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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
ダンジョン攻略準備編

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やってきた英雄

「大丈夫か?」


 暫く空を眺めていたらそこに懐かしい顔が現れた。

 

「ヘラクルスさん」

「おう。何でも俺を探してると聞いてな。悪いな遅くなって」

「いえ、お久しぶりです。申し訳ありませんお忙しいのに」

「そんな事は無いさ。それより今の見たぜ。まさかあんな力まで持つとは。クロウディス王と再戦してもいけるんじゃないのか?」

「いえ、直ぐに体が持たなくなって」

「そりゃあれだろ。ああいう芸当は初めてだからだろ?慣れたら解らんさ」


 ヘラクルスさんは俺に手を差し出す。

 正直痛みとかハリが少しはマシになった気がするが、

 立てるのかどうか疑問が残っている。

 だがヘラクルスさんの手を取らないのは失礼だと思って、

 手を取り引き起こされた。

 気だるさと違和感が多少あるが何とかなりそうだ。


「他の連中はお前とは違うから、気配を察知する事は出来ない。なんでここには来ていない」

「なるほど」

「だがその甲斐あって気を張りながら鍛錬を始めたようだ」


 ヘラクルスさんは俺と並んで立ちながら、

 皆が居る方を見てそう語った。

 確かに皆は気を察知する事は出来ないだろう。

 どの範囲からそれが飛んできたのか解らないし。

 あの速度なら相棒達と見分けられなかったのかもしれない。

 しかしヘラクルスさんから妙な気配がした。

 何時もと違う神性というのか。

 

「さて俺もお前に情報をやるのはやぶさかではない」

「助かります」

「で、知っての通り俺は冒険が大好きだ。またそれ以上に強敵と相対すると心が躍る」

「でしょうね」

「そう言う訳で俺と一勝負してもらおう」

「解りました」

「偉くアッサリだな」

「ヘラクルスさんが本気で来るなら、それはクロウディス王を凌駕すると思っています。それを体験するのは今後の為になりますから」

「なら勝負だ」

「はい」


 俺は相棒二振りを。

 ヘラクルスさんはロングソートに丸い盾である、バックラーを背中から取り出す。

 そして距離を取り互いに構える。

 流石だ。向き合っただけでも凄まじさが伝わってくる。

 オーディン様のような神としての圧倒的な迫力では無い。

 俺達に近い感じで強さがにじみ出ていた。

 軽装であるが故に筋骨隆々なのは直ぐに解る。

 しかしヘラクルスさんは大剣を振りまわしているイメージだった。

 それがロングソードにバックラーというシンプルかつベーシックな装備。

 それだけでも違和感を感じつつもフィットしているようにも見えた。

 どんな戦い方をしてくるのか。

 俺は唾を飲み込む。

 だが予想に反してヘラクルスさんは慎重に間合いを詰めてきた。

 もっとドバーンと間合いを詰めてくる印象だった。

 これは作戦なのかそれともこういう戦い方なのか。


「行きます!」

「どうぞ」

 

 ヘラクルスさんはスタイルを変えない。

 なら情報を貰う為にここは一気に決める!

 俺はフルパワーでヘラクルスさんに斬りかかる。

 凄みは感じていたが、どこかで勝てると思っていた。

 その油断がいきなり足元をすくう。

 俺が叩きつけた黒刻剣ダークルーンソードを、

 バックラーの丸みを利用して滑らせて逸らす。

 次の黒隕剣をロングソードで受けとめ、俺の腹に蹴りを入れて距離を離す。

 俺は詰められると思い、態勢を立て直して迎撃しようとするが、

 ヘラクルスさんの速度は変わらない。

 バックラーを前にしてジリジリ攻めてくる。

 この作戦の意図は何処にあるのか。

 俺は魔力を解放する。

 そして相棒達を帯電させて再度斬りかかる。

 これならただ受け流すという方法は取れない。

 だがバックラーで同じように受け流された。

 帯電していたものも一緒に流される。

 ならロングソードの方を!

 俺はロングソードに叩きつけるが、こちらも流される。

 最初と変わらない形でヘラクルスさんは距離を取る。

 困った。

 まさかこんなにあっさり最近手に入れた力を捌かれるとは。

 しかしこれはヘラクルスさんの力なのか。

 どうもそうじゃない様な気がしてならない。

 何か、ヘラクルスさんは俺に伝えようとしているのではないか。

 だからこの違和感のある戦法を取っているのではないか。

 だとすると何を。

 ……俺が何故ヘラクルスさんを呼んだのか。


「ゴルド大陸では魔法の効き目が薄いんですか?」

「違うな。種族が高位だからと言って、彼らは全てが出来る訳ではない。だがそれ故に古から積み重ねてきた神秘の力がある」

「上回る神秘が現れれば、掻き消されると」

「そう言う事だ。体や知恵は勿論のこと、マジックアイテムもそれなりにある。最新のものを作る事は出来なくとも、年月を重ねた結果神秘を得て高位のマジックアイテムに成ったものもある」

「折角手に入れた力なのに……」

「まぁそうぼやくな。その為にお前は魔力を使った別の方法を思いついたんだろう?」

「恵理やロキの御蔭ではありますが」

「複雑なのは解るが、それでも大きな足しになる」

「竜人がマジックアイテムを使ってくるとなると強敵ですね」

「ああ。今黒い竜が大きな態度に出られているのも、そのマジックアイテムをしこたま各地から盗んで洞窟に捲いて部下に装備させている疑いがある。事前に知らなければ余計な体力を消耗して最下層まで行けない」

「有難う御座いますヘラクルスさん」


 なるほど。

 ザルヲイの報告だけではここまで知らなかった。

 ザルヲイとしてはマジックアイテム自体が普通にあるものという認識で、

 俺もそれに近いものを持っているから敢えて報告しなかった可能性もある。

 あまり故意というのは考えたくないが。

 その黒い竜がどれほどのものなのか解らなければ、

 その影響力も判断し辛い。

 無くは無い位には頭の片隅に入れておこう。


「何とか足しになったようだな」

「それはもう。命を拾った気分です」

「それは良かった。後は残りの日数までお前自身の魔力をどれだけ有効に使えるかによる。頑張れ」

「はい気合いを入れ直します!」

 

 ヘラクルスさんはまだやる事があると言う事で、

 握手した後足早に去って行った。

 マジックアイテムをこちらもある程度確保しなくてはならない。

 ザルヲイに夜相談してそこを詰めておこう。

 

 

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