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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
ダンジョン攻略準備編

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新たな力

「さて、と」


 取り合えず皆には各自鍛錬するよう指示を出した。

俺は街外れに居るから、

何かあったら来るようにと伝えて。

一人鍛錬に励もうと準備運動を始める。

相棒二振りのみで鎧は無い。

あの後部屋に戻ると面倒な事しか

待ってないと思ったからだ。

 相棒達は魔力を通しているし、

意識して繋げれば繋がる。

二振りともこの世界での宝剣なのは間違いない。

黒隕剣は宇宙を旅した隕鉄から作られ、

黒刻剣ダークルーンソードは命と魔力により生成された。

この相棒達のお陰で俺は戦い抜いてこられた。

 そして恵理との戦いを経て、

ロキのヒントもありもう一つ上に行こうかと思う。

ちょっと反則めいた感じもするが、

質の悪い魔力を余らせている位ならいっそ使った方が良い。


 ―その考えには同意―


 ――恐らく問題は無い――


 ―我らからも提案がある―


 提案とは?

興味深い。


 ―我らはほぼ全て疎通が出来ている―


 ――お前の魔力と気力を用いれば――


 ―我らは形を変えられる―


 形を変える……?

それはまた凄いな。

でもまぁその前に俺が魔力を巧く使わないと、

その段階にはいかないだろう。


 ―それはそうだ―


 ――だが覚えておいてくれ――


 ―何れ必要になる―


 そう言うと相棒達は静かになる。

何れ必要になる……か。

そう思う。

最後の敵はそういう相手だろう。

俺の必殺で倒せない可能性もある。

その為に剣だけでなく、

あらゆる武芸を磨かねばならない。

出来ればダンジョンでは色々試してみたい。

三略もあるし。

俺は相棒達を交互に振る。

気の通りは十分。

魔力を繋げれば良い。

俺は相棒達を振りながら集中力を高める。

次第に広がる意識の中で、

俺はゲンナリした。

数は……数えるのも面倒だ。

 あっさり簡単に言えば全員居る。

この周囲五キロ位の所に横並びで。

剣を振る速度を落としたが、

俺は落とす前までの速度に戻す。


 なら少し試してみるか。

皆並の戦士では無い。

俺の不慣れなコントロールで操ったものなら、

笑いながらはたき落とすだろう。

俺は勢いをつけて空へ相棒達を投げる。

高速で回転しながら落ち始める相棒達。

これを流石に取るのは怖い。

俺は視界をずらして魔力を解放し始める。

そして直ぐに頭に力を入れて視界を戻す。

相棒達は帯電し、俺の左右斜め横で止まる。

あっぶねーぇ!

これ失敗したら肩にザクッと刺さってたよねこれ!

ぶっつけ本番で出来たのはチート能力故なのだろうか。

 ほっと胸を撫でおろし、

俺は気配を探る。

黒隕剣は右端、

黒刻剣ダークルーンソードは左端。

真っ直ぐ飛んでくれれば良い。

刺さりそうなら少し角度を逸らしてくれ。


 ―了解―


 ――了承――


「行けっ!」


 俺は両手を突き出す。

帯電しながら相棒達は真っ直ぐに飛んで行く。

俺は魔力と気力を放出しつつ、

その場で踏ん張る。

意外にこれはシンドイ。

汗が垂れてくる。

二本だけでこんなに持っていかれるのか。

こういう所もサラッとこなすのはイケメンだけだ。

 しかしこの攻撃が遠距離で俺の眼に移らなければ、

その先での戦闘がどうなっているか解らないのが問題だ。

それは追々解決していくしかないだろう。

この飛び道具は俺が使える魔法よりも、

相手の戦力を確実にそぐ事が出来る。

そんな事を思っていると、相棒達が戻ってくる。

手で受け止めようとするが


 ―そのまま―


 ――鍛錬だろう――


 と言い浮遊している。

中々S気がある。

こういう場合の筋肉痛って

何処に痛みが来るのだろうか。

まさか筋肉痛と同じ状態には

ならいだろうが。

 

 ―魔力の放出での疲れだからな―


 ――今のお前は今まで小出しにしていた物を、初めて意識して出した――


 ―まだまだ絞り出さねば、お前だけでなく他の者も死ぬ事になる―


 なるほど。

これはサボっていたツケが来たと言う事か。

俺は汗だくになりながら笑う。

筋肉痛がどうのとか言ってられない訳だ。

俺も他の奴の事は言えない。

ならガンガン行くか。

相棒、次は連続で行く。

左右一つずつ内へ進む。

始めは二連。


 ―了解―


 ――了承――


 そう告げると相棒達は飛び立つ。

汗が滝のように流れてくる。

インフルエンザで寝込んで回復し始めた後のように、

お腹の中がくっつきそうである。

燃費が悪いのかこれは。

慣れないから仕方ない。

 キン!という金属音の後に、

相棒達は俺の元へ戻り直ぐ様2発目に行く。

これは想像以上にきつい!

踏ん張っているから多少暑いものの、

こんな毛穴全てから汗が出てるのは

風邪でも引いたような気分に成る。

感じる暑さ以上に熱があるのか。

……熱がある……。

オーバーヒートか!?


 俺がハッとなった所に、

相棒は戻ってきた。

そして何も言わずに鞘と腰に納まる。

急激に動かしたから

負荷に耐えきれなくなったのか。

いきなりやる事じゃないって感じか。

俺はそのまま尻もちをつく。

そのまま仰向けに倒れ込んだ。

ああこのまま寝れそう。

と思いきや緊張感が解けると、

頭がガンガン痛くなる。

そして筋肉というか、

神経というか、芯が痛くなる感じで

足がつった様な感覚が全身を支配する。

マジでか。

こんなもん毎回使えるか!

殺されてしまいますよ!?


 ―後二日で何とかなるものではない―


 ――そう言う事だ。徐々に体を慣らすより他無い――


 そっかー。

いきなりこれは早過ぎた感じがする。


 ―そうでもない―


 ――時間が無いが故に無理をしてでもハードルを上げなければ――


 ―使い物に成らん―


 なるほどね。

ヤバイギリギリの線を相棒達は

見極めて止まったのね。

自分の体とは言え、

基本的な魔力の使いかを習った訳では無い。

どんな所が疲れてと言うのが解らない。

精神力的なのが物を言うのかな。


 ―根性論ではない―


 ――不屈の闘志に似たものが必要だ――


 ううむ。

それは根性が悪い位の人の方が巧く使えるのか。


 ―恵理を見れば解る―


 なるほど納得。

あれも根性ひんまがってそうだしな。

今少しずつ丸くはなっているが。

俺は寝れる訳も無いので、

回復するまでずっと空を見ていた。

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