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無職のおっさんはRPG世界で生きていけるか!?  作者: 田島久護
戦いの道-タオ・ヂャンー

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戦いの道―タオ・ヂャンーエピローグ

 俺はハオを倒すと、

 リュー達家族をウンチャンに残して、

 ファニーとアリス、ハクを連れて

 アルブラハさん達と合流するべく

 ウンチャンを発した。

 その途中でカンショウと出会う。

 師父の元で修行していた時に、

 酒を酌み交わした事があるので

 安心した。

 師父の最後の様子を馬上で聞き、

 二人で天に向かい礼をした。

 カンショウ達に

「出来れば竜人達よりも戦果を上げて、この後の治安維持に対する効果を狙いたい」

 と伝えると

「委細承知!」

 と答えてくれる。

 皆流石師父が伝えた者たち。

 俺も負けじと先陣を駆ける。

 ハクを前に座らせているのだが、

 全く動じず俺のリズムに合わせて乗っている。

 人の馬に乗るのは、自分で乗る以上に大変だ。

 馬のリズムと操る人のリズムが掴めない。

 ハクはそれをすんなりと合わせる。

 何でも出来るというのは凄いなぁと感嘆する。

 俺は三略槍を引き抜き、

 師父のように正々堂々背筋を伸ばし、

 綺麗に流れるように、

 民に襲いかかる魔族を討伐していく。

「カンショウ!どうか!」

「はっ!トウショウは制圧致しました!」

「良し!トウショウにはトウショウの兵士3割のみを残して、シレイへ向かう!」

「はっ!全軍続け!」

 先ずは地盤をしっかりと固める。

 シレイに赴きシレイもあっさり討伐した後、

 直ぐに首都へ赴きアルブラハさんと合流。

 ここも問題無く討伐。

 首都兵の生き残りをそのまま配置し、

 伝令を飛ばしてウンチャンのリュー家族に、

 首都の防衛を頼む。

 そのまま俺達は首都に隣接する都市を、

 次々と制圧。

 師父とシレイで鍛錬した時は、

 ほぼ馬上で過ごしていたので、

 連戦は何とも思わない。

 ただファニーもアリスもハクも辛そうである。

 三人に首都に残るよう言ったが、

 断固拒否される。

 この作戦は電撃作戦で無ければならない為、

 ゆっくり休みを取る事も出来ないと、

 カンショウから割と強めに言われていた。

 だがそれが余計に三人を

 意固地にさせてしまった。

 トウショウもそれならと軍の速度を上げる。

 流石の竜人達もこれには付いてこられず、

 アルブラハさんに頼んで首都防衛に戻ってもらった。

 結果半日経たずに全ての都市の魔族を討伐。

 トウショウ達と首都へ戻る。

 警備や各首都との連絡と状況の確認を頼んで、

 リュー達がいる宮殿へと出向く。

 今後の事を話す為だ。

「失礼する」

 俺はそう言って中へ入る。

 すると目の前にはシンが一番奥に座り、

 その脇にリュー夫婦がいた。

「……決めたのか」

「ああ」

「ええ。シンならタオ一族の血を引く正当な後継者ですから」

「そうか。ならシン皇帝、後の事は万事任せます」

「行ってしまわれるのですね」

「そうだな。師父達に託された未来は、俺からシンに託す。何万年もの平和を目指すより、10年100年の平和を見据えて統治して欲しい。カンショウなど見るべき武将も居るから、内政面で頑張ってくれ」

「……解りました。コウ様のお言葉肝に銘じて粉骨砕身頑張ります」

「くれぐれも無理をして倒れぬように。それとリューとシンのお母さん、統治が安定するまで、シンの事宜しくお願いします」

「しかし……」

「リュー。言いたい事は解る。だが今は治安の維持だけでなく、内政の安定も重要だ。人材の登用なども。ただ変装しないと不味いかもなぁ。新政権のクリーンさをアピールする為には、前政権を踏襲するような形にならないよう、頑張ってくれ」

「コウ様、コウ様が残って頂けると有り難いのですが」

「シンのお母さん、この国に部外者が入って立て直しては、今以上に俺の影響力が強くなってしまいます。立ち直るには、この国の人間で無ければならない。それに竜人達も俺が協力する事でこの国の助太刀をしてくれました。俺が引き上げずに残っていては、道を外れてしまいます」


 俺はそれだけ言うと一礼し、

 宮殿を出た。

 名残惜しいが、未来は託した。

 嫌な事を考えるが、

 例え統治が巧く行かなくとも、

 他国へ侵攻する事は暫く無い。

 しっかし疲れた。

 まともに休んだのは何時以来か。

「コウ、終わったか?」

「どうなの?」

 ファニーやアリス、ハクが宮殿下で待っていた。

「ああ、取り合えず後の事は託した。これ以上残ってても悪影響になる」

「ふむ、欲が無いな」

「欲を出しても意味が無い。人の国だしな」

「まぁそうね。国を作るなら人の国を乗っ取るより、別の方法を探した方が、賢明ね」

「そう言う事だね。しっかし疲れたわ……。ハク、何か準備に必要な事はある?」

「……特に……」

「そっか。まぁ旅の途中で必要なものを足して行けばいいか。ね、アルブラハさん」

「であるな」

 宮殿を出て真っ直ぐ4人で歩いている。

 アルブラハさんは気配を消してつかず離れず、

 宮殿から付いてきていた。

「出来れば一旦シルヴァ大陸に戻って準備したいんですが、良いですか?」

「で、どれ位掛かる?」

「7日程度」

「であれば問題無い。ただその場合一人従者を付けて、船旅になるが」

「何!?」

 ファニーが食い気味に言う。

 よっぽど船旅が嫌なんだろう。

「コウ、我は反対だ!船旅など二度としない!」

「いやそうは言っても皆を放置していけないだろう」

「まぁ仕方ないわね」

「……船酔い直す薬ある……」

「ファニー、俺達にはハクという薬師がいるから安心だな!」

「そういう問題では無い!」

 ファニーキレる。

 しかしなぁ。

「じゃあ先に行」

 言い掛けて顔面に拳がめり込まれた。

 元気じゃん。

 こちとら連戦に連戦を重ねて死にそうなのに。

「取り合えずアルブラハさん、シルヴァ大陸まで乗せていって頂いても良いですか?」

「であれば勿論。我らも一日も早く助太刀に来てほしいからな。労力は惜しまない」

「じゃあお願いします。兵は直ぐに纏められますか?」

「では直ぐに集めよう。出立もグレートドラゴンが居るので直ぐに行けるが」

「なら直ぐに行きましょう。あまり長居をしても」

 俺はコンロン山の方角を見る。

 この大陸では多くの事を学んだ。

 思い出は多くある。

 色々事情が合って長い出来ないが、

 何時かまた訪れたい。

 師父達から学んだ事、必ず役立ててみせます。

 有難う御座いました。

 コンロン山へ一礼する。

「コウ殿」

「カンショウ、後の事は頼む」

「はっ。必ずや我らの手で復興して見せます」

「頼む。師父の為にも必ず成し遂げてくれ」

「天に誓って。ですが復興した暁には、また来ていただけますか?」

「勿論誓おう。その時に改めて師父の冥福を祈って一献共に捧げよう」

「その時を楽しみに」

「では元気で」

 俺とカンショウは手を握り合い、

 目頭が熱くなる。

 それを振り払うように手を離し、

 カンショウは宮殿に、

 俺は首都の外へと歩を進める。

 何れまた逢う時は、

 ゆっくり盃をかわせる事を祈って。

 アルブラハさんの指揮の元、

 兵士を纏めグレートドラゴンに乗り、

 ブロウド大陸を去ったのだった。


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