表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
ダンジョン攻略準備編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

193/570

ラグナロクについての見解

「という訳です」

 オルソン様に出された紅茶を啜りながら、

 話を聞いていた。

 何言ってるか解らない。

 恵理は誘拐された。

 それもロキに。

 だが心配要らない。

 強くなって戻る。

 文にしたら読み易い形で4行である。

 何これ。

「という訳ですと言われても……」

 心配するなと言われて、

 そうですかと言えるような

 間柄になった覚えは無い。

 どうすっかなこれ。

 この人は意図的に詳しく話すのを避けている。

 ていうかそういう雰囲気出したらダメじゃね?

「いや意味解らん」

「今は解らなくとも何れ解ります」

「いや恵理死んだら意味ないんだけど」

「彼女が死んだところで貴方の戦力に影響は有りますまい?」

 その言葉にピクッとなる。

 オーケー落ち着け俺。

「影響は有るだろう。特に女性陣、特に年少者」

「狂乱状態になると?」

「みなまで言った方が良いの?」

「いいえ」

 何と言うか奥歯に物の挟まった話だ。

 段々イライラしてきたんだけど。

 人が優雅にお茶を飲んでいるのに。

 コイツら俺を不快にさせたら天下一品だな。

「で本題は何なの?俺忙しいんだけどこの後出掛けるし」

「巨人族の小僧の面倒ですかな?」

 ホントイライラする。

 解ってて俺の邪魔をするとか何なの?

 まぁそれが目的なんだろうけど。

「はいはいそうですねー。いい加減面倒だから単刀直入に言ってくれ。何が目的だ」

「それはお答えできません」

 んーーー、これは喧嘩祭り的なものに誘ってる?

 お答えしないけど黙っとけって馬鹿なの?

 あーもう無理だわ限界だわ。

「解った。話はそれだけなら失礼する」

 俺はもう面倒なので話を切って立ちあがる。

 すると騎士も立ちあがる。

「何?」

「いえ」

 俺の勘違いも有るかと思い座って行くように促す。

 その間に騎士はまた座る。

 おちょくられてるのかしら。

「何の冗談か知らんが生憎忙しい」

「そう思います」

 噛み合わねぇえええ!

 あー!誰か助けて!

 俺は頭を掻き毟る。

 これどうしたら打開できるの?

 こんなデカイのが後ろから着いてこられたら、

 尾行が一発でばれるのに!

 様子を窺いつつ助けようとしてるから急いでるのに!

「あー、何だ。勝負したいのなら勝負するけど」

「そんな気はありません」

 Oh……。

 頭の中でトラクターが爆発する。

 いや油田が吹っ飛んだわ。

「いやもう面倒なんでぶったおしまーす」

「降参します」

 俺が相棒を引き抜くと、

 騎士は両手を挙げていた。

 何なんだコイツは……。

 ロキの野郎こんなの俺にぶつけてきやがって。

 今度会ったら殴るわ。

「何がしたいのか解らんが、ついてくるな」

「そうはいきません」

 くそぅ……。

 俺は手を搦めて御でこに当てる。

 どうやったらこの状況から脱せられるんだ……。

 コイツの場合無言でいても気にしないだろうし、

 何したら効くんだ。

「解った諦めた。降参だ勝手にしろ。だけど妙な真似をしたら両手を挙げようがぶった切る」

「それで構いません。参りましょう」

 構うわ俺が。

 最早何を言っても無駄っぽいので、

 引き連れて行く事にした。

「おいふざけてんのかおい」

 外に出ると俺の前に立つ。

 何なんだこの巨塔。

「何もふざけてはいません」

 テンプレの返しに頭痛しかしない。

「じゃあふざけてないなら何処へ行くのか解るか?」

「巨人族の小僧を探せば宜しいのですね」

「簡単に言うがここ首都だし、アイツが何してるか解る?」

「確かに首都ではありますが、大まかに種族別で気は違います。ましてや巨人族など解り易いものです」

「建物の中に居たらどうする」

「コウ様の御使いであるなら、武器屋防具屋または買い取り屋を探せば宜しいですね」

 誘導尋問された。

 まぁここで押し問答しているのも時間の無駄だ。

「ショウは金を等価交換しに行った」

「……それはまた惨い事をしましたな。オレイカルコス大陸は物価が最低基準です。価値が違うこの国で巨人族の者が交換しようとすれば足元を見られます」

「それで良い」

「と言われると?」

「アンタは直ぐにそう言う事が出来たかも知らんが、一般的にはそんなものは直ぐには出来ない。失敗から学ぶ事もある。ましてや命の奪い合いではない場なら失敗も許される、ある程度は」

「ああそう言えば私は自己紹介がまだでしたな。私はナルヴィと申します。こう見えて竜人や竜を凌駕する物を持っています。今後御役に立てるかと」

 俺は向き直って晴れやかに挨拶するイケメンに、

 米神を押さえて唸る。

 ホンット噛み合わない、

 何一つ噛み合わないよこの巨大な塔。

「気持ちを切り替えたか何か知らんが、不満ならおべっかなどしないのをお勧めしておく」

「おべっかとは。その様な事を申しましたか?」

「申してませんが顔に書いてある。無理して取り入ろうとしてますってな」


 俺は戸惑っているナルヴィの脇を通り、

 前へ進む。

 だがあっという間に壁が現れる。

 俺はゲンナリする。

「俺の監視なのかロキの監視なのか知らんが、別に同行してもらわんでも構わん。敵か味方か判断の付かない奴に前も後ろも居てもらうのは迷惑だ」

「私は御役に立てますが」

 振り返り頑張って俺に笑顔を向けるナルヴィ。

 解り易い動揺だな。

「面倒だから先に言っておいてやる。ラグナロクを発生させるには、俺とロキでは出力の問題で難しい。というか条件が厳しすぎる。後巨人族の島に行かせたくないのはあれだな?スルトの件だろう」

 噛み合わないのはコイツが他の事に

 頭を回しているからだ。

 ラグナロク、神々の黄昏の終焉は、

 ロキでもオーディン様でもなく、

 スルトと言う炎の巨人族が全てを滅ぼす。

 直接的な原因は神の力ではない。

 という事はラグナロクとは、

 巨大なエネルギーの爆発による天候変化で

 滅ぶという暗示ではないかと、

 俺は考えている。

 ラグナロク自体は神々が相対する事で発生するもの。

 だからオーディン様はここでは戦えない。

 それは巨大なエネルギーが発生し、

 神々が相対すれば惑星爆発には劣るかもしれないが、

 隕石が地表に落ちた位の衝撃はあるだろう。

 そうする事で天候は荒れ日は陰り、

 生物の危機に陥ると思う。

 俺の必殺技とロキの何がしかがぶつかれば、

 それに近い現象を起きてしまうのではないか。

 ただ言うほど簡単ではないから、

 起きる可能性は今の所無いと考えている。

 俺自身疑問がない訳ではない。

 何故オーディン様は俺の力が上がる様な事をするのか。

 生贄にされる可能性も捨てきれない。

 この世界に呼ばれた意味がそこにあるとしたら、

 怖すぎる。

 第一ラグナロクが起きてしまえば、

 世界は再構築を余儀なくされる。

 ……改めてやり直したいなら話は別だが。

「……あまりその様な事を口になさいますな」

「何の問題がある。歩いている人達は何も耳に入ってきていない筈だ。単語に関して封じられているのか知らんが」

「……私に何が御望みで?」

「まともに会話しろ。いい加減疲れる。他に聞きたい事は何だ。答える」

「いえ、申し訳ありません。不快な思いをさせてしまい」

 コイツ天然なのか?

 答えになってない。

 絶望的に会話が成り立たない。

 ホント誰か助けて……。

「解った謝罪は受け入れるから、何が聞きたい?」

「いえ何も」

 ここまで折れてもどうにもならんとは。

 まぁもう諦めた方が良さそうだ。

 キレた所で得無いし。

 でも何だろう疲労感が凄まじい。

 恵理を探したいしショウを助けたいのに、

 凄まじい妨害を受けている。

 ロキもなるほど色々手を使ってきた訳だ。

 俺はそうじゃないと解っていつつも、

 もうそう言う事にしておかないとやってられないので、

 そう言う事にしつつショウを探す。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ