。

 俺はつい吹き出しそうになって口を押さえる。

 二人でこっちを見て首を傾げていた。


「ハクは賢いから。リムンの結界は指定された範囲を囲う方法。俺の予想だけど、それは初歩の結界だと思うんだけど」

「そう」

「え、えとえと。今はミレーユさんに貰った本の勉強して、仕える魔術が増えただのよ」

「なるほど。結界はそのままか」

「そうだのよ……」

「いやリムンの結界は物理結界として強度は高い。うちのパーティは攻撃が高いが、防御がイマイチなんで有り難いんだ。聞いたのは結界が張れるって事はそれだけ消耗が激しいって事なんだ。張れる場合は、なるべく消耗しないように考えなければいけないから」

「そう」


 ハクは頷いている。元々玉藻さんに仕えていたから知識が豊富だ。

 教育の賜物とも言える。細かい知識に関してはハクの方があるかもしれない。

 リムンはハクの顔を見て頷いて笑顔になる。

 

「リムンとハクはその歳にしては凄いんだぞ?俺は二人を尊敬しているんだ。二人に負担になるのは嫌だけど、期待しているから」

 

 リムンとハクは高速で頷く。面白いなぁこのコンビ。

 このまま頷かせておこうかしら。


「で、ハクは玉藻さんに何か貰ってる?着物とかじゃなくて」

「うん」

「そうか。なら良い。ハクの薬草の知識は今回のダンジョンでは重要な知識だ。歩いていて使えそうなものがあれば、随時俺に伝えてくれ。ハクと俺二人なら大した手間も掛けずに回収出来る。後ハクの知識の中でダンジョンに生息している食べれそうなものがあった時も頼む」

「はい!」


 ハクは元気良く返事をする。そして胸元から紙の束を出す。

 そして両手でそれを持って口元を隠した。

 なるほど。それも母の形見の一つか。実に頼もしい。

 オルソン様からお茶が出される。俺はリムンとハクとお茶をゆっくり楽しむ。

 さてと。まだ時間が少しあるな。


「リムン、ハク。悪いけどここで皆を待っていてくれ。直ぐ戻る」

「あい!」

「はい」

「オルソン様。二人に何か甘いものを」

「ほほほ」


 俺は席を立ち外へ出る。流石に瞬間移動は出来ないが、

 全力で走ればかなり短縮できる筈だ。

 ずっと放置してたし、何よりアイツの故郷みたいな大陸に行く訳だし。

 ここからは総力戦だ。アイツも力を貸してくれるだろう。


「よっこい……しょっ!」


 俺は街を出た後クラウチングスタートから走り出す。

 徐々に速度を上げて行く。少しずつ丹田に力を入れ、足に集中して力を

 ステータスを上げる。大地を蹴る力が強くなり、走ると言うか吹っ飛んでいる。

 これ前に人が居たら死ぬんじゃないのか?

 しかも顔が風圧で歪む歪む。オッサンの顔が更に酷くなるぅ!

 あっ。


「ぬぁあああ!どいちくりぃぃぃぇええええああ!」


 エルツの門が見えたので止まろうとした所、躓いた。

 どんなギャグ漫画なのか。俺はゴロゴロと転がって中に入る。

 久しぶりに戻ってきたのにホント酷い。

 なるほどねー。アニメみたいにシュタッとか巧い事カッコよく止まれないのね。

 妙な所でリアリティ発揮したなおい。めちゃくちゃ痛いぞこれ!


「コウ、久しぶりだけど大丈夫?」


 一旦反対側まで転がり、草原まで出た後止まって中に戻る。

 どうやら二次被害は無いらしい。その代わりエライ人だかりである。


「ミ、ミレーユさんお久しぶりです」

「ええ、無事で何よりだわ」

「一応何とか。すいません長い事御無沙汰してしまって」

「いいえ。前払いで料金を頂いていたし、何も問題は無いわ」


 久しぶりに見るミレーユさんは、やはり神々しい。

 この世界の人間とは思えない神々しい美しさである。


「逢いましたよオルソン様に」

「知っているわ」

「ああいうのは有りなんです?」

「どうなのかしらね。私は少し違うから」


 なるほどね。こっちもこっちでややこしいらしい。

 敢えて今は突っ込まないでおこう。


「ミレーユさん、今度ゴルド大陸行くのに、リウを連れていきたいんですけど」

「それは良いと思うわ。戦力として大活躍するでしょう」

「有難う御座います!今回も中々厳しい状況で」

「そう思うわ。正念場かもしれないわね」

「何とか無事に帰ってきますんで、そん時は久しぶりに飯を食わせて下さい」

「腕によりを掛けて作らせてもらうわ」

「では行ってきます!」

「神の御加護を」


 ミレーユさんと握手を交わす。初めて握手を交わした気がする。

 そして何か伝わってくるものがあった。この事も今は突っ込まないでおく。

 ギルドの裏手にある小屋に居たリウを見つけた。


「グァア!」


 リウは俺を見つけると首を俺の首に擦り寄せた。


「ゴメンな、暫く放っておいて。今回は一緒にお前も連れて行くから」

「グァオ!」

「早速で悪いが、乗せてくれるか?」


 俺がそう言うと、リウは屈んで乗り易くしてくれた。

 リウに跨ると扉をぶち破り進む。

 ヤバイこれ後で修理しないと。


「ミレーユさん行ってきまーーーーーー」


 リウ全力である。行きも帰りも顔が風圧で歪む。

 俺の行きたい所が良く解るな。行き来た道を順調に進む。

 リウの高さならダンジョンも移動できるだろうし、

 いざという時にリムンやハクを乗せて伝令を頼む事も出来る。

 これで今の所俺に出来る事はやったな。

 後は皆の報告を待って、ゴルド大陸へ行くとしよう。

 かつてない階層を誇るダンジョンの攻略。

 ロリーナのダンジョンマスターレベルとショウの力に

 期待しつつ、俺は首都へと戻るのだった。

 

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